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「レッドアリオンは心底かわいい!」〜川須栄彦騎手編(3)

  • 2013年10月16日(水) 18時00分
9月29日に行われたポートアイランドSの直前に行われたこのインタビュー。そのポートアイランドSでは、NHKマイルCで川須騎手とコンビを組んだレッドアリオンは、川田騎手に乗り替わりに。「すごく乗りたかった…」と落胆の表情を見せていた川須騎手ですが、今週の富士Sでコンビ復活!NHKマイルCの敗戦からは、多くのことを学んだという川須騎手。今回は、大きな存在だというレッドアリオンへの思いを語ります。
(取材・文/不破由妃子)

■NHKマイルCでの敗戦を、絶対に無駄にしたくない

──今年2月の浜中騎手とのご指名対談で、福永さんや浜中さんが「川須はもっと中央で乗ればいいのに」とお話されていたという話題が出ましたが、この秋はどんな予定ですか?

川須 京都が終わったら、基本的には新潟で乗る予定です。というのも、レッドアリオンが乗り替わりになってしまったので…(9月29日のポートアイランドSは、川田騎手が騎乗。今週の富士Sで、川須騎手とのコンビ復活!)。重賞で乗せていただけるような馬がいれば、ずっと中央で乗りたいと思っていたんですけどね。今年はここまでの勝ち星のペースも遅いですし、また目立つという意味でも、ひとつでも多く勝ちたいなと思いまして。

──川須騎手にとって、レッドアリオンは大きな存在なんですね。

川須 はい…。だいぶ馬も成長して帰ってきたようですし、正直、ポートアイランドSは、すごく乗りたかったです。

──NHKマイルCは、コンマ3秒差4着。最後はものすごい脚で伸びてきただけに、やはり、あの出遅れが悔やまれますよね。

川須 ホントにそうです。僕自身、変な緊張もせず、すごくいい精神状態でレースを迎えることができて、馬も落ち着いていたんです。ゲートのなかでも「これはいい感じだな」と思っていたんですが、開く寸前に立ち上がるような格好になってしまって(3馬身出遅れ)。「あーーーー!」って叫びながら出ていきました(笑)。勝ち負けできる自信があったので、「俺、持ってないわぁ」と思って。ただ、勝っても乗り替わりになるこの時代に、GIで人気馬(3番人気)に乗るという経験をさせていただけただけでも、僕にとってはありがたいことです。

──NHKマイルCでの経験から、得たものも大きかったのでは?

川須 そうですね。レース後はさすがに落ち込みましたけど、それ以上に反省しました。もともとゲートに癖のある馬ではありましたけど、大一番であんなに出遅れてしまうなんて、技術でなんとかなった部分もあると思うんです。馬の癖といえども、騎手の責任だと思いますから。構えないほうがいいんでしょうけど、今思えば、リラックスさせすぎたのかもしれません。構えすぎてもダメだし、馬を遊ばせすぎてもダメだし、すごく微妙なところなんですけど、その加減はすごく勉強になりました。

レース後はさすがに落ち込みましたけど、それ以上に反省しました

レース後はさすがに落ち込みましたけど、それ以上に反省しました


──レース後、橋口先生とはどんな言葉を交わされたんですか?

川須 先生は「まぁ、仕方がないな…。でも走るなぁ」とおっしゃっていました。あれだけ出遅れてあそこまできたわけですから、力があるのは間違いないですからね。

──いろんなケースがありますが、また川須くんの手に戻ってくる可能性も十分にありますよ。

川須 そうなればうれしいです。体付きとか、すごく良くなって帰ってきたと聞いているので。古馬が相手になっても、絶対にいい競馬をしてくれると思いますよ。だから、ポートアイランドSでどんな競馬をしてくれるのか、僕もすごく楽しみなんです(結果は13着)。

──浜中さんとのご指名対談で、確かあのときはメイケイペガスターのお話からだったと思いますが、「自分が乗れない時期も、ずっとショウナンマイティが気になって見てた。戻ってくる可能性もあるんだから、川須もずっと気にしていてほしい」と、浜中さんもおっしゃってましたよね。レッドアリオンについても同じだと思います。

川須 そうでしたね。浜中さんも戻ってきてからまた結果を出して、今コンビを組んでいるんですものね。今日もたまたま橋口厩舎に用事があって伺ったんですけど、馬房でアリオンと遊んできました。やっぱり気になります。僕はもともと馬が好きで騎手になったわけではないんですが、今日アリオンと遊んでいて、心底“かわいいなぁ”と思いました。あんなに馬と触れ合ったのは、久々でしたね。

──のちのち振り返ったとき、川須騎手にとってレッドアリオンの存在は、ひとつの大きな転機となるかもしれませんね。

川須 はい。NHKマイルCは、本当にチャンスだったと思うんです。そのチャンスをつかめなかったということは、それだけ僕が未熟だったということ。確かにひとつの大きな転機だったかもしれませんよね。もしあそこで勝てていたら、馬はもちろん、僕自身の流れもまったく変わっていたと思いますから…。2012年はメイケイペガスター、2013年はレッドアリオン。この2頭に出会えたことは、いろんな意味で僕にとって大きかった。どちらも結果を残せず、自分自身も流れをつかめなかったわけですが、それを機にいろいろ見直したり、考えることもできたので、絶対に無駄にしたくないと思います。

絶対に無駄にしたくない

(メイケイペガスター、レッドアリオンの敗戦を)絶対に無駄にしたくないと思います


【次回のキシュトーーク! は?】
川須栄彦騎手インタビュー第4弾。2年目は「たくさん勝って名前を知ってもらうこと」、3年目は「重賞を勝つこと」を目標とし、見事にクリアしてきた川須騎手。では、4年目も終わろうとしている今の、一番のモチベーションは!? 川須騎手の熱い思いに迫ります!

元祖「キシュトーーク」のレギュラー陣、国分恭介、国分優作、松山弘平、川須栄彦、高倉稜を中心に、栗東・美浦・地方からも幅広く、これからの競馬界を担うU25の若手ジョッキーたちが登場します!

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