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松山弘平騎手、ブレイクの裏側に迫る!(3)

  • 2012年07月18日(水) 18時00分
度重なる落馬から騎乗数激減──そんなつらい時期を、地道な努力で見事に乗り切った松山騎手。はたして、リズムを取り戻したきっかけとは何だったのでしょうか。今回は、3年目に迎えた転機について、そして、ここにきて芽生えてきたという技術向上への意識について、現在の心境を語ってくれました。

■勢いだけではなく、うまく乗って勝てるように
──去年の暮れ、トラックマンの方々に「2013年にブレイクする騎手は?」という取材をしたんです。実はその段階で、松山騎手の名前が挙がっていたんですよ。その通りになりましたね。

松山 えっ!? 去年の暮れからですか? それはちょっとビックリですね。たしかに、今年に入ってからは、年初からポンポンと勝たせていただいたので…。でも、うれしいですね。

──リズムを取り戻すきっかけになった勝利などあったのですか?

松山 去年の10月あたりから勝てるようになったんですけど、今思えば、菊花賞の日に勝ったり、1日に3勝したり。目立つ機会があったことが大きかったように思います。やっぱりジョッキーって、目立つことが大事ですからね。

──ご自分のなかでは、なにか変化が?

松山 僕自身は、なにも変わっていないと思います。ただやっぱり、結果を出すと、周りの方が乗せてくださるようになるので。騎乗数が増えたことが、一番大きいと思います。そう考えると、昨年の10月が転機だったのかな。僕にとって、運気が上がる月だったのかもしれませんね(笑)。あとはやはりめぐり合わせというか、いい馬に乗せていただいたことが大きいと思います。

──目立つ勝利ということでいえば、今年前半の松山騎手は、とにかくメインレースをたくさん勝ちましたよね。

松山 いい馬に乗せていただきましたから。自分ではそれほど意識してないんですけど、周りの人にそう思ってもらえるということは、すごく大事ですよね。ドリームバレンチノも頑張ってくれましたしね。

スマートギアで中日新聞杯制覇

スマートギアで中日新聞杯制覇

──小倉大賞典2着、中日新聞杯優勝と、“乗り難しい”と言われていたスマートギアで結果を出したことも、目立つという意味では大きかったと思いますよ。中日新聞杯は、重賞初制覇でしたものね。

松山 重賞を勝つならドリームバレンチノかな、と思っていたんですけど、その前にチャンスをいただけて。でもその後、スマートギアでは結果を残せていないので…。新潟大賞典も2番人気だったのに、うまく乗れなくて、信頼を裏切るような形になってしまいました。たしかに難しい馬だなっていうのは今でも感じます。でも何とかもう一度頑張って、結果を出したいなと思っています。

──昨年の12月に「自力で減量を取りたい」とおっしゃっていて、それも2月5日に達成されましたね。たしか、お話をうかがったときはあと14勝という段階で「3か月で14勝って大変なんですよ〜」ってうなだれていたような(笑)。

松山 そうでしたね(笑)。本気で厳しいだろうなぁと思っていました。それまでの流れを考えたら、もう正直、無理やん…って。でも、それが今年最初の目標でもあったので、達成できたことは自信につながりましたね。

──春の新潟では、開催リーディングも獲得されました。それも自信につながったのでは?

松山 そうですね。“目立つ”という意味では大きかったですね。僕の予想以上に、周りの方から『新潟リーディング、おめでとう』って言っていただいて。それだけいい馬に乗せてもらっていたんだなぁって改めて感じました。

──さて、間もなく小倉が始まりますが、たしか一番好きな競馬場として、小倉を挙げてらっしゃいましたよね。夏競馬自体、若手の活躍が目立つ時期でもありますし。

松山 小倉は初騎乗の地でもありますし、一番勝たせてもらっている競馬場なので。できるだけ多く勝ちたいし、何より今の流れを止めたくないっていう気持ちが強いですね。今、10週連続で勝ってるんですよ。この流れを1週でも長く続けたいです。
※連続勝利は、取材後の3回阪神4週目でいったんストップも、2回中京2週目から現在まで、3週連続勝利継続中。

いい勝ち方ができるように

いい勝ち方ができるように

──波に乗ってきた今、改めて自分に足りないと思うことはどんなことですか?

松山 ん〜、まず、技術は全然足りないと思いますね。道中の折り合い、一瞬の判断、位置取り…全部まだまだです。今はいい馬に乗せていただいて、勢いだけで勝っているような気がするので。もっと勉強して、ただ勝つだけじゃなく、うまく乗って勝てるようになりたいです。

──騎乗数が増えて、結果が出てきたところで、もう一段階上へ、ということですね。

松山 そうですね。とにかく細かいことでも意識することが大事だと思うんです。“勝ちたい勝ちたい”ばかりだと、春の中京のように騎乗停止になってしまったり…。そういうところが今の自分の甘さですね。今は少しずつ意識を持てるようになってきたんですけど、ただやっぱり、レースになると、ひたすら必死になってしまう。もう少し、冷静に乗れるようになりたいんですけどね。

──ご自分の騎乗は、あとでじっくり見直しますか?

松山 見ますね。たとえば、内にモタれているのに鞭を持ち替えてないな、とか、レースごとに気になるところがいっぱい出てきます。

──そういったことを積み重ねていくと、自分のなかでどんどん引き出しが増えますよね。

松山 そうですね。とにかく今は、うまくならなきゃっていう気持ちが強いです。最近はほんの少し余裕が出てきて、ようやく中身について考えられるようになりました。全然乗れてないときは、そんなことより勝つことに必死でしたね。“結果を出さなくちゃ、結果を出さなくちゃ”って、つねにそのことで頭がいっぱいでした。

──今はそういった焦りから少し解放されて、レース中の意識も自然と変わってきたと。

松山 結果を出すことはもちろん最優先なんですけど、そのなかで、少しだけ考える余裕が出てきたというか。今はとにかく技術を高めること。その欲求が強いです。

【次回のキシュトーーク! は?】
松山騎手が最近ハマッているもの──ズバリ、ももいろクローバーZです! 松山騎手のみならず、騎手の仲間内で“チーム・ももクロ”ができるほど、みなさん熱狂しているようです。次回は、そんな“ももクロ”ネタから、松山騎手のプライベートに迫ります。

元祖「キシュトーーク」のレギュラー陣、国分恭介、国分優作、松山弘平、川須栄彦、高倉稜を中心に、栗東・美浦・地方からも幅広く、これからの競馬界を担うU25の若手ジョッキーたちが登場します!

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