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第42回 おかわりはテンプルへの一撃の巻

  • 2013年10月28日(月) 18時00分
勝負はもつれ…

勝負はもつれ…

「必勝法を見つけた!」という1通のメールがきっかけで始まった、ひとりのサラリーマンの泣き・笑い満載の馬券ドキュメント。当企画の主人公のオオヤブは、毎回ネット競馬のサイト『netkeiba.com』から馬券のヒントになるものを探し出し、それを元に手を変え品を変え、馬券を購入するという方法をとってきたが、春の青葉賞の会心ヒットを境に大スランプに突入。以降、オオヤブは迷走をはじめ、連敗続きで完全に自分を見失ってしまう。業を煮やした編集部はオオヤブにコーチをつけることを画策。6月の日刊競馬の看板評論家・柏木集保氏に続き、7月は東スポの渡辺薫氏、8月は丹下日出夫氏を招聘し、馬券修行を敢行。予想の何たるかをつかんだオオヤブはその成果を見せるべく、プロ馬券師に勝負を挑むことを決意。最初の相手は新進気鋭のプロ馬券師・やなぎに決まったが……。
午後になってようやくやなぎが調子を上げ、逃げていたオオヤブの首根っこをついにつかんだ。といっても9Rを終わった時点で、オオヤブの軍資金1万円は2170円、やなぎが2200円。その差は30円じゃ、かなりの低空飛行。ここからどう踏ん張れるかが勝負の分かれ目となりそうだけど……。

◆破滅型のオオヤブが思い切った行動に出た!

3連複って…

3連複って…

 オオヤブは大人の駆け引きができない。キャバ嬢には簡単に下心を見透かされるし、酒と同様、すぐに顔に出る。10Rの券種の抽選でも、

「おっ、10Rは希望通りの馬連。これなら手堅く軍資金を増やせそうだよ」

 というやなぎをよそに、オオヤブの顔はドヨ〜ン!

『いっやあ3連複って……。2000円チョイでこりゃヤバいよ』

 もう少し三味線でも弾いて、やなぎにプレッシャーをかければいいのに、マジでへこんでいる。リアクション良すぎるだろ! ヤバいよってお前はデガワかっ!

『ここは一か八か、持ち金をズバッといっちゃうか。勝負するときはちゃんと勝負しなきゃダメって師匠たちも言ってたしね』

 つーか、ここはお前の勝負レースじゃないだろ(対決ルールで1日1回だけ勝負レースを指定できる)。3連複の1頭軸(タマブラックホール)で相手7頭の21点買いって、ハズれたら残り70円!? お前はアホか! 

「オオヤブくんは昔からは極限状態になると超ポジティブになるからね。以前、生活費1000円で1週間過ごさないといけないときにもパチスロ打ってたもんなあ。破滅的過ぎっしょ。ホントぱないわ」

『そんな誉められても……。いやあ、照れるなあ』

 やなぎの言う通り、ホントにこの男、マジでムチャクチャなんである。ところで、やなぎの買い目はどうなってるの?

「着差数値では5番人気のジェイケイホームが狙いですね。これが軸です。相手本線は1番人気のタマブラックホールですが、カリスマサンスカイも面白いかな」

 レースはオオヤブの軸馬のタマブラックホールが後方から差し切り勝ち。2着はやなぎの本命のジェイケイホーム。これでやなぎは本線的中。3着は11番人気のクレバーアポロ。3連複のオオヤブは……さすがにこれはヌケ。軍資金1万円はドボンで、オオヤブは各レース1000円ずつのおかわりタイムに突入。やなぎは軍資金の約半分を回収し、意気揚々と東西メインレースに挑んでいく。

◆やなぎ唖然! 素直に買っていれば……も後の祭り

 まずは阪神メインの菊花賞トライアル・神戸新聞杯。ここで1000円を握りしめたオオヤブが「勝負レース」の札を掲げる。勝負レースは券種を問わないが、オオヤブの軍資金はたった1000円。

相手はテイエムイナズマ1本!

相手はテイエムイナズマ1本!

『まあ、エピで堅いと思うんですよ。相手はテイエムイナズマの1本勝負!』

一方のやなぎだが、引いた券種はなんと「単勝」。

「難しいことは何もないでしょ。着差数値ではやっぱエピファネイアだし、とりあえず1000円だけ単勝買います。プロ馬券師っていうのは因果な商売で、すごい人気になっている馬を本命にすると素人でもわかるって文句を言われたりするんだけど、飛ばないと確信して本命を打っているんだから仕方がない。安くても当たらなくちゃ意味ないしね」

 とは、やなぎの弁。結果は予想通りエピファネイアの圧勝。やなぎは楽々的中。オオヤブはテイエムが馬券に絡まずズッコケ!

