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【札幌2歳S・新潟記念・小倉2歳S予想】スピード能力を発揮し新馬戦勝ち ビッグドリームの調教内容は?

  • 2023年08月30日(水) 18時00分

調教適性を凌駕した走り


 今週で札幌、新潟、小倉の夏開催が終了。そして、いよいよ来週から秋開催がスタートということになります。ということで、秋の大舞台を目標にしている馬たちも栗東へ続々と帰厩。ゼッケンに馬名の入った馬たちが増えてきたので、気温こそまだまだ夏ですが、調教の雰囲気は秋っぽくなってきましたよ。

【札幌2歳S/ウールデュボヌール】

 札幌デビュー、ということで本来なら前走の最終追い切りやレースを観ていないんですが、札幌記念当日は競馬場で仕事があり、運よく、この馬のパドックを見ることができました。落ち着いた様子で周回するも、1度、周囲に馬がいないところで頭を振る仕草を見せたので「?」という感じでしたが、レースでも1コーナーのそういう仕草を見せ、かなり幼さを感じさせる内容。

 それでも、川田将雅騎手が両サイドに馬を置く形で最後の直線に向いてくれたことで、馬自身が最後までしっかり走ることができたんだと思います。この経験はすごく大きいと思いますし、同じ競馬場で走るということができるかぎりは、C.ルメール騎手に乗り替わっても問題ないと思います。

【新潟記念/プラダリア】

 今年に入って、日経新春杯、京都記念と3着が続いていましたが、目黒記念5着、宝塚記念6着とやや尻すぼみに春が終わったという、個人的な勝手な印象。宝塚記念はGIですから、勝ち馬イクイノックスから0.4秒差ならGIII勝ちくらいの価値はある、なんて見立てをする方もいるかもしれません。

 ただ、今回気になることは2点。まず、追い切り本数がさほど多くないこと。もうひとつは1週前追い切りのCWでのラップの踏み方。青葉賞1着時の1週前追いでは前半が多少のちぐはぐはあれ、15秒台のラップを刻んで、ラスト2F11秒台でしたが、今回は6Fから5F区間が14.2秒を踏んで、その後が14.9秒、15.4秒。ちょっと行きたがったのかな、というところで気になるというわけです。

調教Gメン研究所

追い切り本数がさほど多くないプラダリア(8月22日撮影)


【新潟記念/マイネルウィルトス】

 1年ぶりの函館記念は4着。10番人気という低評価でしたが、ウマい馬券では☆を打ちました。その理由は1週前追い切りの函館Wでの5F時計と併せ馬の内容。決して、1年ぶりでも軽視はできないと思いましたが、その判断自体は間違っていなかったと思います。

 ただ、今回は現時点で印を打つ可能性は低いかなと思います。理由は追い切りがすべて坂路だから。5歳までは坂路オンリーの調教で結果を出していたんですが、アルゼンチン共和国杯、目黒記念でそれぞれ2着した時はいずれもCWを併用しています。前走が大きく馬体重を増やしている上、トラックを併用していないとなれば、やっぱり凡走する確率が高いのでは、と疑ってしまいます。

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前走大きく馬体重を増やしているマイネルウィルトス(8月22日撮影)


【小倉2歳S/ビッグドリーム】

 デビュー前からCWでの追い切りが目立っていましたが、そんなスピード能力を調教と同じように発揮した結果が新馬勝ち。当時の調教内容は追い切り本数が少なかったり、この距離には必須な坂路調教がなかったりしましたが、そういった調教適性を凌駕した形です。

 今回もその点は変わっていません。1週前追い切りは6F77.1秒ととんでもない時計をマークして、最終追い切りはCWで軽め。さすがにこの調教パターンだと、どこかで一度壁にぶつかってもおかしくないかなとは思いますが、それがこことは思えませんから、楽々と突破してくれる、という期待も込めての評価です。

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スピード能力を発揮した結果新馬勝ちしたビッグドリーム(写真右、8月29日撮影)


【小倉2歳S/ミルテンベルク】

 デビュー前から素晴らしい調教内容。坂路でもCWでもしっかり時計を出せるという意味で、非常に将来性の高い調教内容だと評価したのは、新馬戦のウマい馬券に記した通り。今回も1週前追い切りはCWでしたが、4Fは56.4秒と遅め。ただ、ラスト2Fが12.0秒から10.9秒と素晴らしい伸びを見せており、1200mにおける現2歳世代でトップクラスの脚力があるのは間違いありません。

 武英智厩舎らしく、8月26日の土曜日にCWで6F79.9秒をマークして、その後は小倉へ移動。最終追い切りは小倉ダートで軽く時計を出す程度にとどめたようです。果たして、このパターンがどうか。ちなみにこの馬自身は前走の最終追いが坂路で4F56.9秒。あまり時計を出さないというのはすでに経験済みといってよいでしょう。

調教Gメン研究所

2歳世代でトップクラスの脚力があるミルテンベルク(写真奥、8月23日撮影)


◆次走要注意

・8/27 新潟2歳S【ヴァンヴィーヴ】(6人/6着)

 デビュー戦の最後の直線の鬼脚、2戦目の捲る脚。全く違う脚を使いましたが、今回は4コーナーで少し行きたがるところを見せていましたね。これが普通だと思うので、この経験を経ての次走は注目でしょう。

[メモ登録用コメント] [芝]最終追い切りが坂路で4F目最速ラップなら勝ち負け

◆開催おすすめの調教適性

<小倉芝1200m>
◎最終追い切りが坂路馬場で2F目から3F目区間で1秒以上加速するラップ
◎最終追い切りが坂路馬場で4F目最速ラップ
◎1週前追い切り以降トラック馬場で6F82.9秒以下

 昨年の勝ち馬は坂路の◎にダブルで該当。1週前追い切りがCWで6F83.7秒だったので、時計こそ条件をクリアできていませんでしたが、CWの6F追いが効果的だったのは間違いないでしょう。北九州記念は坂路◎ダブルが1着3着だったので、基本的にはこれがベストでしょうが、CW追い切りにもちょっと注意した方がよいでしょう。

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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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