帝王賞(6月24日 大井 サラ4歳以上 定量57kg JpnI 2000m)
「帝王賞」は、86年に交流Gへ移行、すでに23年の時を重ねた。実質“第1回”をトムカウント=石崎隆が制し、以後しばらく地方主導で歴史が進む。テツノカチドキ、チヤンピオンスター、フェートノーザン。しかし90年、オサイチブレベストの優勝を機に流れが変わり、ライブリマウント、ホクトベガ、ファストフレンドら、JRAの“反攻”が始まっていく。それでもトータル、地方13勝、JRA11勝(92年は1着同着)は、地方側にとって誇れる数字か。帝王賞に限らず大井コースは一面特殊(砂質とされる)で、馬自身の適不適がかなり大きい。もう一つ不思議なのは、過去23年の中で1頭として“連覇”がないこと。言わずもがな、今年はフリオーソが、そのジンクス、負のデータに挑戦する。
(1)…波乱含み。過去10年、1番人気[3-2-1-4]、2番人気[3-1-0-6]は合格点ぎりぎりの数字といえる。馬単5000円を超す波乱が5度あるから堅くはない。
(2)…JRAか船橋か。JRA=5勝、2着7、船橋=4勝、2着2。他は岩手=1勝(メイセイオペラ)、大井=2着1(ドラールアラビアン)があっただけ。
(3)…前年の東京大賞典に注目。今回勝者のカネヒキリは不在だが、データ的にはその2着馬が、1、1、不、4、2、不、4、不、7、1着とほぼ例外なく好走している。これは特筆。
(4)…5歳馬優勢。意外なほど高齢馬が良積をあげるダートGだが、帝王賞に限ると、5歳馬=6勝、2着5。円熟期、しかも勢いを残した馬がやはり強い。
※データ推奨馬
◎ヴァーミリアン… どちらのデータをとるか難しいが(5歳有利のフリオーソ)、ヴァーミリアンは元より断然格上の実績があり、しかも昨暮れ東京大賞典を敗れて強しの2着だった。ここ数年、JRA=船橋、ほぼ互い違いの形で優勝馬が出ている。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆
◎フリオーソ
(戸崎・57)
○ヴァーミリアン
(武豊・57)
▲アンパサンド
(御神本・57)
△アロンダイト
(後藤・57)
△ボンネビルレコード
(的場文・57)
△バグパイプウィンド
(坂井・57)
△ルースリンド
(佐藤太・57)
アジュディミツオー
(石崎隆・57)
スズノマグマ
(藤田・57)
マンオブパーサー
(今野・57)
スターシップ
(北村宏・57)
ヴァーミリアンVSフリオーソ。実績、貫禄はむろん前者で、現実にこの対戦はヴァーミリアンの6戦6勝、すべて決定的な差(3馬身以上)がついた。ただ7歳と5歳、競走馬にはやはり旬と勢いがあり、今回の臨戦ステップも含め、明らかにフリオーソへ順風が吹いている。逆転、そして真の意味での王座奪取。“いよいよ…”なのか、“ようやく…”なのか、とにかくここは文字通り正念場だ。
フリオーソの特長。同馬のベストパフォーマンスはこれまで4度あったと思う。3歳夏「ジャパンダートダービー」、昨年、今年と連覇した「ダイオライト記念」、さらに結果2着ながらカネヒキリと一騎打ちを演じた「川崎記念」。いずれにせよ、中〜長距離を自分のリズムで走ったとき、その能力が100%全開する。父ブライアンズタイム、本質はステイヤー。今回は同厩アジュディミツオーの先導をフルに使える展開の利もあるだろう。前走「かしわ記念」5着は忙しい流れのマイルGIだけに合格ライン。大井2000mなら2分02秒9、持ち時計でヴァーミリアンを凌いでいる。
第3の馬。ごく普通の能力比較からは、3歳で「JCダート」制覇、今季復活を果たしたアロンダイトだが、地方初遠征など未知数の部分もかなり大きい。フリオーソ◎とした以上、むしろその好敵手アンパサンドに食指が動く。こちらも大井2000mに最もフィーリングが合っている。ボンネビルレコードは、的場文騎手とのコンビで幾多のミラクルを演じてきた鬼脚だが、今回の顔ぶれで、はたして同馬向きの展開になるかどうか。以下、新鮮味でバグパイプウィンド、歴戦のキャリアでルースリンド。