『おかわり、もういっちょ行きま〜す』

 というオオヤブは慌てて券種を決めてオールカマーを購入。軸はダイワファルコンで馬単勝負。するとやなぎから、

「すみません、オールカマーが僕の勝負レースです。馬券ももう買っときました」

 と、2連続的中だけに自信満々。軸はダノンバラードで馬連と3連単で勝負するのだとか。

「メイショウナルトとダノンバラードで本命は迷いました。でも本命はダノン。着差数値は4位なんですが、中山ならこっちが上かなと。着差数値8位の馬まではあまり数値差がないようなので相手はその8位の馬まで手広く買っておきたいですね」

 さて、オールカマーの結果は9番人気のヴェルデグリーンが勝ち、2着がメイショウナルト。そして3着がダノンバラード。オオヤブの本命ダイワファルコンは8着。一方のやなぎは唖然ボー然……。

「ダノンは3着かあ。やっぱ着差数値1位のメイショウ本命で良かったかな。あと悔しいのはヴェルデグリーン。この馬、着差数値は7位ですが、その数値自体は上位と差がないレベル。私情を入れず素直に着差数値で買えば、おそらく馬連と3連単共に獲れてるケース。完全な自滅。自分もまだまだですね」

『ふん、やなぎさん、僕なんか惜しいもクソもないですから。ホントにヤバいよ、ヤバいよ。最終でまたおかわりかあ。3杯目ってどこの大食い野郎だよ。怪物木下かっつーの!』

◆師匠たちとの特訓は何だったんだオオヤブ?

 最終レースのオオヤブは3度のおかわりも実らず、3連単で完全ノックアウト。馬連のやなぎは軸馬が4着で、こちらも有終の美は飾れず。ただ、トータルで勝利したのは午後になって調子を上げたやなぎ。馬券の抽選がなく、フリースタイルならばおそらくプラス収支だったはず。オオヤブは午前中だけ好調で完全な尻すぼみ。師匠たちとの特訓が実を結んでいない、というか勝負の見極めが下手くそなんだよなあ。

わが生涯に一片の悔いなし

わが生涯に一片の悔いなし

『だって、僕がやなぎさん相手に駆け引きしたってダメっしょ。ストレートにぶつかっていって負けたんだから、わが生涯に一片の悔いなし、ですよ』

 途中からお前はすでに死んでいたけどな。一方のやなぎは、

「馬券を好きに決められないって難しいですね。それに午前中は着差数値を使えなくて苦しかったし。そんな中でも勝てたのは、オオヤブくんの自滅のおかげ? にしても、対決企画だからってよそ行きの予想をしちゃったかな。返す返すもオールカマーは悔しいよね。あ〜くそっ! 素直じゃない自分のバカ、バカ、バカッ!」

まあオオヤブよ、相手は新進気鋭のプロ馬券師のやなぎだし、負けもしゃーないか、な〜んて思っていたら、テンプルへの致命的な一撃をもらった力石のように、バーの床に転がっている。今頃、ビール効いてきた?

『もうヤケ酒っす! 酒だ酒だ、酒持ってこい!』

 負けて最悪の客になった「ひとり浪花恋しぐれ」のオオヤブは、立て続けに3杯のダブル・バーボンをあおって、ネオンの中に消えて行ったとさ。ボッタくられんなよ〜〜。

現在の馬券的中数 77本
ゴールまで残り 23本

次回の対決編は!?

次回の対決編は!?

【次回予告】
やなぎに惨敗したオオヤブに第2の刺客が牙をむく。菊花賞当日に東京競馬場に現れたのは……かの某大国の大統領のSP? 相手は強敵だが、オオヤブよ、お前なら「Yes、we can!」


【馬券100本ノック 対決編のルール】
・資金は1人10,000円(設定としては自腹)。資金が尽きた場合、追加するのはOK(ただし、金額は1レース1,000円まで)。
・勝負は、最終レース終了後の残高で勝敗を決める。
・予想の方法は問わない。
・1レースごとにくじを引き、券種を決める(決定した券種以外を買うのはダメ)。ただし、指定した勝負レースのみは好きな券種で買える。なお、勝負レースは1レースしか指定できない。
・レースは、1競馬場の1〜12R。ただし、他場で重賞がある場合は買わなければならない。
・「見」は一度だけ認められる(ただし、重賞は「見」できない)。

【主役:オオヤブ】 妻子持ちの36歳。一応、雑誌・書籍の編集業に携わっている。若かりし頃にイギリス留学経験もあり、ニューマーケットで馬券の研さんを積んだ、なんてことはまったくない3度のメシより競馬好き。ギャンブル全般に造詣が深いと本人は思っているが、周囲の見方は単なる「下手の横好き」。

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