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サマーセール近づく

  • 2016年08月10日(水) 18時00分
2015年サマーセール

サマーセールの会場風景(写真は昨年のサマーセール)


先月のセレクションセールに続いてこのサマーセールがどのような売れ行きを示すか


 来る8月22日(月)〜26日(金)の日程で、サマーセールが行われる。当初、4日間の予定だったが上場申し込み頭数が予想以上に増えたことから急きょ日程を1日延ばして5日間開催に変更された。

 現時点で名簿には1366頭が記載されているが、すでに今日の段階で33頭の欠場が決定しており、仮に昨年並みの数字になるならば、最終的には100頭前後が欠場するかもしれない。

 それでも1266頭前後の上場頭数で、昨年の1239頭よりもさらに多くなるであろうことは間違いなく、好況に湧いた先月のセレクションセールに続いて、このサマーセールがどのような売れ行きを示すかがひじょうに注目される。

 平均価格はともかくとして、上場頭数の上ではもちろん国内最大規模を誇るのがこのサマーセールであり、厳しい選抜を経て上場されるセレクトセール、セレクションセールとは異なり、日高を中心としたごく平均的な1歳馬が多数を占めるセールである。その分、生産地の景気動向を占う上でも有力な指標になるのがこのサマーセールであり、自ら競走に供する予定の馬やオーナーからの預かり馬以外の売り馬は、サマーセールか10月のオータムセールに上場されるのが一般的だ。

 頭数が多い分、種牡馬の偏りもある。追加分20頭を除いた当初の申し込み馬1346頭の記載された2冊の名簿から拾っていくだけでも、かなりのばらつきが見られる。

 アッミラーレ26頭、アドマイヤムーン18頭、ヴァーミリアン36頭、エイシンフラッシュ32頭、エスポワールシチー19頭、カネヒキリ31頭、キングヘイロー24頭、サウスヴィグラス41頭、シニスターミニスター32頭、シンボリクリスエス19頭、スウェプトオーヴァーボード19頭、スズカマンボ17頭、タイキシャトル28頭、ディープブリランテ24頭、トビーズコーナー21頭、トーセンホマレボシ18頭、ナカヤマフェスタ23頭、バトルプラン21頭、パイロ19頭、ブラックタイド17頭、フリオーソ26頭、プリサイスエンド20頭、ヘニーヒューズ26頭、ベーカバド28頭、メイショウボーラー34頭、モンテロッソ17頭、ヨハネスブルグ24頭、ロージズインメイ24頭、ローズキングダム22頭、このあたりが産駒の上場頭数が多い種牡馬として目につく。

 その他、ディープインパクトはさすがにいないものの、キングカメハメハ(牝)は1頭、初日に登場する。また今や日高の代表的な一流種牡馬となったスクリーンヒーロー産駒は11頭記載されているが、うち牡は2頭、牝馬が9頭という内訳だ。

 昨年はサマーセール、オータムセールともに売却率が65%台にのり、売り上げ総額もサマーで37億8820万円、オータムで14億7690万円を記録した。サマーセールの平均価格は466万5281円。昨年並みの水準を維持できれば、サマーセールの総売り上げは40億円にかなり近づきそうな気配もある。

 近年、サラブレッド生産頭数は全国的に漸減傾向にあるが、サマーセールの申し込み頭数は増えてきており、市場で売買することこそベストという考え方が浸透してきているのだろう。10年前の2006年には上場頭数こそ現在とそれほど差のない1122頭だったが、落札されたのはわずか356頭にとどまり、売却率も31.7%と振るわなかった。

 その後2009年までは30%台の売却率に甘んじていたが、2010年より40%台に乗り、その後は年々上昇カーブを描いてきており、一昨年の2014年にはついに夢の60%台へ突入し始めた。

 好調な売れ行きを見て庭先からセリへとシフトする生産者も多くなり、上場頭数はその後も着実に増加してきている。もちろんセレクト、セレクションと比較すると、血統的には玉石混交の感が否めないとはいえ、サマーセールは多くのプロのバイヤーが1頭ずつに厳しい視線を注いでおり、馬っぷりが良ければ、血統や性別に関係なく評価されるという傾向がある。

 ともあれ、多くの生産者が複数の1歳馬をここに上場させており、生産馬が果たしてどれくらいの価格で売れるかが来年以降の牧場経営に大きく関わってくる。

 いずれにしても、注目の5日間になりそうだ。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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