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ワナビーの“可能性”に夢託す/トレセン発秘話

  • 2012年07月05日(木) 18時00分
 ひと昔前は1歳時に入厩して、ハミ受けなど競走馬になるための基礎を一から教え込んでいたようだが、最近は育成場でほとんど仕上げてくるためトレセン内での最重要項目は「ゲート試験」ぐらいなもの。入厩して1か月ちょっとで出走するケースも珍しくない。

 それを考えれば、入厩して2か月近くになるのにゲート試験すら受けていないワナビーザベスト(牝=父ステイゴールド、母シャープキック・勢司)は変わっている。馬場ではいつも元気いっぱいな姿を見せているのだが…。現世代で2頭しかいない黄金配合(母の父メジロマックイーン)の片棒は一体、何をやっているのか。

「ステイゴールド産駒は自我が強く、他者との関係性を作りにくい傾向がある。これは馬体の小ささが影響しているのでは。人間もそうだが、幼いころから周りの存在よりも大きく見せなければならない、つまり強いエネルギーを持たざるを得ない環境が彼らの性格を特異なものに導く」(勢司調教師)

 やはり気性面がネックとなっているようだ。「逆にいえば危機回避能力の高さは半端ではない。春の天皇賞でメンコを着用したオルフェーヴルが慎重な走りを見せたのは、その表れなのでは」

 音が聞こえづらくなるのは恐怖心を募らせる危険性があるのだ。目下のワナビーザベストは馬上の人間との信頼関係を築きながらゲートに慣れさせている段階。

「キャンターの走りは驚くほど軽い。あとは体力がつきさえすれば、とんでもない切れ者になる可能性も」と師。デビューは夏以降になるが、負けん気の強さが走りにつながるよう願うばかりだ。
(美浦の馬券野郎・虎石晃)

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