浦和記念(11月25日 浦和 サラ3歳以上 別定 JpnII 2000m)
「浦和記念」は、96年から統一G移行。何度か書いたことだが、その初年度をホクトベガが勝ち、そこで彼女は南関東グランドスラム(4場・重賞制覇)を達成した。
当日の「南浦和」駅前、ウィークデーにもかかわらず、送迎バスに二重三重のファンが並んだのを思い出す。ともあれ、以後の傾向といえば、キョウトシチー、タイキシャーロック、マキバスナイパー…など、小回りコースながら、案外“重厚”なタイプが活躍することか。
05年は、いわくヴァーミリアンの出世レースになっている。思い出、感傷はさておき、存在感、位置付けなど、イメージ以上の重みがある。
(1)…近年平穏。1番人気[3-3-1-3]、2番人気[3-4-1-2]。近年荒れたのは06年(ケイアイミリオン)だけで、おおむね人気馬が好走している。
(2)…地方馬が穴。JRA=5勝、2着4と優勢だが、そのワンツーは2度しかなく、船橋2勝、大井1勝、川崎2。岩手・東海も、2着2度の善戦がある。
(3)…年齢は広範囲。7歳馬=2勝、8歳馬=1勝がある半面、昨年スマートファルコンなど、3歳馬(内2頭が浦和初コース)も3勝している。
(4)…連覇なし。リピーターの活躍はあるものの(マキバスナイパー・00・02年優勝)過去10年で連覇はない(98年タイキシャーロック=3番人気5着など)。
(5)…先行有利。連対20頭は、逃げ=4、先行=11、差し=5、追込み=0。逃げてマイペースも少なくないが、3コーナー先頭(捲り)が理想の形か。
※データ推奨馬
◎エーシンモアオバー…「連覇なし」「追い込み不利」のデータから、スマートファルコン、テスタマッタは推しづらい。となると、ダート5連勝、一貫徹底先行で乗り切った同馬が浮かぶ。並ばれてもうひと脚使った前走など、いかにも浦和2000m向きだ。父は今季No.1サイヤーに及ぶ勢い。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆
◎スマートファルコン
(57岩田)
○エーシンモアオバー
(54中舘)
▲テスタマッタ
(56スミヨン)
△ブルーラッド
(54戸崎)
△マルブツリード
(56浜中)
△ライジングウェーブ
(56酒井)
△ギャンブルオンミー
(56繁田)
ルースリンド
(56石崎隆)
JRA勢、直前回避馬が2頭出た。マコトスパルビエロ、ダイショウジェットに変わり、テスタマッタ、マルブツリードが繰り上がり。12月6日に「ジャパンCダート=阪神1800m」が控え、各陣営、路線選択が難しいということだろう。むろんこうした場合、当初からのステップで臨める馬に信頼感がある。
スマートファルコンは統一Gをすでに8勝。JRAサイドからは“裏路線”にみえても、スピード、瞬発力、勝負強さ、あらゆる角度からダートGI級と断言できる。
距離、コース、基本的に“何でも来い”の逞しさ。今季唯一完敗の盛岡「マーキュリーC」も、一人旅のマコトスパルビエロ、58対56kg、最後闘志を振り絞って連対だから傷にならない。
記者推測だが、同馬はここから「東京大賞典=12月29日大井」へ直進だろう。中間ひと息入れ、充電なっていればおそらく圧倒。本番・大賞典では、父ゴールドアリュールとの2代制覇も期待される。
ただしエーシンモアオバーはかなり手強い。ダートに転じ5戦5勝。確かに逃げ一辺倒だが、前走東京「ブラジルC」など、ゴールデンチケットにいったん並ばれ差し返す内容で、父マンハッタンカフェからも単なるスピード馬とは一線を画している。
先手必勝、地方ジョッキーとよく似た流儀、技術を持つ中舘騎手。Sファルコンに破綻があれば(状態の面で)、逃げ切りも十分浮かぶ。
テスタマッタはジャパンダートダービー馬。大井2000m2分04秒5、帝王賞とは時計1つ差があるが(ヴァーミリアン=2分03秒6)、それでも勝ちっぷりの豪快さ、世代レベルの高さ(当時2着シルクメビウスは先週トパーズS圧勝)など、古馬GII級なら、いきなりねじ伏せて不思議ない。スミヨン騎手、2度目のコンビ。小回りコース克服が鍵になるか。
マルブツリードはノンタイトル、前々走日本テレビ盃大敗(9着)からも少し落ちる。
地方勢ではブルーラッドだ。重賞3勝の3歳新鋭。心身両面、まだ甘い部分もありそうだが、前々走戸塚記念は2100m2分15秒0。ラヴェリータ(関東オークス=2分15秒5)を物指しにすれば、数字上脈が出てくる。エース・戸崎Jがどう乗るか。入着以上なら大賞典へ夢がつながる。
実績はルースリンドだが、さすがに8歳暮れ、新鮮味に欠けるのも事実だろう。“3着の穴”として、伸びしろのあるライジングウェーブ、ギャンブルオンミーをあえてとった。