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2014年度BTC利用頭数

  • 2015年02月04日(水) 18時00分
調教風景

BTC坂路コースでの調教風景(写真はイメージです)


少しずつ馬の数が減ってきているのではないかと感じていたが、データ上でもそうした傾向がある程度表れてきている

 年が明け、このほどBTC(軽種馬育成調教センター)の2014年度利用頭数がまとめられた。

 この2〜3年、ここを訪れる度に、少しずつ馬の数が減ってきているのではないかと感じていたが、データ上でもそうした傾向がある程度表れてきている。以前ならば、ズラリと駐車場に大型馬運車が並ぶ風景が見られたが、最近は台数もやや寂しくなっている。

 また、場内を行き交う人馬の数も、それほど多くない。しかし、育成牧場の軒数や、在厩頭数が大幅に減少しているのかというと、必ずしもそうとも限らない。

 昨年末の時点で、BTC周辺の、騎乗したまま調教場に乗り入れることが可能な範囲には、全部で約950馬房を数えるまでになっており、それ以外にも、馬運車でやってくる近隣の育成牧場は依然として少なくない。育成牧場によって多少の増減はあるものの、まだまだこの界隈には多くの育成馬が入厩し、日々、調教が行われているのは確かなようだ。

 まず、ここで利用頭数に関するデータを上げてみよう。2014年度に、この施設を利用した育成馬の延べ頭数は、14万4245頭。稼働日数が311日なので、割り算すると、1日あたり約464頭となる。季節によってやや変動があり、春から秋まではいくぶん少なく、秋から冬、そして年が明けて春までは頭数が増えるという傾向が見られる。

 因みに、年間の延べ利用頭数は、2013年が14万7617頭、その前年の2012年が16万7319頭であった。12年から13年にかけての減少率がやや大きいのは、利用料の値上げにより、育成牧場側が徐々に利用方法、頻度を変えてきたのが原因ではないか、と言われている。2012年に800円だった利用料が2013年より1000円に値上げされたのである。

 値上げ分だけで5000円の経費増となる。BTC利用料の25000円が預託料に占める割合は小さくなく、たぶんこの値上げを機に、利用の仕方が変わってきているのだろうと考えられる。また、相対的に新馬戦の開始が早くなったことにより、2歳馬の移動時期もそれに応じて早まっていることも大きな要因のひとつであろう。

 一方で、利用実頭数はほとんど変化がない。12年が2838頭、13年が2843頭、14年が2746頭と、プラスマイナス100頭の範囲に収まっている。この数字から推測できるのは、できるだけ自前の馬場で乗れる間はBTCに入らずに済ませ、例えば従来、週に5回利用していたのを4回、あるいは3回に減らすというような節約が進行してきているのだろうということだ。

 必ずしも、毎日BTCに乗り入れて調教を積んだからといって、それがただちに競走成績に反映するとは限らず、ある程度メリハリをつけて、強めの調教をする日だけBTC(たとえば坂路など)を利用するというような流れになってきているのかも知れない。

BTC坂路コースでの調教風景(写真はイメージです)

BTC坂路コースでの調教風景(写真はイメージです)



 その利用馬の競走成績はというと、2014年では、中央競馬で計719勝、地方競馬では2612勝という実績を残した。前年と比較すると中央では-38勝だったが、地方では逆に14勝の増加であった。

 これらのうち、2歳戦での数字は、中央が114勝で前年比13勝の増加。地方は108勝で3勝の減少である。

 また、利用馬の2014年度重賞成績は、中央のGIが3勝、GIIが3勝、GIIIが11勝であった。前年がGI3勝、GII5勝、GIII11勝だったので、GIIが2つ減っただけということになる。

 その代わり、地方(交流重賞のみ)では、GI5勝(+3)、GII2勝(+1)、GIII6勝(+1)と、それぞれ数字を伸ばしている。

 BTCは開場以来、今年で21年経つ。当初、利用料は400円だったが、その後、少しずつ値上げを続け、現在1000円。だが、本来、馬場管理その他の全ての経費を利用料で全額賄うには1頭1日あたり3000円くらいにしなければ間に合わないという説もある。だが、そこまでの値上げは事実上不可能で、当分は、現行の利用料のまま、いかに利用数頭を増やして行くかが大きな課題となる。

 とはいえ、利用する民間の育成牧場にとっては、多くが賃貸の馬房を借りての営業であり、利用料負担とともに家賃負担も大きく、なかなか月々の預託料を値下げすることができずにいる。しかし、顧客である馬主(あるいは生産者)からは、厳しい懐事情により現行の預託料でも高いとの不満の声も聞かれ、一部の育成牧場には、頭数を確保するために、条件付きで預託料の値下げに踏み切るところもある。1頭なら30万円でも、3頭ならば1頭当たり25万円にする、というように。

 近い将来には、消費税の増額も視野に入ってきており、BTCにとっても、利用する民間育成牧場にとっても、悩みは尽きない。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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