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アトム、ベルカント、ピークトラムなど朝日杯FS分析

  • 2013年12月11日(水) 18時00分


◆ポイントはコースと坂路の“併用調教”

 今までは、取り上げた重賞に関して、火曜日の調教が終わった段階で、最終追い切りがどのような形であれば、良いか悪いかということをテーマに進めてきた当コラム。しかし、今週からは水曜日の最終追い切り(馬によっては、木曜日に最終追い切りする場合もあり)を見た時点でのコラムという内容に変わります。

 1勝馬も数多く出走する朝日杯FS。現時点では、取り上げる馬について、出走の保障がない場合もありますが、そこはご了承ください。まずは、自分が取り上げたい馬よりも、netkeiba.comの予想単勝オッズで上位に支持されている馬を取り上げましょう(単勝オッズは、11日12時現在のものです)。


【アトム/単勝3.5倍】

アトム

最終追い切りでの動きが良かったアトム



 前走後は短期放牧に出されており、栗東へ帰厩したのは、11月26日。つい2週間前の帰厩ということもあり、中間の追い切り本数は決して多くありません。正直、これは朝日杯FSに対する、レースの調教適性としてはマイナス。過去10年の朝日杯FSでデイリー杯2歳Sからの直行組は、2003年メイショウボーラー、2006年ローレルゲレイロがともに2着でしたが、それらよりも追い切り本数が少ない状態での出走となりそうです。

 ただ、今朝の最終追い切りは抜群の動き。川田将雅騎手が跨りましたが、Cコースで3頭併せの最後方。先頭とは1秒以上の差がありましたが、直線最内から並びかけると、一瞬にして、2頭を置き去り。その反応の鋭さは、1週前追い切りの比ではありません。レース前々日に坂路で15-15の時計が出れば、かろうじて、メイショウボーラーと同じ追い切り本数になるので、その時は素直に評価しようかと考えています。

【ベルカント/単勝4.7倍】

ベルカント

牝馬らしからぬパワーを感じさせるベルカント



 中間の追い切りは坂路オンリー。1週前は4F50.7秒をマークしているように、とにかく現時点での長所である、スピードを活かす、それに徹した調教が行われています。また、重めのウッドチップでこれだけ動けるあたり、牝馬らしからぬパワーも兼ね備えていることは間違いありません。

 今朝の追い切りもそんな印象を再認識させてくれる動き。騎乗した武豊騎手の手はほとんど動くことなく、併せ馬先着。4F51.5秒は一番時計に迫る数字ですし、とにかく現状で気になるところはありません。ただし、中山芝1600mで行われる朝日杯FSは併用調教馬に適性の高い条件。坂路単一調教だからといって、無印にするまではありませんが、本命を打つことができないというのも、過去の調教タイプの傾向。あとは、併用調教馬がどのくらい出走できるかということによって、印の重さが変わってくると思います。

【ショウナンワダチ/単勝14.7倍】

 美浦所属馬のため、最終追い切りの動きは確認できていません。ただ、1週前追い切りを含めた、12月8日までの中間追い切りを見ていると、どうやら、朝日杯FSには最適な「追い切り本数多い併用調教」で出走してくれることになりそう。まして、12月開催の中山芝1600mは大竹正博厩舎の鉄板スポット。その成績は拙著「100%激走する勝負調教大全」に記しているので、ご興味のある方はそちらを読んでいただきたいのですが、調教タイプが『乗込併用』での出走になると、勝率は100%。本当に鉄板です。

 前走時の最終追い切りの時計が非常に速いところを見ると、このレースへの適性は相当高いと思います。こちらも、1勝馬の動向次第での印の打ち方になると思いますが、もちろん、現時点で本命候補の1頭です。

【ピークトラム/単勝21.8倍】

ピークトラム

軽快な動きを披露したピークトラム



 てっきり坂路単一調教になると思っていたのに、今朝のDコースポリトラック馬場での追い切りによって、併用調教馬になった本馬。その動きの軽快さを見ていると、2009年ローズキングダム、同厩舎で同レースを優勝した先輩の姿をイメージさせてくれます。先輩が重賞を勝っているのに対して、こちらは勝ち切れないレースが続いていますが、中京マイルではレコードを出しているように、潜在能力は一級品。

 問題は1勝馬。まずは抽選に入らなければ、話は始まりません。除外になった場合は、ひいらぎ賞に回るとのことですので、同じ中山芝1600mなら、適性があることは言うまでもないでしょう。

 まだまだ取り上げたい馬もいますが、1頭を細かく解説したいので、このくらいの頭数に収めました。「1頭ずつのコメントは短くてもいいから、もっとたくさんの頭数を取り上げてほしい」などありましたら、メールでサイトに、ご意見を頂戴できればと思います。

◆次走要注意

・12/7 阪神11R 朝日CC【テイエムイナズマ】(8人/14着)

 中間の追い切り状態を見ていると、ここでも十分に好勝負できるイメージでしたが、スタートして前に壁ができなかった時点で終了。なし崩しに脚を使って、下がるところまで下がった印象です。
 このダメージがないとすれば、京都金杯あたりで、久しぶりにいいパフォーマンスを見せてくれそうな気がします。

[メモ登録用コメント] [京都金杯]最終追いが坂路なら勝ち負け

・12/8 中京11R 尾張S【ストークアンドレイ】(13人/16着)

 着順は悪くなっていますが、勝ち馬からの差は0.8秒。内でなにもできないままに終わっただけで、決して力負けではありません。というよりも、これだけ上がりの速い決着になると、持ち味は活きません。
 距離は1200mベストでしょうから、年明け京都のオープン特別なら、十分に勝負になるはずです。

[メモ登録用コメント] [芝1200m]中間、最終追い切りの併せ馬先着なら勝ち負け

◆今週末馬券圏内

・12/14 中京11R 愛知杯【アロマティコ

 前走後は早々にこのレースを目標に設定。寒くなっても、冬毛が伸びてこないあたり、体調が良い証拠だと思います。
 今朝は、三浦皇成騎手が美浦から駆けつけての追い切り。そのコンタクトもスムーズだっただけに、ここは落とせない重賞になりそうです。

[メモ登録用コメント] 外枠以外なら

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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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