◆両レースを目標に追い切りを積んできた注目馬をチェック 先週の東京競馬場は大雪。土日とも、代替競馬として行われることになりましたが、問題は、2月17日の東京新聞杯。火曜日(11日)の坂路小屋で「こんなケースはあまり経験がないから、今週の追い切りをどうするべきか」と悩んでいる橋口弘次郎調教師。牝馬であれば、本当に軽い調整でもよいかも知れませんが、牡馬だけに、師も頭を悩ませていました。
正直、東京新聞杯は相当難しいレースになりそうですが、共同通信杯と京都記念は、このレースを目標に、きっちりと追い切りを積んできた馬たちが出走。中間の調教内容を見ても「GIに向けたトライアル」という印象はありません。そのあたりも含めて、最終追い切りの解説にいきたいと思います。
【サトノアラジン/共同通信杯】
前走後は栗東に滞在して、坂路馬場での追い切りを主体に入念な仕上げ。Cコースでの追い切りは目立って速い時計を出していませんが、それはいつでも動ける態勢が整っているからだろうという想像をしていました。
最終追い切りの動きを見ると、その解釈で正解だったようです。ロードランパート、トレイルブレイザーとの、Cコースでの3頭併せを最後方から追走する形。最内でしたが、手応えよく、2頭を抜いて、最先着。6F82.8〜1F11.7秒はこの中間では最も評価できる時計。現時点で気になるところはありません。
現時点で気になるところはないサトノアラジン(2月12日撮影)
【ピオネロ/共同通信杯】
休み明けで追い切り本数が少なかった京成杯は4着。大きく崩れることがなかった点を評価したいレースですが、今回は中3週で、500万下を勝ち上がった、東京芝1800m。1週前追い切りに、今回コンビを組む、U.リスポリ騎手が跨って、上々の動きを披露しているだけに、最終追い切りの動きには注目していました。
結論は「期待通り、想像通りの動き」。Cコースで3頭併せの真ん中という内容でしたが、後方からのディープサウスには並ばせることもなく、最後の直線はゴッドフロアーとのマッチレース。最後は僅かに前に出るような形で、6F81.4〜5F66.3〜4F51.7〜3F37.8〜1F11.9秒と、全体時計は速いのはもちろん、終いも鋭い伸びと数字。出走メンバーのレベルも高いだけに、今の完璧に近い状態でどこまでやれるか、今後のクラシック路線に乗っていく上でも重要なレースとなりそうです。
今の完璧に近い状態でどこまでやれるのか、重要なレースとなるピオネロ(最内の青帽、2月12日撮影)
【ジェンティルドンナ/京都記念】
陣営から本気度の伝わるコメントも報道されている今回。それを証明するように、ノーザンFしがらきから栗東への帰厩が早く、追い切りも週1本のペースでしっかりこなしています。これはいつものパターンですが、ただ、レース間隔を考えると、追い切り本数自体は少ないので、そこをどう判断するか。
最終追い切りは、やはり単走でしたが、その時計は4F53.5〜3F39.0〜2F25.8〜1F12.9秒。ラスト1Fが12.5秒前後で駆け上がってくるイメージをしていただけに、やや物足りないというのが、個人的な印象。数字自体は、昨年のジャパンC1着時と変わりないだけに、気にすることはないかも知れませんが、客観的なデータを重視するなら、あまり高い評価もできません。
客観的なデータを重視するなら、あまり高い評価はできないジェンティルドンナ(2月11日撮影)
【トーセンラー/京都記念】
1週前追い切りがアルキメデスと併せたハードな内容。それだけに、最終追い切りは坂路で軽く流すか、Cコースなら単走という想像をしていましたが、1回目のハロー明けに武豊騎手を背に併せ馬をするという、かなり中身の濃い内容でした。
先行したのは、セイルラージ。道中から、ある程度速いラップを踏んでいき、そのままの速度で直線へ。ほぼ一杯になるセイルラージを抜き去ると、最後までしっかりした脚取りでゴール。6F79.9〜5F65.8〜4F51.9〜3F38.0〜1F12.0秒と、先週と変わりない速い数字をマーク。「ここをきっちり勝ちに行く」。そんな意図を感じる、最終追い切りでした。
最後までしっかりした脚取りのトーセンラー(2月12日撮影)
◆次走要注意
・2/8 京都5R 3歳未勝利【
ビオラフォーエバー】(6人/12着)
休み明けでも、最終追い切りの内容から、十分に動ける想定をしていました。ところが、道中から行きっぷりが悪く、位置取りが後ろのまま、見せ場なく終了。
もう少しスムーズな競馬ができれば、力を発揮できる馬だと思うので、この一戦で見限るのではなく、もう少し追いかけたい馬
[メモ登録用コメント] [芝1600mから2000m]最終追い切りで併せ先着なら勝ち負け
・2/9 京都11R きさらぎ賞【
ブラックカイト】(5人/8着)
きさらぎ賞はトラック単一調教馬の好走がないレース。調教適性がないだけに、仕方ない着順だと思います。それでも、モニターで見たパドックの様子や最終追い切りの内容からは、オープンでも通用する馬。
自己条件なら、あっさり勝ち上がれるだけの能力はあるので、トラック調教馬に適性あるコースでの馬券購入をおすすめします。
[メモ登録用コメント] [芝1800mから2000m]調教適性あるコースなら馬券圏内
◆今朝の追い切り特報
・2/15 小倉1R 3歳未勝利【
スリールドランジュ】
担当者の話では「追い切りを馬なり主体にしていたので、レースでハミをとるところがなく、フワフワ走っていました」という新馬戦。それだけに、一度レースを使っての上積みがあると思いますが、それ以上に、この中間の動きが良好。
1週前、今朝と、Cコースでの動きが抜群。特に今朝は藤岡佑介騎手が跨り、最後は追ってからしっかり伸びていました。ダートへの転戦ですが、追い切りの動きから、パワーも十分にあります。