スマートフォン版へ

全日本2歳優駿

  • 2013年12月17日(火) 18時00分


◆どれが勝っても不思議はないほど高いレベルでの混戦

 中央5頭は、前走思わぬ惨敗だったスザク以外、いずれも前走で将来性を感じさせるレースをした馬ばかりで迷うところ。地方勢も、北海道2歳優駿を圧勝したハッピースプリントをはじめ、地元南関東勢もハイセイコー記念と平和賞の勝ち馬が揃って出走してきた。2歳戦ゆえ、まだ秘めた能力を持っている馬がいないとも限らず、一応印で順番はつけたが、どれが勝っても不思議はないほど高いレベルでの混戦と見る。

 本命は、船橋移籍初戦の平和賞を楽勝したナイトバロンにしてみた。門別でフレッシュチャレンジを勝った後、なんでこんな血統の馬が地方からデビューするのかとちょっとびっくりした。父ティズナウは、ブリーダーズC連覇を果たしたアメリカの人気種牡馬。母バロネスサッチャーもアメリカで重賞勝ちがあり、GIでも2着3回という活躍馬だ。2戦目、3戦目をともに2着と取りこぼしたが、平和賞では中団を追走して直線楽な手ごたえのまま前を交わし去った。本田正重騎手にとってはこれが重賞初制覇だが、絶対勝てると自信を持って乗っていたように見えた。出川克己調教師は「転厩初戦で手探り状態だった」というから、まだまだ強くなりそうだ。

 ハッピースプリントの北海道2歳優駿も、自信たっぷりのレースぶりだった。向正面までは中団うしろに待機、3〜4コーナーでは大外を手ごたえ十分のまま上がっていき、逃げ粘っていたアースコネクターを楽々と交わしていった。ダートでは無敗で、まだ底を見せていない。左回りは初めてだが、2週ほども前から川崎に入厩し、対策も万全だろう。

 門別から中央入りし、兵庫ジュニアグランプリを制したのがニシケンモノノフ。ゴール前でマキャヴィティに半馬身差まで迫られたが、レースぶりには余裕があった。何より福永騎手は、「次(全日本2歳優駿)の1600メートルを想定して、あえて控えて折り合いをつけさせた」と、当初から目標をここに定めていた。

 ダイチトゥルースの前走プラタナス賞は、16頭立ての最後方追走から直線で全馬ゴボウ抜きという派手な勝ち方。メイショウイチオシは、前走ダート1800メートルのもちの木賞がレコード勝ち。マキャヴィティは、前走兵庫ジュニアグランプリが初ダートで、ニシケンモノノフに半馬身差まで迫った。スザクは兵庫ジュニアグランプリでニシケンモノノフと人気を分けたが、最後失速して6着。かなりイレ込んでいたいたというから、その1戦だけで見限れない。

 どの馬も能力があることは確かだが、経験の浅い2歳馬にはなかなか難しい川崎1600メートルのコースで、その力をどれだけ発揮できるかが勝敗のカギとなりそう。

◎ナイトバロン
◯ハッピースプリント
▲ニシケンモノノフ
△ダイチトゥルース
△メイショウイチオシ
△マキャヴィティ
△スザク

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング