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アドマイヤサガスが差し切り重賞初制覇/北海道スプリントカップ・門別

  • 2014年06月13日(金) 18時00分
北海道スプリントカップ

(撮影:斎藤修)



◆厳しい流れの中、ペースのバランスがとれていた上位2頭

 北海道スプリントCは、前日の関東オークスに続いての現地観戦だったが、その川崎に続いての雨で、やはり水の浮く不良馬場。繰り返しになるが梅雨末期のような雨。そもそも北海道には梅雨がないのではないか。とは言われているが、近年の気象の変化で、北海道の南部に限っては確実に梅雨のような時期があると思うのだが、専門的にはどうなんでしょう。

 2番手を追走していたサイモンロードが4コーナーで手ごたえ十分に先頭に立ちかけたあたりでは、もしかしてと思った。さらに、直線残り200mのあたりでアウヤンテプイが先頭に抜け出したときは、今年こそは、とも思えた。

 しかし、外から馬体を併せて、水の浮く馬場をまさにドドドドドドッと音を立てて伸びてきたのが、アドマイヤサガスとスノードラゴンで、最後はアドマイヤサガスがスノードラゴンを振り切り、1馬身差をつけての重賞初制覇となった。

 「思ったよりスノードラゴンが早く来て、一瞬完全にむこうのほうが、クビかアタマくらいは出てるんですけど、そこから自分の脚を使って徐々に盛り返してくれた」とは、アドマイヤサガスの川田騎手。スノードラゴンのほうが前に出た、というのは、先頭に立ったという意味ではなく、このあたりではまだ前にはサイモンロードとアウヤンテプイがいた。これでアドマイヤサガスのエンジンに火がついたか、特に最後の100mではすばらしい伸びを見せた。

 前半、見た目にはそれほど速いペースには思えなかったが、最初の2F通過が22.6秒で、前半3Fが33.8秒。これはいかにも速かった。結果、レースの後半3Fは37.2秒かかって、勝ちタイムは1分11秒0というもの。

 好スタートをきったアドマイヤサガスは、スタート直後こそ先行した地方3頭の直後だったものの、その後中団あたりまで位置取りを下げた。これでアドマイヤサガスは前半34.4、後半36.6。馬群の後方を追走したスノードラゴンは、前半35.0、後半36.2。やはり結果を残した2頭は、ペースのバランスがとれている。

◆アウヤンテプイの価値ある4着

 そうした流れの中で、差のない3番手を追走し、昨年と同じ4着に踏ん張ったアウヤンテプイの、勝ち馬からコンマ4秒差というのは価値がある。昨年は良馬場でセレスハントの勝ちタイムが1分12秒2で、アウヤンテプイはそこからコンマ5秒差。昨年も今年も直前のエトワール賞で地元馬の2着に敗れての参戦だが、北海道スプリントCでは、ともに地方最先着で、馬券にはからめなかったものの中央馬上位独占に割って入っている。アウヤンテプイは厳しいペースでこそ力を発揮するタイプなのではないだろうか。一昨年秋に笠松から移籍して以降、門別では1200m以下のみを使われ、15戦8勝、2着5回。連対を外したのは、昨年と今年の北海道スプリントCのみ。実に安定して力を発揮している。

 大井に移籍して2戦の結果から、予想で○(対抗)評価としたアルゴリズムは、見せ場をつくれず8着。中央時代、ダートの不良馬場での出走は2度あり、勝ち馬から1.3秒離されての4着と、1.5秒離されての9着だから、単純に不良馬場が合わなかったということかもしれない。

 さらにはペース配分。大井移籍後2戦のペースを見ると、東京スプリント(3着)が前半35.7、後半36.1で、ゆりかもめオープン(1着)が前半35.2、後半36.0と、ともに前後半の差は1秒以内。それが今回は前半34.6、後半37.4というもの。馬群の中団追走は、この馬にとっては流れに乗りすぎた。スノードラゴンのように後方からのレースをすればもう少し見せ場はあったのではないか。ただそれは、不良馬場が不得手という可能性を除外しての話だが。

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1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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