全日本2歳優駿(12月16日 川崎 サラ2歳 定量 JpnI 1600m)
「全日本2歳優駿」は、今年第60回目。川崎ではもちろん、南関東重賞全体でも最古の歴史を誇っている。元より“地方交流”がトレンドになっており、北海道、東北地区などからの挑戦が活発だった。そして97年、JRA馬に門戸開放。初年度をアグネスワールド(父ダンジグ)が制し、以後もおおむねJRA優勢の結果が出ている。ただ、00年トーシンブリザード、06年フリオーソと、南関東所属馬(船橋)も2度優勝。素質、スケールが互角なら、地の利で逆転も十分浮かぶ。いずれにせよ今年は、JRA、道営、南関東とも、“当たり年”といっていいと思う。ハイレベル激戦を期待したい。
(1)…1番人気馬。過去10年[4-2-2-2]は価値ある数字で、全面的に信頼できる。ただ2番人気[0-0-2-8]は何とも冴えず、代わりに3番人気[1-5-0-4]。
(2)…JRA優勢。冒頭に書いた通り、JRA=7勝、2着3と圧倒的で、以下、船橋=2勝、2着1、北海道=1勝、2着3。他では川崎、岩手所属馬の連対記録がある。
(3)…ダート適性。連対20頭中19頭までダート2勝の実績があった。ただ、北海道2歳優駿勝ち馬[1-1-0-6]、兵庫JG勝ち馬[2-2-2-2]。絶対でもない。
(4)…牝馬は割り引き。牝馬[1-0-0-13]。勝ったのは05年グレイスティアラだけで、今思えば低レベルの年でもあった。パワー、持久力がある牡馬が狙いの基本。
(5)…先行有利。逃げ=6、先行=7、差し=6、追込=1。四角6番手以降からの優勝は、前述グレイスティアラ1頭だった。スピードの裏付けがやはりほしい。
※データ推奨馬
▲サンライズクォリア
メンバーを見渡してピタリとハマる推奨馬が見つけづらい。それでも同馬はJRA・2連勝のレースぶりに勢いがあり、加えて父キングカメハメハなら成長力にあふれている。過去アグネスデジタル、ユートピアが制した経緯からは、G実績うんぬんより上昇度重視でおかしくない。同馬自身は自在のイメージ。武豊Jはこのレース2勝。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆
◎ビッグバン
(55・桑村)
○ブンブイチドウ
(55・岩田)
▲ラブミーチャン
(54・濱口)
△サンライズクォリア
(55・武豊)
△マグニフィカ
(55・戸崎)
△ナンテカ
(55・内田博)
△アースサウンド
(54・後藤)
ポシビリテ
(55・松岡)
ショウリュウ
(55・的場文)
テーオーケンジャ
(55・藤岡康)
ネオアサティス
(55・真島正)
粒ぞろいのメンバー。それでもレースぶりの迫力、スケールは文句なくビッグバンだ。今秋重賞3連勝。とりわけ前走「北海道2歳優駿=GIII」の大外一気は、何度ビデオを回しても凄みを感じる。デビュー時は評判ほど動けず、しかし、使い込まれ距離延長で真価発揮。父ネオユニヴァース、一戦ごとの馬体増も本格化を裏書きする。川崎1600m、イメージとすると忙しいが、現実に、4走前JRA芝1500m(札幌)でもサンディエゴシチーの5着とソコソコ動いた。ナンテカ、ブンブイチドウに先陣を切らせて結果を出し、いよいよ真打ち登場の角川厩舎。ここをあっさりクリアなら、次代ダート王の夢が出る。
その北海道・角川勢。ナンテカ、ブンブイチドウの比較は、後者をあえて上位にとった。「鎌倉記念」「平和賞」とも、理想的にレースが運べたナンテカ、対して出遅れを含めロスが多かったブンブイチドウ。「兵庫CS」ワンツーのラブミーチャン、アースサウンドはスプリンターに近い快速型で、今回相当のハイペースも予測される。前崩れ、いわくサバイバル戦になれば、ブンブイチドウのパワーに魅力。記者個人的には、“交流に強い岩田J”というイメージもかなり大きい。
ラブミー、アースは、どちらか単騎逃げに持ち込んだ際チャンスが出るが、大井ショウリュウ、佐賀ネオアサティスも先行タイプ。楽な展開にはおそらくなるまい。前記データ推奨馬としたサンライズクォリアが、差せる強み、血統背景(母方・ノーザンテースト)からダークホースか。芝ダート、それぞれ1勝ずつをあげたテーオーケンジャも素質馬だが、逆にまだ適性が固まっていない感もある。それなら今回一転ノンプレッシャーとなったマグニフィカ。前走ハイセイコー記念(1番人気・3着)は結果的にキャリア不足。エース戸崎Jが潜在能力をどう引き出すか。