勝島王冠(12月1日 大井 サラ3歳以上 別定 SIII 1800m)
「勝島王冠」は、昨年準重賞から昇格したSIII。“東京大賞典TR”という位置付けで、現実に昨年優勝セレンが、続く本番も小差4着だから、ひとまず狙い通りの結果になった。大井競馬“基幹距離”である1800mに、これまで牡馬(3歳以上)重賞がなかったことが不思議だが、それはさておき、ごくオーソドックスなコース形態(外回り)に加え、斤量もシンプルな別定戦(A1=57kg、A2=55kg・重賞勝ち馬1kg増)。総体的には“荒れない重賞”のイメージだろう。ただ記者個人的な思いとしては、このあたりで新星誕生――3歳馬の台頭を期待している。今年は「JDダービー」、マグニフィカの快挙はあったものの、いざひと夏越して既成勢力(牡馬・クラシック上位組)の動きが意外なほど鈍かった。世代レベル自体低調かどうかは、まだ現時点で判断しづらい。いわゆる中堅級(B級〜準オープン)では、セオリー通り3歳馬が活躍している。今年はただ1頭、ツルオカオウジ参戦。同馬のレースぶりが、世代全体の評価にも及んでしまう。
◎ツルオカオウジ 56町田
○ボンネビルレコード 58的場文
▲マズルブラスト 58戸崎
△バロズハート 57今野
△ロイヤルボス 58御神本
△イーグルショウ 58坂井
△ルクレルク 57石崎駿
クレイアートビュン 58張田
グラストップガン 55早田秀
そのツルオカオウジに期待した。正直少し迷ったが、3歳の新鮮味があること、父メイセイオペラを彷彿とさせること、一貫1800mに照準を定めていること。6月「若竹賞=残念ダービー」から3連勝、着差こそきわどいものの勝ちっぷりはしっかりしている。とりわけ「黒潮盃」は、外から捲ってきた相手(ドラゴンキラリ)を二の脚で完封。当時1分52秒7なら時計的にも通用の根拠がある(昨年セレン=54秒1)。父は、フェブラリーS、帝王賞などGI・3勝、成長力あふれる中〜長距離型。ツルオカオウジ自身、ゆったり幅のある馬体で、その代表産駒になりうるだろう。黒潮盃からコンビを組んだ町田騎手は、追わせるタイプで抜群の腕をみせる。
古豪ボンネビルレコードが強敵だ。今季8歳にして大井再転入。しかし以後5戦の走りはさすがとしか言葉がなく、とりわけ帝王賞3着、カネヒキリに頭差と迫った末脚など、驚きを通り越し、ある意味“感動的”なものさえ覚えた。全盛時のパワー、切れはともかく、こと勝負勘、闘志はまだ十分残っている。一枚落ち、流れも落ち着く南関東重賞なら、もうひと花あるということ。ただ同馬が1番人気、それであっさり勝ってしまう状況はやはり寂しく、ここはあえて“対抗”の評価とした。
マズルブラストは、このレース昨年2着。翌年「報知オールスターカップ」「金盃」と連勝している。こちらも8歳馬だが、父ホワイトマズルの背景に加え、状態と適性、相手関係をじっくり見据えた“川島流”の戦略で、小さな波はあるものの“活躍期”がとにかく長い。
穴はバロズハートをとった。JRAダート5勝、すべて1700m〜1800mであげており、調教試験もスピード型らしく軽快に動いている。以下、前走「ムーンライトカップ」でマズルブラストに競り勝ったロイヤルボス、ハマれば切れるイーグルショウ。実績互角クレイアートビュンは今季レースぶりに覇気がなく、それならルクレルクの上昇度か。