川須栄彦騎手インタビュー第4弾。2年目、3年目と明確な目標を立て、いずれも見事にクリアしてきた川須騎手。はたして現在の目標、そして一番のモチベーションは!? 川須騎手の熱い思いに迫ります!
(取材・文/不破由妃子)
◆心のなかでは、いつも“チクショー!”──2年目は「たくさん勝って、名前を覚えてもらうこと」、3年目は「重賞を勝つこと」を目標に掲げて、どちらも鮮やかにクリアしてきましたよね。浜中さんとの対談で、さて4年目は…となったときに『ちょっと目標を見失っているかもしれない』というようなことをおっしゃっていましたが、その後、心境の変化はありましたか?
川須 目標ですか…、ん〜今はやっぱりGIを勝つことですね。そのために、秋はまずは新潟をベースに、勝って目立ってアピールしたいというのが、今一番思うことです。
──“GIに乗りたいなら、中央で戦うべき”という先輩方の意見もありますが、それについてはどう思いますか?
川須 もちろん、中央で有力馬に乗れるポジションにいたら、中央で乗りますよ。でも今の僕はそうじゃない。中央で頑張っても、そこで全然勝てなければ、チャンスのある馬は回ってきませんからね。もちろん、GIに出るような馬との出会いは中央のほうが多いのはわかります。でも、たとえばレッドアリオンのように、中京の500万を勝たせてもらったことをきっかけに、GIまで行けることもありますから。
──そういえば、新潟は川須くんにとって特別な場所なんですよね。
川須 そうなんです。初勝利も100勝目も200勝目も新潟ですからね。縁のある場所から、また勢いに乗れたらいいなって。やっぱり、それなりの勝ち星を挙げていないと、どこで乗ろうがチャンスはいただけませんから。そういう意味では、今、数字としてパッと思い浮かぶ目標は50勝ですね。
──今年は現時点(9月22日終了時点)で33勝。リーディングの順位も気になりますか?
川須 もちろん気になります。かつて自分の名前があった場所に、今はもう僕の名前はない。それはすごく悔しいです。でも、かつての自分がそうだように、勢いのある若手にチャンスがいきやすいこと、今の自分では中央でチャンスが回ってこないことなど、受け入れなければいけない部分があるのもわかっています。
──なるほど。“4年目”って難しい時期なのかもしれませんね。とくに川須くんの場合、2年目にドーン!といったから。
川須 そうかもしれません。ドーン!といってガクンと下がったから、悪い意味で目立ってしまっていると思うんですよね。「最近、おとなしくなったな」っていう言葉は、言い換えれば「最近、勝ってないな」って言われているのと同じだと僕は思っているので。心のなかでは、いつも“チクショー!”って思ってますけどね(笑)。
──そういう気持ちが、今一番のモチベーションだったり?
川須 そうですね。本当にそうかもしれない。僕は相当な負けず嫌いですからね。
──運やめぐり合わせもあると思いますが、結局、流れを引き寄せるのは自分自身ですものね。
川須 本当にそうですよね。そういう意味で、今年のユタカさんはすごいですよね。まさに流れを自分で引き寄せている感じで。すごくカッコいいです。僕もリーディングの上のほうにまた名前が載るようになるためには、今何をしなければいけないか、何が足りないのかを考えています。
【次回のキシュトーーク!は?】
川須栄彦騎手インタビュー最終回。「上にいくためなら、どんな努力も惜しくない」と、日々調教やトレーニングに励んでいる川須騎手。仕事に対する独特のスタンスを明かしつつ、勝負の世界に生きる覚悟と信念を語ります。