スマートファルコン
◆飛躍の足がかりとなった大逃走劇 競馬はハイレベルな戦いになるほど、スタートから先頭に立った馬が逃げ切るのは難しい。後続の標的となり、プレッシャーをかけ続けられるから、必要以上にスタミナの消耗を強いられる。
それを承知で逃げるのは、馬をこわがるとか、先頭に立たなければ走る気をなくすとか、騎手が抑えると機嫌をそこねるとか、気性に問題があることが多い。
だが、絶対能力の高い馬が逃げれば、後続は追走で手一杯。余計な脚を使わされ、無理に競りかけた馬はつぶれてしまう。スマートファルコンがまさにそんな勇猛果敢、かつ鉄壁な逃げ馬だった。
馬には芝で俊敏さが生きるタイプと、ダートでパワーが生きるタイプがいる。昔の競馬は芝の大レースが中心で、傑出したパワーを持ちながら、その才能が埋もれたまま競走生活を終える馬が多かった。
しかし近年、ダート路線の整備拡充とともに、この新天地で才能を開花させる馬が相次いでいる。スマートファルコンの父ゴールドアリュールがそのさきがけとなった馬だ。日本ダービーで5着の実績があり、芝が決してダメな馬ではなかったが、最後の詰めを欠くことが多かった。
ところが、ダートになるとパワフルな走りを見せ、後続をぶっちぎって圧勝する。路線をダートに絞るや、またたく間に砂の王者として君臨するようになった。芝の大レースしかなかったなら、ゴールドアリュールの才能は埋もれたままだったろう。
そのDNAを受け継いで生まれたのがスマートファルコンだ。ダートのデビュー戦と3戦目を勝ち上がり、試しに芝のジュニアCを使ってみると5番人気で勝利。これに気を良くして芝のクラシックをめざしたが、皐月賞はどんじり負けに終わった。
芝に見切りをつけてダートに戻ると、いきなりGIで2着。以後、ダート路線を歩むことになったが、4歳夏までの1年間で12戦9勝(重賞8勝)、2着3回という実に安定した成績を残した。だが、メンバーが強くなるにつれて成績がやや頭打ちになっていく。当時はまだ好位から抜け出す戦法だった。
そこで5歳秋の大一番、JBCクラシックでは大逃げの戦法に出た。するとハイペースで逃げながら、最終コーナーを回ってもまだ楽な手応え。それどころか、追いかけた後続の馬たちが次々とつぶれていく。最後は完全に独走状態で、7馬身の圧勝で初のタイトルを手にした。
次いで暮れの大一番、東京大賞典。ここでもハイペースで果敢に逃げたが、最終コーナーを回ってもスピードが少しも衰えず、後続は脱落していくばかり。終わってみれば従来の日本レコードを0秒6、コースレコードを1秒7も更新する驚異的なレコードで、戴冠のゴールを駆け抜けていた。
逃げの戦法が板についたスマートファルコンは、翌年になるとさらに強さを増し、「砂の王者」「砂の逃亡者」としてダート界に君臨していく。その飛躍の足がかりとなったレースが、この大逃走劇を演じた東京大賞典だった。(吉沢譲治)
◆レース詳細
2010年12月29日
第56回 東京大賞典(JpnI) 大井/ダート右 2000m/天候:晴/芝:良
1着 スマートファルコン 牡5 57 武 豊 2:00.4
2着 フリオーソ 牡6 57 戸崎圭太 1.3/4
3着 バーディバーディ 牡3 55 池添謙一 3.1/2
◆競走馬のプロフィール
スマートファルコン(牡5)
父:ゴールドアリュール
母:ケイシュウハーブ
騎 手:武 豊
調教師:小崎 憲(栗東)
馬 主:大川 徹
生産牧場:岡田スタッド
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