スマートフォン版へ

メイショウマンボ、デニムアンドルビーなどヴィクトリマイル分析

  • 2014年05月14日(水) 18時00分


◆最終追い切りを終えての「混戦」ヴィクトリマイル出走馬レポート

 先週と同じ「東京芝1600m」で行われるヴィクトリマイル。歴史の浅い、牝馬限定のG1競走ですが、過去の優勝馬には、ウオッカ、ブエナビスタといった名牝がズラリ。それらと同じように名を連ねることができるか、否かはG1で3勝を挙げているメイショウマンボでしょう。ただし、netkeiba.comにおける、予想1番人気はスマートレイアー。そんな状況から「混戦」という言葉がふさわしいレースだろうと考えています。

 こんな時ほど「枠順ひとつ」でレースが左右されます。先週のNHKマイルC。圧倒的1番人気に続いた、2着3着はどちらも1番枠。どちらも二桁人気だったことを考えると、枠順のアドバンテージがあったと考えて当然です。そう思って、過去8年のヴィクトリアMの『枠番別成績』を調べてびっくり。「1番枠」は[1-2-4-9]で複勝率43.8%。複勝回収率が210%という成績でした。

 今回のヴィクトリアMの取材をする中、ある調教師が「G1に向けて、ピークに馬をつくっても、コンピューターで馬番を決められたら、それで台無しになってしまう。せめて、G1くらい、昔のように関係者が『くじ』を引いて、納得いく形で馬番を決めてさせてほしい」とコメントしていました。

 これで思い出したのが、先日のクイーンエリザベスCの公開枠順抽選会で福永祐一騎手が、ガッツポーズをしたシーン。レース結果はともかく、自分の力で思惑の馬番を引き当てることができるかどうか。これってすごく重要ではないでしょうか。G1になれば、各メディアに馬番についてのコメントが掲載されるくらい、重要なファクターなのですから、せめて、G1レースくらいは、昔のように枠順抽選会があってよいと思います。

【ヴィクトリアM/メイショウマンボ】

 何度も書くことになりますが、個人的に大阪杯は状態が芳しくなかったと判断しています。1週前追い切りがCコースで猛烈な時計、最終追い切りは坂路で馬なりであがり、自己ベストを更新する4F時計でした。これらの時計は「馬の状態が良くないから、自身でスピードのコントロールができていない」ことが理由だろうと思います。

 ひと叩きした今回は、明らかに馬体に良化がありますし、気性的にも落ち着きが出たように思います。今の状態なら、前走時のように、馬任せに追い切っても、極端に速い時計が出ないような気がします。しかし、陣営は意識的に時計が出ることを避け、ソフトな仕上げを選択しました。最終追い切りはCコースで6F85.6秒。これは非常に遅いと思います。ちなみにG1の3勝、すべて最終追い切りは坂路でした。決して能力のない馬ではありませんし、自身の調子は上向いていますが、現状で結果が出るほど、G1は甘くないのではないでしょうか。

メイショウマンボ

意識的に時計が出ることを避けソフトな仕上げのメイショウマンボ(5月14日撮影)



【ヴィクトリアM/デニムアンドルビー】

 ジャパンCでの強烈な末脚は、今でも脳裏に焼き付いていますが、今回は初めてのマイル戦。これを心配する方もいるでしょうが、私としては、ドバイ遠征から帰国して、栗東へ入厩したのが5月7日。帰厩後は、毎日のように坂路で15-15程度の追い切りをこなしているので、本数の帳尻は合うと思いますが、果たして、それで中身ができているのかどうか。

 13日の坂路馬場でのキャンターを見た時には表情が戦闘モードに入っており、非常に良い印象を受けました。14日の最終追い切りはCコースでラキシスらとの併せ馬。正直、動きの良さを期待していませんでしたが、思った以上に動いたという印象。やはり、牧場でもしっかりと乗り込んでいるのでしょう。休み明け自体は、ローズSを勝った実績があるので、ローテーションの心配もないと思いますが、やっぱり栗東での乗り込み量が少ないという点は評価できません。

デニムアンドルビー

栗東での乗り込み量が少ないという点は評価できないデニムアンドルビー(5月14日撮影)



