大井記念(5月19日 サラ4歳以上 別定 SII 2600m)
「大井記念」は伝統の長距離重賞(今年第55回目)。2600mは南関東最長で、秋の「東京記念(2400m)」と並び、現在数少なくなったステイヤーの稼ぎどころになっている。特殊条件だけに活躍馬の大半は“リピーター”だが、97年アブクマポーロ、03年ネームヴァリュー、08年コウエイノホシなど、当時の“新鋭”もしばしば勝ち、そういう年は翌月GI「帝王賞」にも十分な影響力を持ってくる。ただ平成以来でいうならその年その年、レベル差がきわめて大きい。54年間続いた歴史。「大井記念」と銘打つ以上、それなりの“格”を持ち続けてほしいレースだとはやはり思う。
(1)…波乱含み。1番人気[2-1-2-5]、2番人気[3-3-0-4]、3番人気[2-2-1-5]。例年“軸馬”の選択が難しい。昨年は4→1→10人気という決着で、馬単3090円、3連単49260円。
(2)…大井優勢。大井=6勝、2着5回、船橋=3勝、2着5回、馬券の対象はほぼ2場所で占められる。大井所属馬が連に絡まなかったのは1度だけ。他は川崎から優勝1頭(02年・ゴールドマイニング)。
(3)…上昇馬。ここで初タイトルが10年中6頭とはイメージと異なる数字。しかも内4頭が重賞自体、初めての挑戦だった。年齢別では5歳=6勝、2着2回と断然だが、今年はなぜか出走馬がない。
(4)…差し優勢。逃げ=1、先行=4、差し=12、追込=3。逃げ切り03年1頭だけ(ネームヴァリュー)とは改めて驚かされる。中団少し前が理想か。昨年ライジングウェーブは4番手からイン強襲。
※データ推奨馬
◎ランキング…正直今年は該当馬が見当たらない。ただ同馬はJRA・4勝、まだまだ可能性を残すトレードで、事実転入4走のレースぶりにも勢いが感じられた。コウエイノホシにも少し似た“新星”の期待。平均ペースの先行型で、長距離はうってつけか。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆
◎マズルブラスト
57戸崎
○セレン
56石崎隆
▲ランキング
52左海
△ルースリンド
57内田博
△ボンネビルレコード
58的場文
△ライジングウェーブ
57酒井
△ピエールバスター
52有年
ロングウェーブ
52三浦
サンライズバッカス
58真島
セトノギムレット
52林
サイレントスタメン
58山田信
マズルブラストに勝つ条件がそろっている。充実度と長距離適性。同馬は今季「報知オールスターカップ=川崎2100m」→「金盃=大井2000m」と重賞連勝、8歳馬ながらいかにも晩成血統(父ホワイトマズル)らしい円熟、本格化をみせつけた。そして今回大井記念は、5歳時ルースリンドをちぎった(3.1/2馬身差)相性のいい一戦で、その前後にも東京記念(2400m)優勝など、長丁場ではほぼ例外なく好走している。前走「マイルグランプリ」4着(1番人気)は、やや忙しい1600mと、力走続きの反動が微妙に響いた結果だろう。中間じっくり間隔をとって長めから追い切り4本。再び完全燃焼が目に浮かぶ。
これを切れ味で上回るセレンは、今回一枚評価を落とした。前走かしわ記念(5月5日・6着)から強行軍になること、スローの長丁場は折り合いが難しい(カカる気性)こと。昨暮れ「東京大賞典」4着(上がり36.5秒・地方最先着)からは突き抜けて当然だが、今季どこかちぐはぐになってしまった感もないではない。
実績上位、しかし高齢を迎えたビッグネームの評価は迷う。GI・2勝、古巣大井に戻ったボンネビルレコード。大井記念、東京記念=計連対4度のルースリンド。カネヒキリ、ブルーコンコルドの好敵手だったサンライズバッカス。中で調整過程、追い切りからルースリンド(内田博J騎乗)を重くみたが、3頭とも信頼度は高くあるまい。
データ推奨馬としたランキングが穴。JRA・4勝、1600万で見せ場があり、前走船橋「房の国オープン=地方交流」、キングスゾーンと接戦なら格下とも言い切れない。中〜長距離志向、粘っこい先行型。軽量52kgなら展開ひとつの望みが出る。
昨年の覇者ライジングウェーブは、以後横ばいとみえる戦力で、52→57kgの斤量増がいかにも不利だ。