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東京大賞典

  • 2012年12月28日(金) 18時00分
 昨年は単勝元返しのスマートファルコンをゴール前で追い詰め、首の上げ下げまで持ち込んだワンダーアキュート。このときはフロック視されるような感じもあったが、今年秋の活躍を見ればむしろ納得の好走だったともいえる。ジャパンCダートはニホンピロアワーズの2着に負けたとはいえ、直線では先行勢のほとんどが差を広げられるなか、ワンダーアキュートだけは同じような脚色で伸びていた。

 JBCクラシック圧勝のときの馬体重がマイナス21キロで、ジャパンCダートではぴったりその21キロを戻してプラス。JBCのあと、佐藤正雄調教師は「マイナス10キロくらいかと思っていたんだけど」と話していた。おそらく陣営はJBCとジャパンCダートの中間くらいの馬体重をベストと考えているのだろう。再び関東圏への長距離輸送で、そのあたりもポイントとなりそうだ。

 ジャパンCダートで1番人気に支持されたローマンレジェンドは4着。GI初挑戦ということもあっただろうが、馬がズブかったというのが最大の要因のように思う。レース後、藤原英昭調教師が「ジョッキーには悪いことをした」と話していたが、いくらデムーロ騎手でも初騎乗では難しかったのかもしれない。

 今回は岩田騎手に戻るだけに、そうした心配はない。エルムSでは、3キロ差があったとはいえ、エスポワールシチーとの競り合いを制した。みやこSでは狭いところを抜けてきて、1キロ差のニホンピロアワーズをとらえた。ダートの頂点を狙える力があることは間違いない。

 エスポワールシチーは、ジャパンCダートでは直線失速して10着だったが、1000m通過59秒8はちょっとペースが速すぎた。今年7歳でも、かしわ記念、南部杯と、JpnIを2勝。衰えはほとんど見られない。ジャパンCダートの敗戦で人気を落とすようなら、むしろ馬券的にはおもしろい。

 フリオーソはこれが引退レースとなる。4度も地方競馬の年度代表馬になったのもすごいが、2歳時から昨年7歳まで毎年、世代ごとの最優秀馬に選出されたということもすごいと思う。それほどの活躍馬で、種牡馬になることも発表されているだけに、ある程度の状態になければ出してはこなかったはず。今年は地方馬がGI・JpnIを勝っていないだけに、もしここで勝つようなことがあれば、5度目の年度代表馬という可能性もある。

 ナムラタイタンは、南部杯のスタートで落馬、ジャパンCダートでも躓いて出遅れたように、スタートに課題がある。GIII・1勝という実績からも、ここは3着候補まで。

 ダート5連勝でジャパンダートダービーを制したハタノヴァンクールは、秋になってのさらなる活躍が期待されたが、古馬との対戦となった秋2戦は結果を残せず。ジャパンダートダービーを勝った舞台に戻って巻き返せるかどうか。

◎2.ワンダーアキュート
◯8.ローマンレジェンド
▲7.エスポワールシチー
△6.フリオーソ
△1.ナムラタイタン
△4.ハタノヴァンクール

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1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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