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【キシュトーーク!特別企画】シュタルケ騎手をゲストに迎えてのスペシャル対談![第3回]

  • 2014年04月16日(水) 18時00分
シュタルケ騎手


シュタルケ騎手をゲストに迎えてのスペシャル対談第3回。アマチュアからプロに転身したというシュタルケ騎手に、川須騎手と高倉騎手は興味津々。さらに、日本とはあまりにも違うドイツの競馬事情に、「信じられない!」を連発!?
(取材・文/不破由妃子)

■前夜に飲み過ぎて、遅刻する騎手も!?

──ここからは、ドイツと日本のシステムの違いについてうかがっていきたいのですが、シュタルケ騎手は、アマチュアのジョッキーからプロになられたそうですね。アマチュアとは、日本でいう見習いジョッキーのようなものですか?

シュタルケ 違いますね。1日8レースあるとすれば、そのうち2レース程度はアマチュアのレースで、出走する馬のほとんどが、実際に騎乗するジョッキーの所有馬。馬が好きで、自分が乗って勝ちたいという一般の方たちです。

川須 へぇ〜。アマチュアの人しか乗れないレースがあるんですね。

シュタルケ そうそう。そのぶん、賞金は低いけどね。アマチュアレースでもちゃんと馬券は買えるんだよ。斤量を見れば、どれがアマチュアレースかすぐにわかる。ジョッキーは一般の方たちだから、62キロとか65キロで乗るからね。女性だけのレースもあるよ。

高倉 アマチュアからプロになるためには、どうしたらいいんですか?

シュタルケ アマチュアレースで10勝以上したら、プロのテストを受ける権利がもらえるんだ。そのテストに受かればプロになれるよ。それ以外の道としては、日本の競馬学校ほどの規模ではないけれど、見習いが集まる育成機関があって、そこで修行をしながらジョッキーを目指す。ただ、実績を挙げたアマチュアジョッキーは、それが免除されるんだ。

川須 アマチュアからプロになるジョッキーは多いんですか? やっぱり狭き門なんですか?

シュタルケ さっきも言ったように、アマチュアレースのジョッキーは一般の方たちだから、体重が重い人ばかり。プロになるためにはかなり体重を落とさなければいけないから、アマチュアからプロになる人はなかなかいないね。

──なるほど。アマチュアジョッキーの存在や、レース形態ひとつをとっても、日本とはまったくシステムが違うんですね。ところで、レース前日に調整ルームに入るというのも、日本独特のシステムですよね。そのあたり、ドイツはどういうルールなんですか?

シュタルケ レース前はまったくのフリーです。検量の締め切りの1分前に行けばOK(笑)。

高倉 そこまで自由だと、逆に遅刻しそう…(笑)。実際、遅刻するジョッキーとかいないんですか?

シュタルケ いるよ。そういう場合は、ジョッキーが交代するだけ。「あいつ、来ないよ」「そういえば昨夜、酔っ払ってたなぁ」とかね(笑)。レースに間に合わないジョッキーがいれば、替えればいいという。

川須 えーッ! 信じられない…(笑)。

シュタルケ 当然、馬券が絡むわけだから、ジョッキーが替わればオッズも動くかもしれない。もちろん、そういうことがないようにするのが当たり前なんだけどね。その点、日本の競馬システムは、よりプロフェッショナルだと思う。

高倉 そもそも日本で当日に遅刻するなんてありえませんけど、もしそんなことが起こったら新聞沙汰ですよ(笑)。

シュタルケ そうだよね(笑)。とにかく毎日レースがあるから、ジョッキーも病気になったり、移動中の交通渋滞で遅れてしまうこともある。だから、(突然のジョッキー交代は)よくあることなんだよ。むしろ、ドイツではサッカー選手のほうが厳しいよ。試合の前日は選手全員が同じホテルに集められて、そこに泊まって翌日の試合に臨むからね。競馬より全然プロフェッショナルだよ(笑)。

川須

川須「日本のシステムしか知らない僕にとっては、新鮮というか、信じられないことばかり」



川須 そうなんですね。日本のシステムしか知らない僕にとっては、新鮮というか、信じられないことばかり。

シュタルケ 一度ね、12頭立てのレースで、ジョッキーが3人遅刻したことがあって。替われるジョッキーがいなくて、その3頭は取り消しになったことがある(笑)。

川須・高倉 えーッ!!!

シュタルケ 重賞ではなく一般のレースだったし、なにしろレースは毎日あるから、その3頭のオーナーも「いいよいいよ、明日走らせるから」って(笑)。

川須 そういう場合、騎乗停止とか、なにか制裁はないんですか?

シュタルケ 電話を入れれば、騎乗停止はないよ。たとえば渋滞で遅れそうなときは、「道が混んでいて、あと1時間はかかりそうです」って連絡を入れればOK。

高倉 信じられない…(笑)。国が違うと、そこまで違うものなんですねぇ。

高倉

高倉「信じられない…(笑)。国が違うと、そこまで違うものなんですねぇ」



【次回のキシュトーーク! は?】
川須騎手も高倉騎手も、いつかは長期で行ってみたいという海外遠征。フランスに興味があるという高倉騎手ですが、世界を舞台にした日本馬の活躍により、日本人に反感を抱いている関係者もいるとか…。世界の競馬を知り尽くしたシュタルケ騎手が、フランス競馬のハードルの高さを明かします。

元祖「キシュトーーク」のレギュラー陣、国分恭介、国分優作、松山弘平、川須栄彦、高倉稜を中心に、栗東・美浦・地方からも幅広く、これからの競馬界を担うU25の若手ジョッキーたちが登場します!

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