ハイセイコー記念(11月12日 大井 サラ2歳 定量 SII 1600m)
旧「青雲賞」。ハイセイコーは00年5月4日没、翌01年からメモリアルとして名称が変更された。改めて書く。ハイセイコーは72年、同レースを高橋三郎鞍上に7馬身差圧勝(2着・トサエンド)。1600m1分39秒2のレースレコードは、今もなお破られていない。あらゆる意味で日本競馬の一時代を築いたスーパーホース。もっとも記者は当時18歳、JRAの馬券は買っていたものの、大井(地方競馬)は“大人の領域”を感じ、なかなか足を踏み入れられなかった。それから35年。「思えば遠くへきたもんだ…」。意味不明ながら、そんな言葉が浮かんで消える。
過去10年間のデータ。1番人気[2-3-1-4]、2番人気[3-3-0-4]、3番
人気[2-1-2-5]。堅いか大波乱か、両極端の傾向で、馬単最高配当は99年、イチコウキャプテン→グットウエイ=110380円、対して00年、レオボストン→ミツルトップワン=220円、06年、ロイヤルボス→ザマローレル=590円など、低配当も少なくない。所属別は、大井=7勝、2着5、川崎=2勝、2着2、船橋=1勝、2着3。伝統的に地元大井が強いが、昨年、一昨年は、川崎、船橋勢のワンツーだった。他地区デビューの転入馬が案外苦戦するデータがあり、トータル[1-0-0-9]、優勝は98年ハイフレンドアトム(山形・上山)だけ。昨年ジェイドファスト(道営4勝・3番人気)も4着と伸び悩んだ。逃げた馬=6、3、7、1、2、6、3、1、5、1着。ノーマークの好走というケースが多く、優勝した01年スオウリージェント、05年アタゴハヤブサ、07年ヴァイタルシーズ、いずれも以後“大成”していない。
◎ノーステイオー
(54・左海)
○ナイキハイグレード
(54・戸崎)
▲シュバレスク
(54・張田)
△ソウブムテキ
(54・柏木)
△ナイキスターゲイザ
(54・石崎隆)
△スーパーヴィグラス
(54・吉田稔)
△エスプリアース
(54・坂井)
ベターフォーチュン
(54・真島)
アンビシャスガイ
(54・水野)
ロイヤルデジタル
(54・酒井)
ノーステイオーの前走「鎌倉記念」には息をのんだ。シャドーロール着用、首の高い走法。スタートダッシュこそ鈍くみえたが、1コーナー先手をとり切ってしまうとリズム一変。36.0-48.7-61.3秒、2歳馬とするとかなり過酷なラップを踏みながら、直線バテるどころか豪快なストライドで後続を大きくちぎった(11馬身差)。1500m1分34秒1は歴代2位。同開催、古馬B2(メインバンク=1分34秒4)との比較からも相当な価値がある。イメージは、速さと強さ、両面を備えた一級マイラー。器用さ、俊敏さに欠けるぶん、死角はハナ切れなかった際だが、前々走大井(7馬身差圧勝)はスムーズに加速がついた。右回りベターという可能性もある。
対してナイキハイグレードは、今回初重賞ながら、アグネスタキオン×ダイアモンドコア(浦和桜花賞)の超良血。3戦2勝、とりわけ前走大井、直線だけで5馬身突き抜けたレースぶりが素晴らしかった。川島正行厩舎、パワフルな馬体と走法。来春クラシック候補という観点からは、同馬上位の見方も十分成り立つ。シュバレスクは、船橋1000m59秒6のデビュー勝ち、さらに前走平和賞3着とエリート路線に乗っている。父ゴールドアリュール、自在に動ける競馬センス。今回初コースをこなせば夢が広がる。前哨戦「ゴールドジュニアー」1・2着のソウブムテキ、ナイキスターゲイザは、完成度で前者、上昇度で後者か。2戦2勝、今回吉田稔Jを配したスーパーヴィグラス、前走鎌倉記念がいい経験(5着)になりそうなエスプリアース。ともあれ現時点の素質馬、ほぼ出そろったという一戦で、ハイレベルの決着を期待したい。