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阪神の芝コンディションに注目/阪神牝馬S

  • 2016年04月08日(金) 18時00分


桜花賞への大きなヒントにもなる

 2冠牝馬ミッキークイーン以下の対決にも大きな興味があるが、今週は「桜花賞」。この古馬のGII「阪神牝馬S」は今年から1600mに変わった。これによってもたらされる影響(ヒント)は、今年の場合、きわめて大きい。

 みんなびっくりしたように、今春3月のチューリップ賞は、1分32秒8「46秒8-46秒0」だった。スローに近いバランスなのに、大変なレースレコードである。馬場改修直後のため高速だった2007年のウオッカ=ダイワスカーレットのレースレコード「1分33秒7」を0秒9も更新したのである。それだけではない。桜花賞レコード「1分33秒3」さえ0秒5も上回る快速記録だった。

 今春の中京では、500万の馬があのロードカナロアの高松宮記念レコードを「0秒8」も更新する1分07秒3で乗り切り、2200mでは無名馬が日本レコードで勝ち、高松宮記念のレコードも一気に1分06秒7まで1秒4も短縮された。1200mで「1秒4」というのは、ふつうは0秒1-2の世界なので、ありえない馬場激変である。

 東京では、メジャーエンブレムが独走したクイーンCが、レースレコードを実に1秒5も塗り替える「1分32秒5」だった。昨2015年のクイーンCをレースレコード・タイで2着したミッキークイーン(牝馬2冠馬)が「1分34秒0」である。

 東京も、阪神も、中京も「馬場を特別に整備したことはない」と説明しているが、本当にそれでこういう記録が生まれるなら、メジャーエンブレムも、チューリップ賞のシンハライト=ジュエラーも、桜花賞レコードの1分33秒3を更新することなどいとも簡単。歴史的な名牝である有馬記念馬ダイワスカーレット、日本ダービーのウオッカあたりを、大きく上回る能力を秘めていることになってしまう。

 阪神牝馬Sには、クイーンCを従来のレコードタイの1分34秒0で乗り切り、桜花賞は賞金が足りずに出走できなかったが、オークス、秋華賞を勝った前出のミッキークイーンがいる。2014年の桜花賞を、レースレコードと同じ1分33秒3で2着した記録を持つレッドリヴェールも出走する。

 マイルの時計で見劣り、別定の負坦重量56キロも不利だが、2冠馬ミッキークイーンを中心馬に期待し、3走前のレース中に挟まれる不利を受けた影響もあってスランプ状態だが、デキ(動き)は少しも悪くないレッドリヴェールの巻き返しを伏兵としたが、注目は重要なG1週を迎えた阪神の芝コンディション。

 先週、500万条件の5歳馬マラムデール(父フレンチデピュティ、母フサイチエアデール)が1600mを1分33秒4で快勝しているほどだから、十分に速い馬場だが、いったい阪神牝馬Sはどんな時計で、どんな上がりが記録されるのだろう。桜花賞のために、十分に見届けたい。高速であればあるほど、人気のメジャーエンブレムも、チューリップ賞組も信頼性は高まることになる。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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