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ジョッキーが語る「数字の裏側」〜国分恭介騎手編[第4回]

  • 2014年03月26日(水) 18時00分
国分恭介


国分恭介騎手が語る“数字の裏側”第4回。クラス・条件別成績を調査したところ、上級条件の牝馬限定戦に恭介騎手の狙い目が! そのほかコース別成績や乗り替わり成績などをもとに、数字の裏側に隠されたジョッキー心理に迫ります。
(取材・文/不破由妃子)

■最近は馬が好きすぎて怒れません!

──クラスやレース条件別の成績を調べたところ、1000万クラス以上の牝馬限定戦での成績がとてもいいんです。騎乗数、勝利数は決して多くはありませんが、1000万、1600万、OP特別、GIIIでは、すべて連対率20%以上です。

国分恭介騎手・牝馬限定戦での成績

国分恭介騎手・牝馬限定戦での成績



恭介 へぇ〜、そうなんですね。でも、テイエムオーロラくらいじゃないですか? あ、アグネスワルツも牝馬限定戦が多いですね。

──牝馬と牡馬で、扱いを変えているところはありますか?

恭介 以前から牝馬に対しては強く叱ったりしないようにしてたんですけど、最近は馬が好きすぎて(笑)、男馬に対しても怒ることができなくなってしまいました。最近は僕自身がイライラしていないからかも。

──ということは、イライラしていた時期があったんですね。

恭介 そうですね。デビューした頃とかイライラしていて、けっこう馬を怒っていたような気がします。でも当時のほうが成績は良かったので、僕の場合、イライラしているくらいのほうが良かったのかなぁ。なにしろあれだけ大きな生き物ですからナメられたら終わりですし、実際、外国人ジョッキーを見ていると、けっこう馬に対して厳しい態度で接していますからね。

──主従関係をはっきりさせることが大事なのかもしれませんね。

恭介 そう思うんですけどね。僕が怒ったところで、主従関係をしっかり築けるかどうかわからないので。なにかコツがあるんでしょうね。でも僕自身、確かに女馬のほうが扱いやすいかもしれません。男馬はナメられたら終わりですけど、女馬はなだめておけば言うことを聞いてくれることが多いので。

──でも、牝馬はフケなど難しい時期もあるのでは?

恭介 ああ、フケは結構影響ありますよ。去年、シルクロードSで3着にきたメイショウデイムは“これは走るな”と思ったんですけど、二度目に乗った阪神牝馬Sのとき、「フケがきてる」と言われて。実際、馬に寄られたらすごく怯んで、レースを止めようとしていました。馬にもよるのかもしれませんが、あの馬の場合、周りにいるのが同じ牝馬でもダメでしたね。

──続いては、コース別成績に注目していきたいと思います。10回以上騎乗機会があったコースの連対率1位は、中京のダート1200mでした。中京芝1800mと中京ダ1000mも上位に入っていたのですが(現在は設定がないため表では割愛しました)、中京に得意意識はある?

国分恭介騎手・コース成績

国分恭介騎手・10回以上騎乗機会があったコースの連対率



恭介 確かに改修前の中京は好きでしたね。多少力の足りない馬でもロスなく乗れれば、上位に持ってこられるイメージがありましたから。その点、今の中京はキツいです。得意不得意がはっきりと出てしまって。小細工が利きませんからね。

──以前とは別物ですものね。あと目を引いたのは、2位の阪神芝2400mをはじめ、恭介騎手は芝の長いところの成績がいいですよね。騎乗機会は7回と少ないですが、改修前の中京芝2500m(現在は設定なし)も連対率28.6%と好成績でした。これは大きな特徴だと思うのですが。

恭介 長いところを使う馬はあんまり引っ掛からないので乗りやすいです。

──長距離は、道中考えるべきこととかやるべきことがたくさんあるから、苦手だという若手ジョッキーも多いですが。

恭介 ん〜、僕の場合、逆に短距離のほうが何もできずに終わってしまうという印象が強いですね。その点、長距離は単純にゴールまでの時間が長いわけですから、動ける位置にいることを条件に、ペースが遅ければちょっと前に出してみたりとか工夫ができますよね。僕は長いほうが好きです。引っ掛かる馬に乗った場合はアレですけど(苦笑)。

──成績に関係なく、乗っていておもしろいコースはどこですか?

恭介 ああ、阪神のダート1800mとかおもしろいですね。力が足りない馬でも着順を詰めることができるコースだと思います。力のある馬でも無理して行くと止まるし、外を回りすぎても止まるしで、展開次第で力の足りない馬にも隙が生まれるコースのような気がします。京都のダートは平坦なこともあって、よほどのハイペースにならない限り、だいたい前が残るんですけど、阪神は直線に坂があるぶん、駆け引きが重要になってくるのではないかと。

──なるほど。やっぱりジョッキーの分析は勉強になりますね。最後に乗り替わりの成績についてです。あるジョッキーからの乗り替わりに限り、勝率20.0%、連対率33.3%という驚異的な成績を残しています。さて、そのジョッキーとは誰でしょう?

恭介 全然わからない…。あ、優作?…じゃないか。

──そのジョッキーからの乗り替わりは、デビュー以降、計15回です。

恭介 じゃあ珍しい乗り替わりですね。あ、石橋さん!?

国分恭介騎手・乗り替わり成績

国分恭介騎手・乗り替わり成績



──そうです、石橋脩ジョッキーです。

恭介 ということは、石橋さんが馬を作るのがうまいんですよ。なかなか石橋さんからの乗り替わりはないですけどね。

──乗り替わる場合、前に乗っていたジョッキーにアドバイスをもらいますか?

恭介 はい。自分で映像を見た上で、癖とか聞きに行きますね。さすがに石橋さんにお聞きする機会はないですけどね。

──今日は長い時間、ありがとうございました。今年はくれぐれもケガのないよう、目標に向かって頑張ってください。

恭介 はい! 平日は相変わらず競馬のVTRばかり観ていますが、最近は川田さんにアドバイスをしていただいた通り、自分が失敗したレースは早送りするようにしてます(笑)。だから最近は、すごく楽しく観れてます。乗るより観るほうが好きなんじゃないかと思うくらい(笑)。おかげであんまり考え過ぎないようになりましたし、2年目(52勝)以上の勝ち鞍を目指して頑張りたいです。

国分恭介騎手

2年目(52勝)以上の勝ち鞍を目指して頑張りたいです



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