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全日本2歳優駿・展望

  • 2008年12月15日(月) 12時40分
 全日本2歳優駿(12月17日 川崎 サラ2歳 定量 JpnI 1600m)

 2歳総決算=GIの時季が廻ってきた。師走も中旬になるとカレンダーはいよいよ早く、この後2週を置かず「有馬記念」。そして大井オーラス開催、「東京大賞典」→「東京シンデレラマイル」→「東京2歳優駿牝馬」、連発で重賞3本が控えている。競馬記者(自分のことだが)は今年もまた、転がるように、なだれ込むように新年を迎えるのだろう。

 過去10年のデータ。1番人気[3-3-2-2]、2番人気[1-0-2-7]、3番人気[1-4-0-5]。堅いか波乱含みか、数字上は微妙だが、上位人気で勝った99年アグネスデジタル、02年ユートピア、06年フリオーソなど、ほぼ例外なく後のチャンピオン級に成長している。馬単最高配当は、01年プリンシパルリバー→ジェネスアリダーの30880円。当時、単オッズ1.3倍シベリアンメドウ(JRAダート3戦3勝)が8着に沈み、同馬は以後もトンネルを抜け出せなかった。所属別は、JRA=7勝、2着4、船橋=2勝、2着1、道営=1勝、2着2。他に川崎=2着2、岩手=2着1。勝ち馬の平均キャリア4.3戦、同2着馬5.3戦。連対20頭中、19頭までダート2勝以上の実績があり(昨年イイデケンシンだけ1勝)、やはり経験は必要か。逃げた馬=12、2、2、2、1、9、3、8、2、1着。先手必勝ではないにせよ、前々を進めるタイプにアドバンテージ。時計が速くなるとその傾向に拍車がかかる。

◎ナイキハイグレード
(55・戸崎)
○スーニ
(55・内田博)
▲メトロノース
(55・ルメール)
△リスペクトキャット
(55・三浦)
△ワンダフルクエスト
(55・五十嵐)
△スズカワグナー
(55・安藤勝)
△ナサニエル
(55・服部茂)
ヴァルダマーナ
(55・御神本)
チョットゴメンナ
(55・今野)
マイネルヘリオス
(55・宮下瞳)

 ナイキハイグレード◎は、ハイセイコー記念を圧勝した時点で決めていた。結果空振りでも悔いがない、そんな感じか。同馬はデビュー2戦目から3連勝、圧倒的な爆発力はもちろん、キャリアを積むたび一戦ごとの“進化”があった。前走「ハイセイコー記念」、初コースで追走に苦労した1か月前とは別馬のようなレースぶり。1人気ノーステイオーを持ったまま追走し、直線余裕残しで突き抜けている。父アグネスタキオン、いかにもそれらしい切れ味と競馬センス。加えて母ダイアモンドコアは、10年「浦和桜花賞」を圧勝した名牝で(その父ジェイドロバリー)、南関ファンとして思い入れがきわめて強い。一時代を築く予感。時計、記録面はさておき、現時点でフリオーソ級のスケールを思わせる。

 とはいえ、JRA勢は例年以上にレベルが高い。中でもGレースをすでに制したスーニ、メトロノースは、例えば過去地方馬のライバルとなった、プライドキム、トロピカルライト級をスケールの点ではっきり凌ぐ。とりわけスーニはダート3戦全勝、前走兵庫ジュニアグランプリ(GII)を最後差し返す形で乗り切った。ハイグレードに、これを打ち負かすパワーと精神力があるかどうか。いずれにせよ今回の結果で、JRA対地方、勢力図、力関係がほぼ決定されることになる。繰り上がり出走リスペクトキャット(フィフスペトル回避)も、戦歴、血統からはかなり期待値が高いだろう。道営5勝ワンダフルクエストは一貫末脚勝負の個性派で、折り合いと展開がカギになる。初ダート・スズカワグナーは、素質比較以前に適性をどうみるか難しい。良血ナサニエルは心身とも若さが残る。

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日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

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