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ラッキードリームが2冠達成した第49回北海優駿

  • 2021年06月23日(水) 18時00分

王冠賞で史上6頭目の北海道3冠にチャレンジ


 道営版“ダービー”として知られる「北海優駿」(1着賞金1000万円、距離外回り2000m)が6月17日に無観客で行われ、1番人気のラッキードリームが、2番人気のリーチに1馬身差をつけ、2分11秒9のタイムで優勝した。これでラッキードリームは前走の北斗盃に続き、2冠目を達成し、来月7月22日に予定されている王冠賞に駒を進めて、3冠にチャレンジすることになる。

生産地便り

北斗盃に続き2冠目の北海優駿も制したラッキードリーム


 ラッキードリームに騎乗していたのは石川倭騎手。前走の北斗盃の時には、落馬負傷のために急遽五十嵐冬樹騎手に代役を託すアクシデントに見舞われたが、2番人気のリーチに1馬身差をつけ、1冠目を制していた。今回もまた、同じ組み合わせ(しかも同一厩舎)によるワンツーとなり、現時点では実力が頭一つ抜き出ている印象だ。

 ラッキードリームは父シニスターミニスター、母サクラスリール、母の父ファンタスティックライトという血統の牡3歳馬。林和弘厩舎所属。馬主は林正夫氏、生産は新ひだか町・(有)谷岡牧場。通算成績は9戦6勝。獲得賞金は5320万円。2歳時のサッポロクラシックカップ、JBC2歳優駿、そして今シーズンの北斗盃に続きこれで重賞4勝目となった。

 騎乗した石川倭騎手は「プレッシャーを感じながらレースに臨みました。前走と比較はできないのですが、今回は調教時から気合い乗りがよくていい雰囲気だと感じていました。一番は自分の馬のことを考え、後は周りを見てから展開を決めようと思っていました。

 馬の能力を出せる位置を向こう正面から取れたので、後は頑張ってくれと思いながら追っていました。4コーナーではリーチの反応が素晴らしくて一旦離されたのですが、最後にはラッキードリームが力で差し切ってくれました。3冠を取れるように、調教など良い状態で臨めるよう頑張ります」とレース後にコメント。

 また管理する林和弘師は「嬉しいです。状態面では、一回使っていますので、リーチの方が具合は良かったのですが、この馬も負けず劣らず良い状態できました。リーチの具合が良かったので、やられてしまうのではないかと思ったのですが、最後は底力でねじ伏せたような感じです。正直なところメンバー的には負けないだろうとは見ておりました。順調に成長してくれています。このまま何とか3冠を取れるように頑張ります。

 リーチに関しては、少し距離が長いかと思ったのですが、具合の良さでカバーしてくれました。次は1800mですからリーチにもチャンスがあるのではないかと思っています」とレースを振り返った。石川倭騎手は2015年フジノサムライに続き2度目の勝利、また林和弘師はこのレース初勝利である。

生産地便り

北海優駿口取りの様子


 ところで、北海優駿は今年で49回目を迎えた。第1回は1973年(昭和48年)、岩見沢競馬場で行われ、マルサンファイアが1900mを2分1秒6で走破し優勝、と記録にはある。1着賞金は300万円であった。

 その後、馬券売り上げの増加とともに、1着賞金も増額されて行き、翌1974年には400万円、そのさらに1年後の1975年には500万円、そして1976年には600万円にまで加算された。そして1982年には700万円となり、1990年(平成2年)にはついに1000万円の大台に乗る。

 しかし、その後1999年(平成11年)には800万円に減額され、さらに2002年(平成14年)には、400万円まで下降してしまう。2002年〜2006年まで400万円時代が続き、2007年には500万円まで回復したものの、それから12年間、2018年までしばらく1着賞金500万円の厳しい時代が続いた。

 売り上げ回復が軌道に乗ってきた2019年に700万円となり、再び1000万円の大台に乗せられたのは、2020年、昨年のことである。ダービーである北海優駿こそ、1着賞金は1000万円だが、1冠目の北斗盃、そして来月に控えている3冠目の王冠賞はともに500万円。好調な売り上げを堅持していることを考えると、3冠体系の価値を高めるためにも、来季は思い切った増額があっても良いと思う。3歳馬の層を厚くしてレベルアップを図るには、何をおいても思い切った賞金の上積みが必要だ。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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