東京ダービー(6月3日 大井 サラ3歳 定量 SI 2000m)
「東京ダービー」は99年、2400m→2000mに距離変更。「羽田盃」→「東京ダービー」→「ジャパンダートダービー」の3冠路線が確定したのもこの年で、以後10年経過、今年は一つ節目といえるだろう。しかしそれより何より今回は歴史的な“紅白対決”。2冠牝馬ネフェルメモリーが、自らのテリトリーを超えて挑戦する。最初に牝馬のデータから書いておく。近20年、勝ったのは89年ロジータ、91年アポロピンク。トータル[2-0-1-17]だからいいとはいえない。ただこの2頭とも2400m時代の優勝。現在2000mを思えば、女傑級、名牝級なら…という感もある。例えば06年チャームアスリープ。東京ダービー大波乱(ビービートルネード=12番人気)の結果からは可能性が十分描けた。
(1)…基本は順当。1番人気[3-1-2-4]、2番人気[2-2-3-3]、3番人気[2-4-0-4]。おおむね実績上位馬の決着で、波乱は“低レベル”の年に限られる。
(2)…船橋勢リード。船橋=5勝、2着3。川崎=4勝、2着2。ホーム大井は低調で、99年オリオンザサンクス以来、勝ち馬が途絶えている(ただし2着は5回)。
(3)…羽田盃が基準。優勝馬=1、7、1、3、1、8、1、3、8、10着。一見ムラな数字だが、03年ナイキアディライト、05年シーチャリオットなど、人気で勝った馬はやはり強い。
(4)…差し馬注目。過去10年の連対馬は、逃げ=4、先行=4、差し=7、追込=5。意外なほど末脚勝負型が届いている。2400m当時からこの傾向は変わらない。
※データ推奨馬
▲ブルーヒーロー…本来、条件合致はシャレーストーン(羽田盃2着)とみていたが、直前に故障リタイア。ただこちらも、データ(2)(4)からは魅力があり、今回大井良馬場なら真価が問われる。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆
◎ネフェルメモリー
(54・内田博)
○ナイキハイグレード
(56・戸崎)
▲ブルーヒーロー
(56・真島)
△モエレエターナル
(54・今野)
△サイレントスタメン
(56・金子)
△ブルーラッド
(56・御神本)
△ワンダフルクエスト
(56・五十嵐)
ワタリシンセイキ
(56・石崎隆)
スーパーヴィグラス
(56・張田)
アンペア
(54・水野)
対決の夜。2頭ともハイレベルは間違いないが、はたしてどちらが上か、実績、時計など記録上は、2通りの見方ができる。プリンセス賞1800m1分53秒5、現実に羽田盃(1分54秒9)を凌いだネフェルメモリー、その羽田盃でモエレエターナルに5馬身差をつけた(ネフェルとはプリンセス賞で3.1/2馬身差)ナイキハイグレード。ネフェルはいまだダート7戦全勝であり、対してハイグレードは昨暮れ「2歳優駿=GI」3着を誇っている。
記者結論は、スピード能力、完成度でネフェル◎とした。スタートから瞬時にトップギアに入る俊敏さ、先頭に立った時点でスッと折り合えるセンスのよさ。少なくとも南関東3戦(2歳優駿牝馬→桜花賞→プリンセス賞)は、自身8〜9分の走りとみえ、しかもパドックの馬体など、一戦ごとに幅と厚み、さらに威圧感を増している。内田博Jをしっかり確保。今回3枠3番ももちろん強運。3〜4コーナー、並ばれる前に加速して直線独走。歴史的名牝誕生…をイメージした。
ナイキハイグレードも、ごく客観的にみて通年以上、確かなレベルの羽田盃馬だが、京浜盃を含め現実にシャレーストーン(故障・回避)とはきわどい勝負。時計自体もほぼ目いっぱいという印象だった。ネフェルの“速さ”を熟知する戸崎Jがどう乗るか。多少強引でも早めに馬体を併せ、牡馬のパワーを引き出したい。
別路線「クラウンC」「東京湾C」組では、ブルーヒーローが最も中身の濃い競馬をした。まだキャリア6戦、母系カコイーシーズの背景からも、距離延長で魅力がある。それぞれの勝ち馬、サイレントスタメンは末一手の不器用さ、ブルーラッドはぎりぎりの馬体が減点材料。それなら昇り目は疑問でも、実戦派モエレエターナルがむしろ上位か。他では道営時のコンビ・五十嵐冬Jで臨むワンダフルクエスト。文字通り正念場だ。