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ハープスター、レッドリヴェール、ベルカントなど桜花賞分析

  • 2014年04月09日(水) 18時00分


◆調教時間も中盤の時間帯に「!!」という動きを見せた馬は…

 チューリップ賞を終了した時点で「あの状態のハープスターが勝つんだから、仕方ないか」と思った桜花賞。私の見る目が正しいということを前提にすると、前走のハープスターは完全に仕上がり途上。それでも、他馬をあれだけ引き離すのですから「絶対能力が違う」という他に言葉はありません。

 1週前追い切り、そして朝の追い切りを見て、あらためて、その思いを強くしたのですが、調教時間も中盤の時間帯に「!!」という動きを見ることができました。果たして、その馬は…。

【桜花賞/ハープスター】

 トレセンニュースでもお伝えしたように、いつもと変わらないCコース追い切り。ちょっと驚いたのは、3頭併せの先頭で6F標識を過ぎたということですが、これは、内に入るとのびのび走ることができないからではないかと思います。

 逆に言うと、外に馬がいない状態だと、驚くほど安定して走ります。そこには重厚感もありますから、ちょっとやそっとじゃ減速しません。最後は内から迫ったラウンドワールドを寄せ付けずにゴール。6F時計も速く、緩めた感が一切ない今回は純粋にこの馬の能力が発揮されると考えるべきでしょう。

ハープスター

6F時計も速く、緩めた感が一切ないハープスター(4月9日撮影)



【桜花賞/レッドリヴェール】

 帰厩当初は「これで間に合うのかな?」という感じ。1週前追い切りでは「やっと良くなってきたのかな?」という感じ。とにかく先週までは、3連勝した能力の高さは評価できても、この中間の状態は当時よりも下ではないだろうか。そんな印象でした。

 ただ、画像の4月8日の坂路馬場でのキャンターを見て、かなり活気があるなあという印象を受け、その翌日の最終追い切り。坂路で荻野琢磨騎手(レースは戸崎圭太騎手)が跨って、ローブティサージュを追走する内容。徐々にその差を詰めて、最後は楽に先着。動きは先週と明らかに違っていました。

 時計は4F52.9〜3F38.4〜2F25.0〜1F12.3秒。4F、ラスト1Fともに自己ベストを更新。にも関わらず「すぐに息が入った」(須貝尚介調教師)というのですから、ここ数日の良化っぷりは半端ではありません。

レッドリヴェール

ここ数日の良化っぷりは半端ではないレッドリヴェール(4月8日撮影)



【桜花賞/ベルカント】

 前走時の最終追い切りは、朝日杯FS時と違って、ラスト1Fが最速になるラップの踏み方。それでハナに行かずとも結果が出たということであれば、追い切りは終い重点がこの馬のベストだと判断してよいと思います。

 今回の坂路での最終追い切りもそれを意識しているような、前半はゆったりとした走り。先行していたカチューシャを1F標識手前で追い抜くと、あとは引き離す一方。4F54.2〜3F39.3〜2F25.2〜1F12.0秒。全体時計は前走より少し遅くなったが、ラップの踏み方はほぼ同じ。前走同様、控える競馬に徹すれば、それなりの脚を使うことができる状態だと思います。

ベルカント

前走より少し遅くなったが、ラップの踏み方はほぼ同じのベルカント(4月8日撮影)



【桜花賞/ニシノミチシルベ】

 美浦所属馬ながら、栗東に滞在。桜花賞は栗東滞在の美浦所属馬が活躍しており、昨年はアユサンが優勝。同じ手塚貴久厩舎だけに、今回の滞在にはかなり注目していました。実際、1週前追い切りのCコースでは、非常に軽快な動きを見せてくれたので、最終追い切りを楽しみにしていたというのが本音です。

 しかし、その後、追い切りは行っていません。わたしはてっきり、6日にも時計を出すと思っていましたが、それがないということは、馬体が増えてこないのかな、なんて考えていました。その想像通り、最終追い切りでCコースに登場した同馬の体は細いシルエット。追い切りもかなり手控えられて、6F85.8秒。アユサンとは全く違う調整過程だけに、これでは栗東滞在とはいえ、評価できません。

ニシノミチシルベ

栗東滞在とはいえ、評価できないニシノミチシルベ(4月9日撮影)



【桜花賞/ホウライアキコ】

 画像は1週前。Cコースでの追い切りですが、この時点で桜花賞での評価を上位にしなければならないと思いました。というのも、前走時の1週前追い切りは坂路。デイリー杯2歳Sでも阪神JFでも、1週前追い切りがCコースだったのに対して、前走が坂路というのは、非常にマイナス材料だと判断していたからです。

 1週前追い切りの動きが上々だったこと、そして、最終追い切りもラスト1Fの伸びが秀逸な動き。最初の1F目を15.3秒で入ることができたのも、今回の距離へ対応するためには重要なラップでしょう。そこからしっかりと加速できているので、追い切りからは距離に疑問があるとは言えません。

ホウライアキコ

最終追い切りではラスト1Fの伸びが秀逸な動きだったホウライアキコ(4月3日撮影)



◆次走要注意

・4/5 中山9R 山吹賞【ショウナンラグーン】(2人/3着)

 前走、今回と近5走以内にメンバー最速上がりをマークし、最終追い切りが坂路で終い最速ラップに該当。今回は3着というレース結果でしたが、決して内容が悪かったとは思えません。

 馬体重が大きく減っていた点については、マイナス材料かも知れません。このまま使い続けるようだと、そろそろ堅実さがなくなるように思うので、一旦休みを挟んで、再び、最終追い切りが終い最速ラップなら。

[メモ登録用コメント] [芝中距離]最終追い切りが美浦坂路で終い最速ラップなら勝ち負け

・4/6 阪神10R マーガレットS【モンラッシェ】(4人/4着)

 これまでにない、先行するレースで4着。今までと違ったレーススタイルがこの結果に繋がったという考え方は否定できません。ただ、それ以外にも敗因と考えることができる材料もあります。

 まずは中1週。橋口弘次郎厩舎は中1週での成績が極端に悪く、それが要因と考えれます。また、中1週ということがあり、最終追い切りは軽め。馬体重こそ減っていましたが、これも敗因のひとつでしょう。一旦、ひと息入れてからの再戦に期待します。

[メモ登録用コメント] [芝1400m以下]最終追い切りが栗東坂路4F53.0秒以下で、ラスト1Fが最速ラップなら勝ち負け

◆今朝の追い切り特報

・4歳上500万下【フェリーチェレガロ

 JRA未勝利で地方競馬。賞金を積んで、JRAへ再転入していますが、その動きは非常に目立っています。すでに前走が2着で、馬券的妙味はないと思いますが、今朝はヴィルシーナに先行したとはいえ、相手を煽るくらいの持ったままの手応え。

 前走はダートでしたが、芝でも十分にやれると思いますし、距離も下限はマイル、条件は2000mまでこなしてくれるでしょう。

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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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