ローカルのハンデ重賞は荒れるのがごく普通。当然、この小倉大賞典もそのパターンで、小倉で行われた最近10回のうち(中京は別)、10番人気以下の伏兵が5回も勝っている。その6頭の単勝は、22、38、49、42、22倍。荒れるとわかっているから人気も割れるのに、それでこれだけ人気落ちの馬が勝っているから、難しさは群を抜いている。ほかのコースとちがって、時計が速くなると波乱になる点も不思議だ。
こういう波乱大歓迎のレースで、人気の中心から入るのは逆に勇気がいるが、ようやく完全復活なった5歳マルカシェンクから入りたい。前走は、2歳時の3連勝以来、まったく久々の勝ち星。とくに行きたがったわけでもないが、同厩のニシノデュー(逃げ馬)がいるのに好スタートを切ると下げる素振りもなく、自分でレースを作って1分33秒4。5F通過58.1秒で行きながら、4コーナーを回って11.5秒。一気に突き放して勝負を決めている。改めて本質はマイラー型を示したともいえるが、体調さえ戻れば、オープン特別では能力が違った形だった。
ダービー4着、菊花賞7着など長距離でも善戦の星はあるが、この馬のマイラーに近いスピード能力を示したのは3歳秋の毎日王冠1800m。骨折で約5か月ぶりだったが、直線力強く伸びて1分45秒7。当時絶好調のダイワメジャーとたった0.2秒差だった。
今回はその1800m。57kgのハンデも他の有力馬よりは楽。ビッグレースに出走可能な賞金加算のため、あえてローカル重賞に遠征のここは是非勝って答えを出したい。
波乱を前提とすると、ニルヴァーナ、ディアデラノビアなど当面の強敵は一応は買うとして、差す形で一変しそうなオースミダイドウ、平坦に近いコースで大きく前進しそうなマイネルフォーグ、ピカレスクコートあたりが相手妙味。もちろん、侮りがたい10歳馬アサカディフィート(昨年の勝ち馬)は、今年も押さえる。