◆美浦トレセンでは後手に回った除雪作業の影響が…
先週末、観測史上最大級の降雪に見舞われた関東地方。当方も自宅前の雪かきで3時間超…腰痛&汗まみれの休日と相成った。それだけに感心したのは、土曜の代替競馬(月曜)を無事に開催したJRAの対応力。広大な東京競馬場の除雪となれば(機械作業とはいえ)相当な労働力が求められるわけだが、わずか1日で通常モードに戻した手際の良さはお見事の一語だ。
一方で、週明けの取材では逆の衝撃が宴会野郎を待っていた。11日、3日ぶりに訪れた美浦トレセンは、競馬場とは対照的に辺り一面雪景色。まさに白銀の世界だった。よくよく見れば、厩舎地区から馬場入り口をつなぐのは、わずか除雪幅約1メートルの頼りない馬道のみ。これで本当に馬場調教が可能なのかと目を疑ったが…。
いざ開門すると、多数の馬が1頭ずつの縦列でその狭い道を行進し始める。角馬場や坂路、ウッドチップの除雪箇所は半分以下。まるで綱渡りのような光景は、見ているほうがヒヤヒヤするほど。それでも大事故もなく(物見をして放馬するケースはあったが)済んだのは日々の研さんのたまものだろうが…。当然と言うべきか、この日、トレーナーからはJRA側へのクレーム&注文が相次いだ。
「このスペースでまともな追い切りは無理。コースだけでも除雪してもらわないと…」と真っ先にオーダーしたのは手塚貴久調教師。大江原哲調教師は「午後調教を行った日曜(9日)と比べても、除雪状況が全く変わっていない。こういう非常時には緊急対応を」と、緩慢な“お役所体質”に疑問を投げかけた。
結局、木曜(13日)追いに変更、あるいは水曜(12日)追いでも遅い時間帯に移すなど、後手に回った除雪の影響を少なからず露呈した。
普段トレセンのJRA職員が「関東馬ガンバレ!」とエールを送っていても、この手のケースで機敏に動かないのでは、いつまでたっても美浦から強い馬は出てこない。取材側としても、本気度を示す環境づくりを願うばかりである。
(美浦の宴会野郎・山村隆司)