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策略家の調教師らが使う「常套手段」/トレセン発秘話

  • 2012年07月26日(木) 18時00分
「困りましたよ、虎石さん。2Rと6R、どっちが弱いんですか?」

 先週木曜(19日)朝、“がんべさん”こと岩部騎手が馬券野郎に泣きついてきた。なんでもお手馬の「バーバラスアゲン(牡3・萱野)の適切な投票先を探せ」と調教師から命令されたとか。この未勝利馬の適鞍であるダート1200メートルは土曜新潟戦に2鞍…投票時間までに答えを出さなければならない。

 想定メンバーに目をやりながら「2Rの人気を形成する関西馬2頭は大して強くない。6Rは初戦3着のジェイフォースと初ダートのスマイルオブライフに一発の可能性あり。勝てる確率は2Rの方が上」と馬券野郎の推論を述べておいた。

 そして今週火曜(24日)朝、南スタンドで出くわすや「ありがとうございました」とがんべさん。「外枠を引けたのも良かったし、走破時計も2Rの方が遅かったですから。責任を果たせて良かったですよ」と安堵に胸をなで下ろしていた。

 当然のことだが、投票直前の萱野調教師は他馬の動向を入念にチェックしていた。馬券野郎の助言なしでも2Rを選択していただろう。それなのになぜ“責任丸投げ”とも受け取られかねない行為をしたのかというと、「ライバル馬の特徴を捉え、かつ緊張感を持ってレースに臨ませるため」。これは策略家の調教師らが使う常套手段なのだ。

 勝つためにはしっかりと馬を仕上げることが大前提だが、“1センチの攻防”を制するためにはどうしたってプラスアルファが必要。このような舞台裏での創意工夫を今後も伝えていければと思っている。
(美浦の馬券野郎・虎石晃)
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