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クリソライトが武豊騎手との新コンビで押し切りV/ダイオライト記念・船橋

  • 2015年03月12日(木) 18時00分

(撮影:高橋正和)



強敵相手の秋の大一番でも期待

 フリオーソ引退後のダートグレード戦線では、南関東でさえも、人気が中央馬に集中して地方馬はほとんど単勝万馬券というような実力差がはっきりしたレースもめずらしくなく、昨年クリソライトが勝った日本テレビ盃もまさにそんなレースだった。しかし今回のダイオライト記念は、サミットストーンが単勝1番人気に支持されたのをはじめ、地元南関東勢は東京ダービー馬2頭や、近走の重賞で強い勝ち方をしている馬など、馬券の対象として可能性のある馬たちが揃った。ただ、だからといって中央のオープン馬と互角の勝負になるわけでもなく、上位3着までを中央勢に独占されたのは、期待が大きかったぶん、ちょっとがっかりだった。

 勝ったのは、メンバー中唯一のGI/JpnI勝ち馬クリソライトで、単勝では応援馬券もあったのか、わずかにサミットストーンが1番人気だったが、連勝系の馬券では、わずかの差ではあるもののクリソライトから売れていた。

 スタート直後、内から順にサミットストーン、クリソライト、アスカノロマン、アウトジェネラルの4頭が好スタートを切って横一線だったが、その中からサミットストーン、アスカノロマンがすぐに控え、クリソライトが行く気を見せたが、外のアウトジェネラルが主張して譲らなかったため、クリソライトは2番手からになった。

 1000m通過が61秒9で、5F目から8F目まで13秒台のラップを刻んだが、それでも13秒台の後半は一度もなく、ハイペースではないが道中は緩むことなく平均的なペースで流れていた。そのペースをつくったのは、前半は逃げたアウトジェネラルだが、後半、向正面からペースをつくったのは前に並びかけていったクリソライトだった。

 3コーナー過ぎでアウトジェネラルが自滅するように後退すると、自然とクリソライトが先頭に立ち、追ってきたアスカノロマン、トウシンイーグルを振り切っての勝利。ゴール前でアスカノロマンを交わして2着に入ったトウシンイーグルに2馬身半差は完勝といえる内容だが、2、3着馬がオープン勝ちまでの実績だったこと、また日本テレビ盃では上り36秒9という末脚で後続をちぎったのと比べると、今回の上りは39秒5。東京大賞典以来2カ月ぶりで、輸送があったにもかかわらずプラス11キロはやや太目のつくりだったのかもしれない。サミットストーンの凡走もあったが、クリソライトにとっては100%の能力を発揮しなくても勝てる相手だった。

 このあとしばらくは古馬2強、ホッコータルマエ、コパノリッキーが不在となり、クリソライトはおそらく、かしわ記念、帝王賞というダートJpnI路線を使われながら充実してくれば、前記2強も出走してくるであろう秋の大一番で逆転も狙えるところまで期待できるのではないか。

 地方最先着は4着のドラゴンエアル。道中はシビルウォーと同じような位置の中団を進み、先に仕掛けていったシビルウォーをゴール前でとらえての4着。ダービーグランプリから報知オールスターCの連勝で、その充実ぶりは見て取れたが、今回はダートグレード初挑戦での結果だけに、今後に期待のつながる内容といっていいだろう。

 シビルウォーは、昨年末の名古屋グランプリではゴール前で追い詰めて惜しい3着だったが、今回も同じように早めに動いていったものの、最後は脚が上がって5着。緩みのないペースはこの馬には向かなかったし、そもそも船橋コースは3戦して7、8、5着と不得手なのかもしれない。

 地方年度代表馬という看板を背負っての期待がかかったサミットストーンは、アスカノロマンとほぼ併走するように3番手を進んだが、直線ばったり止まって7着。東京大賞典、川崎記念ともに3着という内容からはこれが実力とはいえず、強敵相手に好走を続けた反動があったのかもしれない。また父ロージズインメイの産駒はピークが長くは続くかず、時に落ち込むという血統的なところもありそう。ただどこかでまた復活してくるタイプでもあるように思う。

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1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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