素直に買うならタガノアシュラ
ふつうに素直に買えば、
タガノアシュラ。函館の新馬1800mを1分49秒9のレコードで4馬身差独走。2着サトノアリシアは2戦目を順当に勝ち、札幌に移るとコスモス賞1800mを1分49秒4で勝って、もう2勝馬である。
タガノアシュラ(父マンハッタンカフェ)は、ステイゴールドの半妹レイサッシュの産駒。ちょっとカッカする気性だが、ここを勝てばもう「候補」の評価を得て不思議ない。
ただ、この2歳S。他にも使って大きく変わった印象のある注目馬がいる。
新種牡馬タートルボウル産駒の
トリオンフ。同じく新種牡馬アイルハヴアナザー産駒の
アンノートルには、種牡馬タートルボウル、アイルハヴアナザーの可能性をなんとか早く見きわめたいという意味で、注目したい。
タートルボウル(その3代父がノーザンダンサー)は、フランスを中心に【7-6-3-5】の名マイラーと紹介されるが、ジャックルマロワ賞、ムーランドロンシャン賞、仏2000ギニーなどランクの高いG1では大敗に近く、少なくとも快速系のトップマイラーではない。父方はND系の中ではスピード色の濃い父系であり、タートルボウルの産駒も欧州ではマイラーとして頭角を現したが、日本の1分33秒台とか、1分32秒台の高速レースは、例えば母方からサンデーサイレンスや、キングカメハメハの強い影響力を相当に受けないと難しい印象がある。
タートルボウルの牝系で日本で知られる馬は、近親馬ではないが、ディクタス、タイテエム、カラジ、仏オークスのカーリーナなど。意外やタートルボウルは日本では、マイルより中距離タイプの父になる可能性もあるのである。
トリオンフ(父タートルボウル)の牝系は、代は経たがメジロマックイーン、メジロファントムが代表馬に名を連ねる一族でもあり、トリオンフにはタガノアシュラの先行する流れを追撃しながら、みんなが苦しくなったところで伸びてみせるようなレースを期待したい。
アイルハヴアナザーはケンタッキーダービー、プリークネスSの2冠馬。その父フラワーアレイ(父ディストーティドヒューマー)の母になるプリンセスオリビアは、日本に輸入され、天皇賞・秋のスピルバーグ、トーセンラーなどを送っているから、ややっこしい父系である。多様に広がり続けるフォーティナイナー系らしく、もちろんダート巧者が多いだろうが、中には芝の方がずっといい産駒を送るのが、アイルハヴアナザーであっても驚けない。
アンノートル(父アイルハヴアナザー)の牝系には、祖母タイキトゥインクルを筆頭に軽快な芝向きのマイラー型が多い。人気はないが、同じ芝なら前2戦の東京や中京より、パワーも必要な洋芝のほうが合うだろう。アンノートルにも、人気のタガノアシュラを射程に入れて進みながら、直線はしっかり伸びてみせるようなレースで、未来を広げて欲しい。