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キズナ、ゴールドシップ、ウインバリアシオンなど天皇賞(春)分析

  • 2014年04月30日(水) 18時00分


◆天皇賞(春)の今朝30日、最終追い切りの様子を交えたレポート

 先週の京都競馬場。芝レースで走破時計が速かったことは、すでにご存知でしょう。そんな高速芝に対応しているのが、最終追い切りで「栗東坂路4F時計の自己ベスト更新」した馬。マイラーズCを制したワールドエースは、その調教条件に該当していなくとも、勝っていたかも知れませんが、ダートでの未勝利を勝ち上がっていたロングリバイバルが、京都芝2400mのあずさ賞を勝った(単勝24.4倍)のは、自己ベストを更新したスピードが関係したと考えられます。

 今週も自己ベストを更新するような馬が出走すれば、と思っていましたが、30日の坂路馬場は雨の影響で重い状態。この馬場で自己ベストを更新する馬は少ないでしょう。また、重い状態で自己ベストを更新するような馬は「パワー」がある証拠ですから、ダート戦なら注目かも知れません。

 さて、今週は天皇賞(春)。もちろん当欄でも、同レースの今朝30日、最終追い切りの様子を交えたレポートをお届けしたいと思います。

【天皇賞春/キズナ】

 1週前追い切り。Cコースで武豊騎手が跨って単走でしたが、驚くほど落ち着いた走りを見せてくれました。だからといって、前走時が行きたがるような素振りを見せていたかといえば、そんなわけではありません。もともと折り合いに心配があったわけではなく、自分のリズムで競馬ができるかどうか、できた時に無類の強さを発揮しているという感じです。

 しかし、30日の追い切りもそうでしたが、乗り手のGOサインをきっちり待って、その指示通りに動くことができる。それが今の精神状態だと思います。馬体がパワーアップしたことも4歳になってからの強調点ですが、精神的に成長している点も、今のキズナだからこそ、そんな感じがします。

キズナ

4歳になってから馬体、精神の両方で成長が見られるキズナ(4月30日撮影)



【天皇賞春/ゴールドシップ】

 1週前追い切りは荻野琢真騎手が跨って、Cコースで破格の時計。あの走りを見た時に、仮に時計の速い京都芝でも、一旦スピードに乗れば、簡単には止まらないのではないか、というイメージが沸きました。それだけに、今週もCコースで追い切って、しかもレースで騎乗するジョッキーでの反応が見たい感じもしました。

 ただ、追い切り場所は坂路。もちろん、これはマイナスではありません。前走時が坂路で追い切って、あのレース結果ですから、問題はありません。むしろ、昨年との比較(Dコース芝馬場での最終追い切り)でいけば、今回の方が好走時追い切りと言えます。しかし、その内容が前走時ほどではないかなという印象。確かに時計の掛かる馬場であったことは間違いありませんが、少々判断に迷っているというのが、正直な感想です。

ゴールドシップ

正直、判断に迷っているゴールドシップ(4月29日撮影)



【天皇賞春/ウインバリアシオン】

 私の前走時の最終追い切り内容は「まずます」というジャッジ。それであの強い競馬ですから、定石通り、叩いて良化してくれば、チャンス到来というイメージでした。実際、1週前追い切りは、Cコースで3頭併せ。岩田康誠騎手との呼吸も抜群で、その動きは想像以上に良い動きでした。

 それだけに、期待した最終追い切りでしたが、鞍上がA.シュタルケ騎手にスイッチ。騎乗停止という、外的要因のため、これは仕方ないことですが、最終追い切りは、時計ほど良い印象が残らなかったというのが、私の個人的判断。細かな点を指摘すると、前にいた2頭を抜く際に、スムーズに加速したのが、1週前、今朝はややスピード乗りが悪かったように思いました。だからといって、無印にすることはありえませんが、予想段階で評価を下げることになりそうです。

ウインバリアシオン

今朝はややスピード乗りが悪かったように思えたウインバリアシオン(4月30日撮影)



【天皇賞春/ラストインパクト】

 1週前追い切りはCコースでアドマイヤスピカを追走して、速い時計を出す追い切り。メリハリのある動きで、かなり目立った動きでした。中間の追い切り内容はCコース中心のトラック調教なので、あまり注目していませんでしたが、この動きで、ちょっと見方が変わってきました。

 そして、最終追い切り。同じくCコースでの追い切りでしたが、その相手は3歳500万下。格下ということもあり、あっさりと先着しましたが、先週に比べると平凡な内容。時計も速いわけではなく、個人的には1週前のトーンが消沈したという感じ。ただし、前走時よりは明らかに走れる状態だと思います。

ラストインパクト

前走時よりは明らかに走れる状態のラストインパクト(4月30日撮影)



【天皇賞春/サトノノブレス】

 菊花賞では、最終追い切りが単走。池江泰寿厩舎の特徴を考えると、凡走のイメージだっただけに、かなり勉強させられた、2着という結果でした。日経新春杯でも、ごく標準的な追い切り本数で勝利。あまり追い切り内容にこだわる必要のない馬なのかな、と思いました。

 それだけに、この中間もある程度やっていけば、それなりに動いてくるだろうと想像していましたが、1週前追い切りがあまりにも地味。最終追い切りはCコースで3頭併せ、最後方から最内を突く内容でしたが、こちらもあまり調子が良いと思えないオーシャンブルーと互角の追い比べ。このひと追いで、ぐんと上昇する可能性はありますが、現時点では、ここに取り上げた馬の中で、最も低い評価になります。

サトノノブレス

現時点では、ここに取り上げた馬の中で最も低い評価のサトノノブレス(4月29日撮影)



◆次走要注意

・4/26 東京2R 3歳未勝利【コスモチャイム】(9人/5着)

 馬券総合倶楽部の狙い馬として、取り上げましたが、結果は5着。先行して粘り込むレース内容は見どころがありましたが、馬券的には、上位と力差を感じる内容でした。
 メンバー次第では、展開次第では、十分に出番もありそうなタイプ。次走以降も東京ダート1600mを使って、標準多め併用に仕上げることができれば、いつか順番が回ってきそうです。

[メモ登録用コメント] [東京ダート1600m]標準多め併用なら勝ち負け

・4/27 京都1R 3歳未勝利【クイズリングテラス】(10人/5着)

 馬券総合倶楽部の狙い馬として取り上げた理由は、最終追い切りがトラックでラスト1F最速ラップを踏んでいたから。もちろん、近5走にメンバー最速上がりを使っているという要素もあります。
 今回も後方から末脚に託して5着。次走以降も同様のレースで自分の型をつくってしまえば、差し切れる場面が来るでしょう。

[メモ登録用コメント] [京都ダート1800m]最終追い切りがCWで終い最速ラップ

◆今朝の追い切り特報

・糺の森特別【アサクサティアラ

 前走からレース間隔があきましたが、中間の追い切り本数は十分。阪神開催で使える状態でもありましたが、京都競馬場の方がパフォーマンスを上げるだろうという陣営の判断で待機。中途半端に間隔があくと、ピークが終わってしまうこともありますが、本馬はうまく調整できたと思います。最終追い切りはアサクサショパンを煽りまくる動き。
 これで大久保龍志厩舎の勝負調教にも該当しましたし、ここで勝てなければ、くらいの気持ちです。

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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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