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ジョッキーが語る「数字の裏側」〜国分恭介騎手編[第3回]

  • 2014年03月19日(水) 18時00分
国分恭介


国分恭介騎手が語る“数字の裏側”第3回。今回のお題は、ズバリ“人気”です。デビューから直近までの人気別成績をもとに、18番人気馬での激走秘話や、「一睡もできなかった」という1番人気のプレッシャーについて語ってくれました。
(取材・文/不破由妃子)

■18番人気も「勝てる仕上がり」だった

国分恭介騎手・人気成績

国分恭介騎手・人気成績



──今回は、“人気”という数字をテーマにいろいろと伺っていきたいと思います。まずは穴馬について。過去に一度だけ18番人気で2着にきたことがあります。どのレースで、なんていう馬だったか覚えていますか?

恭介 大阪−ハンブルクCのキングトップガンじゃないですか?

──そうです、その通り。やはり覚えているものなんですね。

恭介 たしか単勝で500倍近くついていたんですよ(最終的には単勝477.7倍)。それでクビ差の2着で。レースのあとに厩務員さんに「勝ってたら単勝500倍やったぞ」って言われたのを覚えています。後に天皇賞を勝つビートブラックに負けたんですよね。

──そうでしたね。キングトップガンは、2走前にダートのアルデバランSで初めて騎乗して14着だったんですよね。

恭介 そうです。ダートではまったくいいイメージがなかったんですよ。ただ、すごくいい馬だなっていう手応えはあって。助手からさんも「勝てる仕上がりだから、強気に乗ってこい」って言われたんです。僕自身、そのつもりで乗って、最後はよく伸びてくれたんですけどね。結局、そのあと重賞を2つも(同年の目黒記念と函館記念を勝利)勝った馬なので、もともと力があったんですよ。

──18番人気ということはわかっていた?

恭介 人気がないのはわかっていました。でも、あまり人気を確認したりはしないので。人気しているときは気になりますけど、人気していないときは、具体的に何番人気なのかということにはあまり関心がない(笑)。

──人気のない馬で好走したとき、大抵はレース前から手応えを感じていることが多いものですか?

恭介 そうですね、だいたい返し馬の感触とかで、“この馬、まったく印付いてなかったけどなんでかなぁ”って思うような馬が走ってくれたりしますね。だから、人気してない馬が走っても、ビックリすることは少ないです。減量があったころなんて、1000万クラスくらいの馬だったら、だとえ近走惨敗続きであっても、“減量効果で走ってくれるんじゃないか”っていつも思って乗っていました。少なくとも、そこまでに2勝している能力があるのは確かなわけですからね。

──最近もそうですが、減量があるころから人気のない馬をよく上位に持ってきていましたものね。続いては、1番人気についてです。

恭介 めっちゃ成績悪いんじゃないですか? 1番人気で勝った記憶がほとんどない(笑)。

──ん〜、1番人気での勝利は、昨年3月の阪神3R(ナムララオウ)が最後ですから、少々ご無沙汰かもしれませんね。勝率は24.3%、連対率は39.3%です。以前、未勝利でもガチガチに緊張することがあるとおっしゃっていましたが、プレッシャーには弱いほう?

恭介 どちらかといえば弱いほうなんじゃないかと…。僕が勝手にプレッシャーを感じているだけなんですけどね。

──1番人気の成績を単勝オッズ別に見ますと、3倍を超えると成績が下がりますが、2.9倍以内では、勝率39.7%、連対率53.4%と一気に数字が上がります。まぁこの傾向は、恭介騎手に限らずですが。

国分恭介騎手・1番人気成績

国分恭介騎手・1番人気成績



恭介 なるほど。でも最近、2.9倍以内の1番人気なんて乗ってないなぁ。

──“1番人気”というのは、やはり特別なものですか?

恭介 そうですね。競馬新聞にたくさん◎が付いているのを見てしまうと、やっぱり緊張します。重い印にあまり慣れていないので余計に(笑)。

──パドックで人気を確認したりしないとのことでしたが、ということは、1番人気だとは知らずに乗っている場合もある?

恭介 あります。携帯であとで成績をチェックしたときに、「あれ? 1番人気だったのか」って気づくことがある(笑)。

──2010年のセントウルSでは、スカイノダンで重賞1番人気も経験しましたね。

恭介 はい。たしか香港馬のグリーンバーディーと1番人気を争って、最終的に1番人気になったんですよね。あのレースは…、本当に緊張しました。前の日、眠れなかったですもん。一睡もできなかったといってもいいくらい。競馬ブックとか見れば見るほどビビッてしまって(笑)。ただでさえ、調整ルームでは寝付けないことが多いんですけど、あの夜は本当に眠れませんでしたね。

競馬ブックとか見れば見るほどビビッてしまって(笑)

競馬ブックとか見れば見るほどビビッてしまって(笑)。ただでさえ…



──2年目にして眠れないほどのプレッシャーを味わったわけですね。結果的に6着。心身ともに疲れたのでは?

恭介 はい。もうグッタリでした(笑)。レースでは、ちょっと引っ掛かってしまったんですよね。やってしまった…と思いました。あの一戦は苦い思い出です。

【次回のキシュトーーク! は?】
国分恭介騎手が語る“数字の裏側”第4回。次回はクラス・条件別成績、コース別成績、乗り替わり成績などをもとに、ジョッキー心理に迫ります。恭介騎手の得意or苦手コースや、鉄板の乗り替わりが明らかに!

元祖「キシュトーーク」のレギュラー陣、国分恭介、国分優作、松山弘平、川須栄彦、高倉稜を中心に、栗東・美浦・地方からも幅広く、これからの競馬界を担うU25の若手ジョッキーたちが登場します!

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