【ヴィクトリアM/フーラブライド】

 53キロ、コーナー4つの中山競馬場で捲り勝ちした前走の中山牝馬S。状態うんぬんではなく、レース内容が東京マイルに適性があるかどうか、非常に疑問を感じていただけに、先週までは追い切りの動きを見ても、今ひとつ感じるものがありませんでした。

 しかし、14日の最終追い切りを見て、その考えが揺らぐことに。テンからある程度飛ばしていって、ラスト1Fは12.4秒。これだけなら、大げさに書くことではありませんが、ゴール前は騎乗していた武英智調教助手が手綱を抑えていました。きっと、これ以上、スピードに乗せると、やりすぎてしまうといったところでしょう。トップスピードに乗ろうとするところで、その制御をしっかりと受け入れ、スピードを出しすぎなかったフーラブライドの動きを見て、イメージになかった「自在性」を見ることができました。今の状態は最高潮ではないでしょうか。

フーラブライド

今の状態は最高潮ではないかと思うフーラブライド(5月14日撮影)



【ヴィクトリアM/ウリウリ】

 1週前にCコース、レース週は坂路で併せ馬を行い、どちらも先着する。この追い切りパターンで、1着、1着、2着と安定した成績を残しています。馬体重の増減が激しかった3歳春時に比べて、今は非常に安定していますから、このあたりが、しっかりとした追い切りをこなせる要因になっているのでしょう。

 今回も、過去3走と全く同じスタイル。1週前追い切りには福永祐一騎手が跨って、Cコースで併せ馬先着。そして、最終追い切りは坂路でトーホウストロングを追走して、きっちり先着。これだけ安定感のある追い切りをこなしていれば、東京競馬場への初めての輸送も心配ないと思います。

ウリウリ

安定感のある追い切りをこなしていたウリウリ(5月14日撮影)



【ヴィクトリアM/ヴィルシーナ】

 画像は5月13日の坂路馬場でのキャンターの様子ですが、気持ちの入った表情を見せており、非常にいい雰囲気。そして、最終追い切りは竹之下智昭騎手が跨って、Cコースでアドマイヤバラードを追走する内容でしたが、瞬時の反応の良さは前走時、内田博幸騎手が跨った追い切りよりも鋭く感じました。

 その時計は1F11.5秒。これを一緒に見ていた、担当の安田晋司調教助手は「この中間からハミ受けを工夫しているので、その効果が出たのではないでしょうか」とコメント。なかなか本来の能力が発揮されていない近走ですが、今回の追い切り内容、また、陣営の工夫を聞くと、やっぱり評価しなければいけない馬ではないかと思いました。

ヴィルシーナ

陣営の工夫や追い切り内容を聞くと評価しなければいけないヴィルシーナ(5月13日撮影)



◆次走要注意

・5/10 京都11R 京都新聞杯【モーリス】(7人/7着)

 捲るようなレース展開になり、直線では勝ち負け。しかし、後続に飲み込まれたあたりを見ると、この距離は長いと思われます。
 追い切りの動きを見ていても、マイル以下なら重賞でも通用しそうなスピードの持ち主。距離短縮で狙いでしょう。

[メモ登録用コメント] [芝1600m以下]併用調教で最終追い切りが併せ先着なら勝ち負け

・5/11 新潟11R 新潟大賞典【ダノンヨーヨー】(13人/5着)

 休み明けで追い切り本数も少なく、普通なら上位争いする状態ではないと思いますが、最後の直線は「おおっ」と思わせる脚。このメンバーで、直線平坦のローカル競馬場なら、十分に勝ち負けできる能力があるのでしょう。
 しかし、個人的には、休み明けだから走っていると思います。これは高齢馬にはよくあること。よって、次走ではなく、次走を使って、一旦休養して、新潟記念あたりに出走してくれば狙い。

[メモ登録用コメント] [新潟記念]休み明けを追い切り本数5本で出走すれば馬券圏内

◆今朝の追い切り特報

・はやぶさ賞【トウケイタイガー

 先週の当欄でも紹介しましたが、初めての直線競馬に対応するためには、坂路での2F目のラップが重要。この馬の14日の追い切りは2F目が12.2秒。3F目が12.7秒と我慢し、最後は1F14.1秒に失速しましたが、それは関係なし。2F目にこれだけ速いラップを踏むことができれば、直線競馬への適性は非常に高いと判断できます。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング