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不器用でも素質は決して劣らない/東京スポーツ杯2歳S

  • 2016年11月18日(金) 18時01分


大跳びのフットワークは広い東京コースでこそ

 オープン特別の時代を経て、1996年から重賞「府中3歳ステークス」となり、しだいしだいに重要な2歳ステークスとなって、過去20回。

 関西馬が13勝、関東馬7勝。この秋、「秋華賞」も、「菊花賞」も人気を集めた関東馬は沈んでいる。レベル差というより、人気の関東所属馬は、関西圏への遠征競馬の経験がなかったのである。近年は大半の馬がJRAのトレセンと、民間トレセンを行き来しているから、輸送は慣れっこ。ただし、直前に輸送しレースに出走するとなると、経験なしは圧倒的に不利である。

 関西馬が「4頭」も出走してきた。左回りの広い東京コースを求めて…という理由もあるが、来年、日本ダービーや、NHKマイルCに東京遠征する(未来展望)ので、直前に日程が詰まって東京遠征を重ねるより、2009年の勝ち馬ローズキングダム、2011年のディープブリランテのように、いまから東京遠征を試みるのは、将来、断然有利なのである。

 5日のファンタジーSに遠征した関東の牝馬は1頭だけ。12日のデイリー杯2歳Sに遠征した関東馬は0頭だった。

 過去20回、1番人気馬は【10-2-2-6】。いかにもキャリアの浅い2歳重賞らしく、期待馬がその通りの素質で勝つことが半分。能力を発揮できずに負けるか、とんだ見込み違いでたちまち敗戦を受け入れる運命にある馬が半分という数字である。ファンの側は見込み違いだったら、たちまち修正すればいいが、大きく期待する馬同士なので関係者は大変である。

 素質勝負なので、まだ2-3戦に過ぎない実績は重要ではないが、珍しいことに、2勝以上馬「3頭」のうち、キングズラッシュ(父ルーラーシップ)と、ブレスジャーニー(父バトルプラン)は、ベテラン柴田善臣騎手(50)のお手馬である。厩舎やオーナーとの関係があるから、より乗りたい方(素質上位とみた方)に乗れるというものではないが、柴田善臣騎手はブレスジャーニー(3代母ダイナカール)の方に騎乗してきた。東京コース【2-0-1-0】がブレスジャーニーであり、レースセンスと切れ味では上位だ。

 ただ、長い目で見れば、まだ芯の心もとなさがあり不器用(新馬はレース直前に放馬。2戦目は行きたがった)でも、キングズラッシュの素質も決して劣らないとみて、キングズラッシュ「牝系の代表馬は桜花賞のコウユウ、名種牡馬ブロードブラッシュ(USA)」から入りたい。大跳びのフットワークは広い東京コースでこそだろう。

 ブレスジャーニーと、岩部騎手なので売れないが大きなストライドが魅力のオーバースペック、注目のトラストが相手本線。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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