勝島王冠(12月2日 大井 サラ3歳以上 別定 SIII 1800m)
「勝島王冠」は、今年からの新設(昇格)SIII。昨年まで準重賞「勝島賞」として、同じく12月上旬、同距離1800mで施行されてきた。ただ改めて思うと、大井で行われる古馬重賞(牡馬)、“距離1800m”が1つもなかったのは、何やら不思議。1800mは競馬のいわく“基幹距離”であり、しかも大井の場合はゆったり走れる外回りコース、元より力勝負の舞台にふさわしかった。いずれにせよ、やみくもに短距離、マイル重賞を増やすより、記者個人的には妥当と思う。
昨年の勝ち馬はブルーホーク。道中3番手から一気に弾け、最後4馬身差の圧勝だった。同馬は続く「東京大賞典」挑戦、結果7着ながらチャレンジャーらしい逃げで見せ場を作り、以後半年の充電後、今夏「サンタアニタT」で重賞初制覇を果たしている。惜しい馬…そう書かなければいけないのはやはり悲しい。そのサンタアニタ快勝後、3週間もたたない8月10日未明、“疝痛”のため急逝した。好事魔多し、無常とはこういうことか。近年低調な南関東生え抜きの中で希有の素質を持っていた。ともあれ、勝島賞→大賞典をあえて進ませたことは、月岡調教師、同スタッフの心意気として記憶に残る。あとに続いてほしいと思う。現実に、今回勝島王冠優勝馬には、“東京大賞典優先出走権”が与えられる。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆
◎セレン
(58・石崎隆)
○マズルブラスト
(58・戸崎)
▲ブルーヒーロー
(55・真島)
△クレイアートビュン
(58・藤田)
△サイレントスタメン
(58・金子)
△フリートアピール
(57・和田)
△バグパイプウィンド
(58・的場文)
ロイヤルボス
(58・張田)
ラッキーブレイク
(57・酒井)
ヴァイタルシーズ
(57・水野)
セレンの本格化を素直に買う。前走「京成盃グランドマイラーズ」で初タイトル。忙しい1600mを落ち着き払った大外一気。まさしく弾けるという言葉が似合った。同レース“回顧”でも書いたが、馬の個性、能力を的確にとらえたベテランの好騎乗。レベル、時計をひとまず置いて、爽快さ、鮮やかさというなら、「09ベストレース」の感さえある。元より本質は中〜長距離ランナーと判断でき、現実に大井1800m、2戦2勝。牡馬にしては小柄(440kg台)で、58kgだけが問題だが、他馬も総じて重量を背負う。上昇度と勢いで克服できる。
マズルブラストは前走「ムーンライトC=準重賞」快勝で復活。従来のイメージと少し違う、中団からの差し切りだけに注目できる。実績はステイヤーながら、父ホワイトマズル、7歳にして新境地を開いたか。遡れば、シーチャリオット世代の羽田盃3着。潜在能力自体が高い。
3歳ブルーヒーローはここでリズムを修正したい。敗れて強しの東京ダービー2着。以後意外な足踏みだが、相手の大駆け、自身太めなど納得できる部分もある。今回ノンプレッシャー。陣営は「待機策で直線勝負」とコメントした。
金盃の覇者バグパイプウィンドは前走「東京記念(6着)」がいかにも不満。東京ダービー馬サイレントスタメンも脚質的に久々は大きく響くか。それなら自在性と安定感でクレイアートビュン。今回、JRA・藤田騎手起用にも興味がわく。大穴は、思い切った逃げを条件にフリートアピール。