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「メジャーエンブレム1強」に待った シンハライトはゴールの天才/トレセン発秘話

  • 2016年04月06日(水) 18時00分
「東のメジャーエンブレムで本当に絶対なのか? いや、違う。西には唯一の無敗馬がいるではないか」。3歳牝馬クラシック第1弾・第76回桜花賞(10日=阪神芝外1600メートル)の「2歳女王絶対ムード」に、「トレセン発(秘)話」でおなじみの高岡功記者が敢然と異を唱えた。新馬→紅梅S→チューリップ賞と勝ち進む一方で、毎度僅差なため、微妙に甘く見られているシンハライト。果たしてその実像は!?“番記者”が、“ゴールを知る馬”の真相に迫った――。



◆荻野斉助手「前走と比べれば今回の方が断然いいよ」

「ハナ差」で勝つ馬は勝負強いのか、単に運がいいだけなのか…。

 ゴール前の追い比べで相手より前に出ようとする強い気持ちが表れての結果なら、「勝負強い」と言えるだろうし、首の上げ下げのタイミングでたまたまゴールの時に前に出ていたのなら、「運がいい」だけなのかもしれない。

「そんなもん、ケース・バイ・ケースやろ。でも勝負強い馬ってのはホンマにおるよ。特にサンデー(サイレンス)産駒はそういう馬が多かったな。ホンマやったら俺らジョッキーがなんとかせなアカンのやけど、サンデー産駒は競り合いになると馬が自分からやる気を出してグッと前に出るんや。サンデー特有の負けん気というのかな…。ああいうのは気性がきついのが競馬でいい方に出てるんやろな」とは現役時代、名手として鳴らした河内調教師だ。

 紅梅S→チューリップ賞と近2走をともに大接戦の末にハナ差で制し、厩舎内では“ゴールを知っている馬”とも評されるようになったシンハライト。果たして、この馬のハナ差2連勝は勝負強さによるものか、運が良かっただけなのか。第76回桜花賞の勝ち馬を探るうえで、重要ポイントとなるのは間違いない。当時の状況を詳細に振り返ることで“解明”してみたい。

 まずは2走前の紅梅S。当時は3か月の休養明けながら、追い切りは1週前=栗東坂路4ハロン54.5秒、当週=54.0秒と実質2本だけの軽い内容。最終追い切りに騎乗した鞍上の池添も「あまり良くは感じなかった」と証言している。レースでもゴール前の勢いは2着ワントゥワンの方が上回っていたのだが、「ゴール前もゴール後も相手の方が先に出ていたけど、ちょうどゴールのところだけ、ウチのが前に出ていた」とはシンハライト担当の荻野斉助手。

 紅梅Sに関しては「運が良かった」とした方が自然。ここで賞金を加算できたことで余裕を持ってチューリップ賞にも臨めたわけで、そこまでの過程も含めると、かなりの運の良さだ。

 ただし、前走のチューリップ賞に関しては「運が良かった」だけでは明らかに説明がつかない。直線で2着ジュエラーとほぼ同じ位置から追い出し、いったんはジュエラーが前に出ていた。そこからの逆転はゴール前で勝負根性を発揮しなければ成り立たないものだからだ。

「本番(桜花賞)を見据えたレースだけに、脚を測る面もあった。直線だけの競馬をして負かしたわけだから、強かったと思うよ。馬にはまだ余裕もあったからね」(荻野斉助手)

“名手”河内も恐れた「SSの勝負根性」を見事に受け継いだ馬(祖父がサンデー)だからこそできたハナ差V。つまりシンハライトは運もあって勝負強い馬なのだ。

「レース後の疲れはほとんどなかったし、カイバもこの馬なりに食べてくれているので、馬体重も安定している。1回叩いた分、前走と比べれば今回の方が断然いいよ」と荻野斉助手。

 ジュエラーとの再戦だけでなく、未対戦の2歳女王メジャーエンブレムも控えている。が、運があり、勝負根性もあり、何より“ゴールを知っている”シンハライトなら、無傷のV4で“桜冠”を奪取する可能性は十分過ぎるほどあり、と坂路野郎は思っている。
 (栗東の坂路野郎・高岡功)

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