川須騎手と高倉騎手による、同期対談の最終回。GIや馬への熱い思いを語るなかで、高倉騎手が川須騎手の“ある変化”に気づいた!?　ライバルであり、親友でもあるふたりの、絶妙なやり取りを最後までお楽しみください！

■今後のテーマは、GIに乗ること！
──3年目の今年は、どんなことをテーマに騎乗されていますか？　たしか川須騎手の2年目のテーマは「勝ち星にこだわる」ということでしたよね？

川須　そうです。まずは関係者の方にもファンの方にも、名前を憶えてもらうことが大事だと思ったので。今年の目標は重賞を勝つことと、チャンスがあれば重賞の騎乗を優先して、中央での経験をもっと積みたいというのがテーマですね。

高倉　僕も今年のテーマは、重賞を勝つことでした。自厩舎の馬で、よく東京とか行かせてもらってますけど、中央のほうがみなさんきれいに乗るし、コースも広いから、競馬がスムーズ。

川須　うん。でもそのぶん、若手にはなかなかチャンスが回ってこない…。

高倉　そうだね。僕の次の目標というかテーマは、GIに乗ること！　まだ一度も乗ってないので。

川須　僕は一度だけ乗せていただきました(今年のヴィクトリアマイルでアスカトップレディに騎乗し14着)。GIを使うような馬は、そこに至るまでに乗ってきている人がいるわけで、僕らが乗れるチャンスって限りなく少ないよね。自分で重賞を勝った馬が使うか、あるいは、今までの乗ってきた人が別の馬に乗る…というタイミングか。

高倉　少ないけど、なにがチャンスに結びつくかわからない。そのためにも、少しでも目立っておきたいと思う。

──フラガラッハは、順調ならマイルCSが目標になるのでは？

高倉　そうですね。ただ、秋は外国人ジョッキーも来ますし。上位のジョッキーでも乗り替わりになるくらいですからね。状況は厳しい…。

川須　GIとなると、(乗り替わりが)あるかもしれないね。

高倉　でも、重賞を勝てて本当に良かった。馬にとっても僕にとっても、GIに向かうための大事な過程だから。

──そうですね。ひとつずつ目標をクリアしながら、おふたりとも確実にステップアップしているのを感じます。

高倉　ステップアップとはちょっと違うかもしれないけど、騎乗馬の故障を、以前より引きずらなくなりましたね。そういうシーンに出くわすと、まだ簡単には立ち直れないけど、次のレースに影響してしまうことはなくなりました。前はかなり引きずってしまっていたので…。

川須　なんともいえない気持ちになるよね。僕はそういうとき、馬に対して“ありがとう”って思う。

高倉　なんか川須、ここにきて大人びてきたよね。前は同じ年の僕から見ても、すごく子供だったのに(笑)。なんていうのか、しっかりした考えを持つようになったというか。

川須　マジで？　フリーになったことが大きいのかな。

高倉　発言を聞いていても説得力があるし、“川須栄彦”っていう自分をしっかり持っていて、ブレないようになってきてるというか。1年目とかは、怒られて悩んだりしていたけど、最近の川須はどっしりしている。だいぶ気持ちに余裕が出てきたのかなって思うよ。

川須　そうかな〜。

高倉　相変わらず部屋は超汚いけど(笑)。そういえばお前さ、俺の部屋にあるものを勝手に食べるのやめてくれる？　お菓子とか飲み物とか、けっこうなくなってるんだけど！

川須　ああ、勝手に部屋に入って、冷蔵庫開けてます…。

高倉　俺がいないのに、なんか勝手にくつろいでたりするし(笑)。住み着いてるよね。

川須　だって、俺の部屋めっちゃ汚いから、高倉の部屋のほうが居心地がいいんだもん…。それに、いつもなにかしら食べ物があるから、お腹が空いたら、とりあえず高倉の部屋へ！

高倉　俺がいつも補充してるんだよ！　

──おふたりは本当に仲がいいですね(笑)。

高倉　そうですね。いまだに二人でご飯に行くし、調整ルームでもトレーニングしながら、ずっと話してるよね。川須が結婚とかしたら…寂しくなるんだろうな(笑)。

川須　逆のパターンもあるだろ！　高倉が寮からいなくなったら…、たしかに寂しいかも(笑)。

──では改めて、今の夢を聞かせてください。

川須　夢はGIジョッキーです！

高倉　僕もGIジョッキーになることです。GIだったらどのレースでもいいから勝ちたい。それ自体がもう特別なので。ダービーは馬にとって一生に一度っていうけど、ほかのGIだって、その年のレースは一生に一度ですからね。

川須　僕は…賞金が高いGIを勝ちたいです！

高倉　お前…(苦笑)。

──では最後に、ファンに向けてメッセージをお願いします！

川須　僕、ファン少ないんですよね…。

──なにをおっしゃいますか(笑)。

川須　いや、ホントなんですよ。高倉はちょくちょくファンレターをもらってるし、ウイナーズサークルでもプレゼントとかもらってるのに。僕はそういうのがない。とりあえず、“僕”を競馬場に見に来てください！　ということで…(笑)。

高倉　うん、競馬を観に来てほしいです。あと僕は、もっとたくさんの人に、馬を好きになってもらいたいです。

【次回のキシュトーーク！は？】
小牧騎手に続く「教えてシリーズ」第2弾。10月は和田騎手をゲストに迎え、国分ツインズ、松山騎手、高倉騎手の4人が、先輩を質問攻めに！