マリーンC(6月10日 船橋 サラ3歳以上牝馬 別定 JpnIII 1600m)
「マリーンC」は、97年、牝馬GIIIとして創設。以後12年、JRA=7勝(2着6)、南関東=5勝(2着5)、ほぼ互角の成績で(東海所属馬が2着1)、いかにも交流戦らしい歴史を重ねてきた。その第1回、ファッションショー→スターセレッソ、JRA同士の決着だが、優勝馬ファッションショー(山内研二厩舎)には、佐藤隆騎手(06年・落馬事故で他界)が地元の腕を頼まれ騎乗、見事期待に応えている。ジョッキー界にも新しい流れが生まれつつあったころ。今ふり返ると改めて感慨深い。
(1)…基本は堅め。1番人気[5-1-1-3]とかなりの高率。1〜3人気がそろって連対を外した年は1度しかなく、過去10年中、7度まで馬複15倍以下に収まっている。
(2)…リピーターの活躍。プリエミネンス(01・02年)、トーセンジョウオー(05・07年)がそれぞれ2勝。グラッブユアハートが05年2着、06年1着と好成績をあげた。
(3)…前年クイーン賞(船橋1800m)に注目。とりわけその2着馬が目立って強く、過去6頭出走3、3、2、2、1、1着。昨年もメイショウバトラーが雪辱した。
(4)…自在型に強み。連対馬のレースぶりは、逃げ=2、先行=6、差し=7、追込み=5。特に偏りはないが、高速決着が多く、好位差しタイプが理想か。
※データ推奨馬
◎ユキチャン…1〜2番人気はまず確定。このレース自体のリピーターではないが、昨秋クイーン賞2着馬、船橋コースに高い適性が感じられる。時計勝負歓迎。好位からしぶとい脚を使うイメージ。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆
◎ユキチャン
(56・武豊)
○ヤマトマリオン
(55・幸)
▲シスターエレキング
(54・桑島)
△トーセントップラン
(54・的場文)
△メイショウバトラー
(54・福永)
△パノラマビューティ
(54・御神本)
△ベルモントプロテア
(54・石崎駿)
ストーリーテリング
(54・内田博)
パフィオペディラム
(54・左海)
今回基準とみた昨暮れ「クイーン賞」は、1000m通過60.6秒のハイペース。4コーナー、早めに先頭を奪ったユキチャンを、直後から発進したヤマトマリオンが、最後頭差競り落とした。ただしこの2頭、展開、流れを踏まえていうなら五分と五分。続く「TCK女王盃」も含め、ユキチャンは目標になる不利、対してヤマトマリオンには追うものの強み…が常にあった。前走「エンプレス杯」は出遅れが響いたものでもちろん論外。今回1800m→1600mへ短縮も、本来のスピード能力を思えばユキチャンにプラス点が出るだろう。昨夏「関東オークス」2分14秒7は、交流後のレースレコード(8馬身差)。白毛のスターホース、それだけの存在では終わるまい。中間3か月半。長めから7本の時計を出すなど、順調さと意欲も買える。好位で折り合い、二の脚を使う作戦か。同馬に関しては、鞍上・武豊Jにも正念場だ。
ともあれ順当には、そのヤマトマリオンと一騎打ち。対ユキチャン、3戦3勝はやはり動かぬ事実で、安定感のある末脚、卓越した勝負根性など、まさしく円熟。しかも今回は自身55kg、相手56kgと、斤量面でもアドバンテージがある。昨シーズン、長く力走を続けた反動が、ここで微妙に出ないかという懸念だけ。少なくとも予想上は割り引きの根拠が薄い。
第3の馬にどれをとるか。地方Gでは女傑に近い実績を誇るメイショウバトラーだが、さすがに9歳を迎え、勝負どころの反応があやしくなった。前走「しらさぎ賞」2着トーセントップランは、レース自体あくまで南関東レベルと思え、そこでデザートレジーナに敗れた以上、決め手ひと息と判断する。それなら現実にエンプレス杯で2強を押さえたシスターエレキングの徹底先行。同馬の中間3か月半は、間違いなく“充電”になるはずだ。内田博Jで臨むストーリーテリングは、1600m1戦11着で距離微妙。むしろ盲点はハマって切れるパノラマビューティか。