JRAは「良、稍重、重、不良」だけではない馬場情報の開示を!/トレセン発秘話
◆馬場状態がいかに重要かを示すエピソード
「この馬券取れたなぁ」
これは恐らく競馬ファンなら何度も経験するボヤキ。いきなり私事で恐縮だが、3連単19万5530円の決着となった先週土曜(12日)福島・吾妻小富士賞(1000万下、芝1200メートル)がまさにそんなレースだった。
「予想が○→無印→▲で当たるのかよ」のツッコミはあろう。しかし、担当厩舎のレッドガルシア(2着)を“抜け”にしたのも根拠があればこそ。言い訳がましくも、先週の取材風景を紙面に再現する。
宴会野郎「おっ、昨年の函館で美酒にあずかったレッドガルシアが久々に出てくるね。5か月半ぶりでも結構乗り込んで仕上がり良さげだ。当時と比べてどう?」
鈴木助手「うん、まあまあだね。でもさ…開幕週の競馬だろ?」
宴会「前が止まらない?」
鈴木「いや、それよりも持ち時計。この馬1分09秒台でしか走れないから…」
宴会「確かに…開幕馬場じゃきついか」
しかし終わってみれば、勝ち時計はまさかの1分09秒5(翌日の3歳未勝利2鞍とほぼイーブン)。同日の古馬500万下も1分09秒7の決着だったから、良発表でも前日の雨の影響が意外に残っていたのかもしれない。まあ何にせよ、この時計が事前に分かれば馬券も難なく取れたのだ(涙)。
さて、前置きがかなり長くなったが、当方が言いたいのは「馬場情報はそれほど重要」ということ。同様に1分33秒3で決した先週中山のGIIニュージーランドT(芝1600メートル)にも驚いた。良と稍重の違いはあれ、1週前の古馬GIIIダービー卿CTが1分34秒6の決着だから、同じBコースでもスピード化がさらに進んだ印象。実際、当日に乗ったジョッキーも「時計が速くなった」と目を丸くしていた。
ニュージーランドTを制した国枝調教師いわく「予想を売る記者もそうだろうが、正確な状況を知りたいのは我々だって同じ。馬によっては“力のいる中山の馬場を嫌って福島へ”という発想も起こるのだから」。元来が馬券の売り上げで支えられる日本の競馬。良、稍重、重、不良の4種のみならず、知りたいのは芝の密度や馬場の硬度。それらの発表も大事なファンサービスだと思うが…。
(美浦の宴会野郎・山村隆司)