2歳新馬戦のスタートがダービーの翌週となった今年からサラブレッドを取り巻くサイクルは加速した。しかも札幌開催が夏競馬終了と同時に閉幕。秋にかけても行われていた札幌での3歳未勝利戦がなくなってしまったことで施行数は減少。残されたサバイバルレースは例年以上にシ烈を極めている。
サイクルの加速は何もトレセン周辺だけで起こっている現象ではない。生産の段階から早熟性が重要視されるようになってきたし、もちろん育成も早期調教が当たり前になりつつある。こうした潮流は経済面などでの活性化を伴う一方で、疑問視する声もやはりある。
「とりあえずどんな馬でも早くから動かさなければいけない。そうなると馬のタイプも似通ってくるんだよね。オクテの馬はどうしても淘汰されてしまうし、個性がなくなってきた気がする。この流れが競馬のドラマ性を希薄にして、人気低下の原因になっているのでは」とは栗東の某調教師。競馬を伝える側としても耳の痛い話だ。
「秋の新潟開催にクラウンカイザー(3歳500万下)を連れて行こうと思っているんだ。カルストンライトオ(アイビスSDのレコードホルダー)の子を直線競馬に。個人的にも見てみたいし、ファンも喜んでくれるかなと思って」と言うのは父も管理していた大根田調教師。2歳馬ではないが、マニアックであっても“物語”は脈々と受け継がれている。こうした小さなドラマが近年の潮流にのみ込まれないことを願いたい。記者にとっての競馬の「ドラマ」といえばタマモクロスであり、そのライバルのオグリキャップ。今夏、そのオグリをほうふつとさせるレース内容で勝ち上がったのがララガニエ(牡・今野)だった。
2日の小倉ダート1000メートル未勝利戦で果敢にハナに立ったものの、4角では手応えが怪しくなり、ゴール100メートル手前では敗色濃厚の脚色。しかし、ここから盛り返していったんは前に出られたドリームハヤテ(2着)を差し返してしまった。「(89年の)マイルCSでのオグリばりの差し返しでしたね。ちょっとびっくりしましたよ」とは今野調教師。
このララガニエ、父はケイムホーム、母はサトノローズヒップと血統的なゆかりはないのだが、差し返されたドリームハヤテはオグリの主戦を務めた南井調教師の管理馬。何やら因縁めいているとするのは強引過ぎる?
いずれにせよ、次走予定のヤマボウシ賞(29日=500万下、阪神ダ1400メートル)は注目の一戦。「あの内容なら距離の融通も利きそう」と師は手応え十分。オグリばりの勝負根性で新たなドラマをつくれるか。
※本日は『トレセン発秘話』も更新されております。下部のバックナンバーからご覧ください。
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