能力全開のスピードと切れを秘めるシーザリオの孫世代
土曜日朝の前売り段階とはいえ、エフフォーリア(父エピファネイア)が1番人気に支持されたのは予想外だった。まだ順位は変化するだろうが、エフフォーリアの今回は充電の放牧先から帰厩後、3週前、2週前だけでなくその中間も意欲的に時計を出し、復権に必死。効果の見られたブリンカーも装着する。馬体も絞れている。本来のエフフォーリアの快走が見られる可能性が高い。
凡走の大阪杯には敗因があった。3冠馬コントレイルを封じた昨秋の天皇賞(秋)がピークのデキなら、有馬記念はやや気配下降ぎみ。それでも勝ったから素晴らしいが、皐月賞や、天皇賞(秋)に比べると辛勝だった。
再出発した今春の大阪杯は、輸送に心配がある馬なので関西への初遠征を考慮し、非常に慎重な調整。だが、それが裏目に出て気迫を欠き、馬体重は輸送前より増えて太め残り。スタート前ゲートに突進のアクシデントもあった。どんな名馬でも崩れることはある。9着凡走はまったく能力を出し切れない結果だった。
エフフォーリアには、宝塚記念だから巻き返せるレースの傾向がある。調整の難しいシーズンであり、最近10年、前走1着で勝ったのはたった1頭だけ(有馬記念では5頭いる)。さらに、直前に連勝しながら宝塚記念を勝ったのは、近年では2006年のディープインパクトが最後になる。
2013年、2014年に勝ったゴールドシップは、その前走、5着、7着。2012年のオルフェーヴルの前走は11着。2017年のサトノクラウンは6着だった。
幸い、先週のマーメイドS2000mは、レースレコードの1分58秒3だった。開催日数が多く、整備の入念な阪神の芝は、状況が同じだった昨年が2分10秒9だったようにシーズン末のタフな芝ではない。パンサラッサが飛ばす流れは速い。渋馬場にならなければ昨年と同じ2分10秒台。それも10台前半の高速決着もある。
エフフォーリア、デアリングタクトは、名牝シーザリオの送ったエピファネイアの産駒。オーソリティ(父オルフェーヴル)の祖母はシーザリオ。名牝シーザリオの孫世代は、時計勝負の2200m前後で能力全開のスピードと切れを秘める。
ライバルのタイトルホルダー、ディープボンドに、もし死角があるなら高速の2200m向きとはいえないことか。人気割れなので、シーザリオの一族を相手本線に、ヒシイグアス、アリーヴォ、パンサラッサの評価を上げた馬券にしたい。