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勝利の王道(ヴィクトワールピサ【1】)

  • 2013年09月09日(月) 12時00分
ヴィクトワールピサ

ヴィクトワールピサ



◆“血のリレー”がもたらした皐月賞制覇
 サッカーと同じで、競馬はどしゃ降りの雨でも行われる。詳しくない方のために説明しておくと、水分をたっぷりと含んだ走路を「重馬場」、もっとひどい場合を「不良馬場」と言う。ぬかるんで走りにくいから「道悪馬場」と呼んだりもする。

 スピードと瞬発力を武器とする馬は、乾いた「良馬場」のほうがいい。しかし、なかには道悪をめっぽう得意とする馬がいる。ヴィクトワールピサの父ネオユニヴァースが、まさにそうだった。

 重馬場の日本ダービーを平然と抜け出し、春の牡馬クラシック二冠を制した馬だ。スピードとパワーに優れ、卓越したレースセンスと勝負根性の持ち主でもあった。

 父となってもその長所をよく伝え、初年度産駒から父子2代の皐月賞馬アンライバルドと、父子2代の日本ダービー馬ロジユニヴァースを出している。この日本ダービーは史上最悪の不良馬場だったが、父から受け継いだ道悪上手の遺伝子は、水を得た魚のように躍動していた。

 その秋、京都の2歳戦でデビューしたのがヴィクトワールピサである。初戦こそ2着に敗れたものの、2戦目を勝利。続く京都2歳Sも楽に制した。

 2歳の最終戦に選ばれたのが、ラジオNIKKEI杯2歳S。クラシックの登竜門として名高いレースで、ハイレベルなメンバー構成となったが、ここも横綱相撲で3連勝。初重賞制覇を果たすとともに、いちやく牡馬クラシックの有力候補に躍り出た。

 3歳の初戦に選ばれたのが、皐月賞トライアルの弥生賞。ラジオNIKKEI杯2歳Sと同じく、このレースの優勝馬からも幾多の名馬が誕生している。走路は重馬場。デビュー以来、良馬場ばかりで戦ってきたヴィクトワールピサにとって、まったく未知の体験だった。

 だが、父は道悪の鬼と呼ばれたネオユニヴァース。サラブレッドの血統は未知の可能性をさぐるバロメーターでもある。「血統的には十分こなせる」。そう判断されて断然の1番人気に祭り上げられたが、確かに走ってみれば平然と勝利した。

 そして迎えた牡馬クラシック第1弾の皐月賞。この日も「稍重馬場」。道悪ではないにしても、見た目以上に力のいる走路だった。しかし、過去に幾多の名馬が輩出した王道路線を歩み、父譲りの道悪上手を証明したヴィクトワールピサに、死角などない。

 ここも1番人気となった。だが、スタートで後手を踏み、後方の内に控える厳しい流れ。皐月賞は小回りで直線が短い。万事休すと思われたが、馬群の最内をこじ開ける闘争心を見せて、力強く勝利した。

道悪の皐月賞を勝利したヴィクトワールピサ

道悪の皐月賞を勝利したヴィクトワールピサ


 道悪の巧さ。馬群に果敢に割って入る勝負根性。大型馬でありながら、小回りコースを巧みにこなす器用さも備えていた。これは、父のネオユニヴァースが持っていた特長そのもの。まさに“血のリレー”がもたらした父子2代の皐月賞制覇であった。(吉沢譲治)

◆レース詳細
2010年04月18日
第70回 皐月賞(GI) 中山/芝右2000m/天候:晴/芝:稍重

1着 ヴィクトワールピサ 牡3 57  岩田康誠 2:00.8
2着 ヒルノダムール   牡3 57  藤田伸二 1.1/2
3着 エイシンフラッシュ 牡3 57  内田博幸 ハナ
4着 ローズキングダム  牡3 57  小牧太  ハナ


◆競走馬のプロフィール
ヴィクトワールピサ(牡3)
父:ネオユニヴァース
母:ホワイトウォーターアフェア
騎 手:岩田 康誠
調教師:角居 勝彦(栗東)
馬 主:市川 義美氏
生産牧場:社台ファーム

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