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トゥザワールド、ハープスターなど弥生賞、チューリップ賞、オーシャンS分析

  • 2014年03月05日(水) 18時00分


◆5日の最終追い切りを終えた各馬の解説

 弥生賞はもちろんのこと、チューリップ賞、そして、オーシャンSと、今週の重賞も登録頭数は多くなくても、メンバーの中身が濃いレースになりそうです。特に弥生賞は、栗東所属馬をすべて取り上げて解説したいくらい。やっぱり皐月賞トライアルとして、最も重要視されるレースですね。では、さっそく、5日の最終追い切りを終えた各馬の解説をさせていただきます。

【チューリップ賞/ハープスター】

 1週前追い切りは「あれあれ」と思うくらい、動きに機敏さが足りなかったので、最終追い切りはどんな動きを見せてくれるか。個人的には、トライアルとはいえ、6F時計を速めにして、しっかり仕上げるのではないかと思っていました。

 ところが、5日の追い切りはその逆。全体の時計を極端に遅くして、終い重点。画像、ゼッケン番号827がハープスターですが、3頭併せの外をラスト1Fだけ伸ばすという形。見た目には、アドマイヤツヨシ、アドマイヤカーリンと互角、もしくはそれ以上の手応えと伸びに見えましたが、時計が。6F89.9〜5F73.4〜4F57.0〜3F41.4〜1F11.7秒と全体時計がかなり遅め。ここは休み明けのトライアル、そして、この馬のポテンシャルを考えると、この仕上げでも十分能力を発揮できるのか、はたまた。追い切り重視なら、評価できないのは、ご理解いただけると思います。

ハープスター

全体時計がかなり遅めのハープスター(3月5日撮影)



【オーシャンS/ハクサンムーン】

 スプリンターズSが昨年9月29日。レース間隔が大きく空いたこともあり、宇治田原優駿Sからの帰厩が早かった今回ですが、昨年のオーシャンSでも結果が出なかったように、この時期は夏場と違って、唸るような迫力は薄い印象を受けます。

 それは追い切り内容にも表れていて、先週までの段階で、坂路4F55秒を切る追い切りは1本もなし。ようやく最終追い切りで、4F54.8秒でしたが、そうなると、ラスト1F12.6秒と時計を要します。画像は1週前追い切り時のものですが、最終追い切りも馬の少ない時間帯だったので、ほぼ同じような画。どちらの追い切りもあまり印象に残らなかったというのが、正直な感想です。

ハクサンムーン

あまり印象に残らなかったハクサンムーン(2月27日撮影)



【弥生賞/トゥザワールド】

 2週前追い切りの段階では、ダノンカモンの動きが際立つような動きだった、Cコースでの動きでしたが、当時はノーザンFしがらきから帰厩して間もない時期。これを経て、日増しに馬の状態が上がっていく、そんな中間の調整に映ります。

 1週前追い切りの段階で、瞬発力の凄さに度胆を抜かれたましたが、最終追い切りの動きもほぼ同様。バーディバーディを追走して、最後はあしらうような動き。とにかく走りには余裕があり、その上、スピード感が凄い。追い切り時計は決して速くなかった(6F82.1秒)のですが、それでも中山競馬場までの輸送を考慮すれば、もっと遅い時計でも不思議ありません。

トゥザワールド

走りには余裕があり、その上、スピード感が凄かったトゥザワールド(3月5日撮影)



【弥生賞/ワンアンドオンリー】

 デビュー時の最終追い切りが、坂路4F53.7〜1F14.0秒。全体時計が平凡な上、終いも要するという、攻め駆けしないタイプでしたが、ラジオNIKKEI杯2歳Sを優勝後、短期間でも休みを経て、馬に変化があったようです。これに関して「付くべきところに筋肉がついた」という橋口弘次郎調教師のコメントが出ていますが、それを象徴するように、今回の1週前追い切りは4F51.4〜1F12.8秒と別馬のように攻め駆けしています。

 最終追い切りはダノンマックインを追走して、最後は楽に交わす内容。時計は4F52.7〜1F13.4秒と少し要してしまいましたが、2歳時とは違った動き。確実に成長している点は評価しなければいけません。

ワンアンドオンリー

確実に成長している点は評価しなければいけないワンアンドオンリー(3月5日撮影)



【弥生賞/エイシンエルヴィン】

 約4ヶ月ぶりのレースで初めての重賞出走となった、前走が勝ち馬から0.2秒差の3着。末脚は目立っていただけに、かなりの能力を感じさせる内容でしたが、16キロ増(500キロ)という馬体重からも分かるように、成長分を差し引いても、太目が残っていたと思います。また、当時の追い切り内容も「動きはいいけど、特筆するほどまでは」といった感じでした。

 ところが、ひと叩きされた今回。すでに、1週前追い切りから動きの良さは目立っており、併せたパドルウィールを相手にしない動き。最終追い切りは、ただいま絶好調のナリタハリケーンを相手に併せ馬でしたが、これまた相手を煽るような動き。道中のペースがそれなりに速かったにも関わらず、6F82.1〜5F66.7〜4F52.1〜3F38.2〜1F12.1秒。これだけしっかりした動きができれば、このメンバーでも、ヒケをとることはないでしょう。

エイシンエルヴィン

このメンバーでも、ヒケをとることはないエイシンエルヴィン(3月5日撮影)



◆次走要注意

・3/1 小倉10R 萌黄賞【サフランスカイ】(10人/7着)

 久しぶりとはいえ、最終追い切りの動きが抜群。有力馬が多数除外されたメンバー構成だっただけに、チャンスは十分にあるだろうと、馬券総合倶楽部のコラムでも取り上げさせていただきました。
 新馬勝ちの内容から、フットワークの大きさが目立っていただけに、スタートで後手を踏まなければと思っていたところで、普通に出たのに、その後に手綱を引っ張って下がるボーンヘッド。正直、あの分、負けたと思います。
 ジョッキーも含めて、条件が替われば、あっさりと勝ち上がる能力はあります。

[メモ登録用コメント] [芝1200m]最終追い切りが坂路で終い最速ラップなら勝ち負け

・3/1 阪神11R アーリントンC【エイシンブルズアイ】(2人/7着)

 まずは、No.1予想を見て、◎を信用していただき、結果が出せなかったことをお詫びします。ただ、思っていたレースをしなかったというのは事実。野中賢二調教師にレースを振り返ってもらっても、あの位置取りでレースをするとは思っていなかったとのこと。それが結果のすべてだと思います。
 次走に関しては、確定していないので、ここでの明記はできませんが、この1戦で見限るような馬ではありません。

[メモ登録用コメント] [芝1600mから1800m]併用調教なら勝ち負け

◆今朝の追い切り特報

・アルメリア賞【エイシンフランキー

 単勝1.6倍の支持を受けた、新馬戦を無難に勝利。良血ということもありますが、追い切りでの反応の良さを見ていると、まだまだ伸びしろがありそうな走りを見せてくれています。

 5日の最終追い切りは、デビュー戦最終追い切りの時とほとんど同じ内容。普通、一度レースを使われた馬はテンションが上がって、ラップの踏み方などが、バラバラになったりするものですが、それがないのは、この馬が重賞クラスの器であることを示します。

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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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