4月の『キシュトーーク!』は、短期免許で来日中のシュタルケ騎手をゲストに迎えてのスペシャル対談! ホストを務めるのは、川須騎手と高倉騎手です。日本が大好きというシュタルケ騎手に、日本の競馬、ジョッキーについてはもちろん、本国ドイツの競馬事情や、体重管理の秘訣まで、5回にわけて根掘り葉掘り聞いちゃいます!
(取材・文/不破由妃子)
■日本の若手はすごくレベルが上がっている──短期免許では昨年に続き、二度目の来日となりますが、初来日は97年のジャパンC(カイタノ4着)でしたね。当時と今を比べて、日本の競馬は変わりましたか?
シュタルケ 大きな変化としてふたつ挙げられるのは、まず馬のレベルが確実に上がっていること。実際、日本の馬が世界のレースで活躍することが増えていますからね。もうひとつは、ジョッキーのレベルがかなり上がっていること。川須くん、高倉くんを含め、とくに若手のレベルがすごく上がっていますね。
川須 そういっていただけてうれしいです。どういうところを見て、そう感じられるんですか?
シュタルケ 昔は「ああ、これが日本の乗り方なんだなぁ」というような特徴があったけど、今はヨーロピアンスタイルやアメリカンスタイルほか、様々なスタイルからいいところを採り入れたような乗り方というか。確実にレベルが上がっていると思う。
シュタルケ「川須くん、高倉くんを含め、とくに若手のレベルがすごく上がっていますね」
高倉 以前に感じた「日本の乗り方」とは、どういう乗り方ですか?
シュタルケ 以前はもっと手綱を短く持っていた印象があるなぁ。現在はより手綱を長く持っているし、乗っているときの姿勢も低くなっているように思う。馬と同じで、ジョッキーも頭が高いのはあまりいいとはいえないからね。現在の日本のジョッキーは姿勢もきれいだし、うまく馬と噛み合って乗れていると感じるよ。
高倉 僕自身もそうですが、みなさんそれぞれに考えやテーマを持って、日々試行錯誤されていますからね。
高倉「僕自身もそうですが、みなさんそれぞれに考えやテーマを持って、日々試行錯誤されていますからね」
川須 確かに、“あ、あの先輩、ちょっと乗り方を変えてきたな”とか、よく感じるもんなぁ。
──毎年、たくさんの外国人ジョッキーと一緒に騎乗しているなかで、川須騎手、高倉騎手から見て、シュタルケ騎手はどんなイメージのジョッキーですか?
川須 ポジションを取りに行って、その位置で馬を御して…というスタイルではなく、どちらかというと馬とのコンタクトを第一に、リズムを大事にして乗ってらっしゃるように感じます。馬とのリズムを第一に考えながら、そのなかでレースを組み立てていくというイメージです。
高倉 先週、中京で一緒に騎乗していたのですが、川須も言っていたように馬のリズムを大切にして、直線も強引にこじ開けるのではなく、開いたところでしっかり馬に脚を使わせるというような。すごくスマートだなぁと思いましたね。
シュタルケ ありがとう。僕から見ても、ふたりともすごくいいジョッキー。僕がとやかくいうことは何ひとつないね。せっかくそう言ってもらったのに、いきなり過怠金をもらってしまったし(笑)。
──日本の裁決はフェアではないから、来日を嫌がる外国人ジョッキーもなかにはいると聞いたことがありますが、日本の裁決について、シュタルケ騎手はどう思いますか?
シュタルケ コメントが難しいね(笑)。あくまで僕は外様なので、日本のルールに合わせるだけだよ。ドイツでも他の国でも納得のいかない裁決はあるし、そもそも審判というのはとても難しい仕事。誰にだってミスはあるしね。理不尽な裁決が下ったときは、確かに頭にくることもあるけど、翌日になって冷静に考えてみると、“やっぱり自分が間違っていたかな”と思ったり。スポーツにはどうしたってルールが必要だから、従うしかないんだよね。
川須 ひとりでいいから、レースに乗ったことがある人が裁決委員にいてくれたら…と思うことはありますね。そうすれば、もうちょっとわかってもらえる部分もあるのではないかと。同じようなケースでも、かたや戒告もなし、かたや過怠金というケースもありますからね。
川須「ひとりでいいから、レースに乗ったことがある人が裁決委員にいてくれたら…と思うことはありますね」
高倉 たとえば、東西で同じような事例があっても、関東はアウト、関西はセーフ、あるいはその逆、なんていうケースもある。ただ、機械が判断しているわけではないから、仕方がない部分もあるんですよね。アンドレがいうように、納得がいかなくても僕らは従うしかないですから。