東京記念(10月9日 大井 サラ3歳以上 別定 SII 2400m)
春「大井記念(2600m)」と並ぶ、伝統の長距離戦。昨年は、重賞41戦目の8歳馬ウエノマルクンが悲願達成という趣きで勝ち、熱心な南関東ファンを喜ばせた(同馬は今春引退・現在乗馬クラブで活躍中と聞く)。ただし近年、この部門のレベル低下はかなり深刻な状況に陥っている。大井2100m以上の重賞が2つしかないこと。条件級にも長距離番組が組まれないこと。スピード重視、競馬界全体の流れからは、原則短距離〜マイル志向で納得だが、地方ダートに関する限り、また違う“価値感”があっていいとも思う。以前も書いたが、記者自身は「東京大賞典」、長距離(2600〜3000m)復活論者である。そもそも帝王賞と大賞典、1年に2度、同競馬場・同距離では、チャンピオンシップの意義が薄い。
ともあれ過去10年。1番人気[3-2-1-4]、2番人気[2-1-1-6]、3番人気[3-0-0-7]。例年少頭数のわりには波乱含みといえる数字で、99、04、07年と、3度に渡り馬単万馬券が出ている。99、01年を勝ったマキバスナイパー、善戦を続け02年に爆発したオンユアマーク。我慢のきく気性が何より問われ、当然ながら活躍馬の多くがリピーターだ。所属別は、大井=6勝、2着6回、船橋=4勝、2着3回、他に川崎2着1回。大井記念同様、地元馬に力が入る一戦か。3歳馬[1-0-2-5]。クラシック組が間に合わず(ジルグリッター回避)出走馬なしという今年だが、過去オペラハット、プリンシパルリバーら超A級が思わぬ凡走(優勝は05年ボンネビルレコード)。期待値よりキャリア重視…の参考にはなっている。逃げた馬=7、8、2、2、14、2、11、6、4、10着。連対3度、00年マロンハマナス、01年ミヨノショウリ、03年カイジンクン、いずれも人気薄だけに、やはり展開推理も怠れない。
◎マズルブラスト
(58・張田)
○ルースリンド
(58・内田博)
▲ロングウェーブ
(57・今野)
△ケイアイプラネット
(56・的場文)
△ナイキコランダム
(56・川島)
△ショーターザトッシ
(57・町田)
△ブルーライン
(56・戸崎)
マズルブラスト、ルースリンドの対戦。マズルブラストは、4歳時この東京記念、5歳時大井記念を勝ってきた。ともに自然流の先行で横綱相撲。厳しい流れの統一Gでは少し足りないという戦歴だが(ジリ脚ゆえ)、手ごろな相手、それもゆったり行ける長丁場なら一変した強さをみせる。父ホワイトマズル、典型的な晩成型。前々走、やや距離不足と思えた「サンタアニタT=1600m」2着、続く準重賞=1800mを完勝した。6歳秋、いよいよ旬を迎えたイメージ。中間好追い切りを連発し100%でここに臨む。条件、舞台がとにかくいい。
対してルースリンドは、前走帝王賞大敗(1コーナー不利)から4か月のブランク。強靭な末脚を持ちGロードでも通用する実力派だが、反面同馬には、常にじれったさ、悲運のようなものがつきまとう。早めに抜け出すマズルブラストを、勝負どころではたして射程圏に入れられるか。調教量は豊富でも、本来叩かれつつの気性だろう。ロングウェーブ、ケイアイプラネットの比較は、昨夏戸塚記念(2100m)制覇、ここを虎視眈々と狙ってきた前者に魅力がある。父ウイングアロー。追ってから何ともしぶとい。実績互角ショーターザトッシ、戸崎Jを配した上昇馬ブルーラインも侮れないが、本質的にマイル志向。むしろ大混戦になってナイキコランダムが穴か。