◆フローラSを読み解くカギとなるフラワーCの逸話
中山から東京に舞台が替わり、クラシック第2幕の戦いがスタート。今週はさっそくオークストライアル(3着までに優先出走権)GIIフローラS(東京芝2000メートル)が行われる。
とはいえ本番に控えるのは、凱旋門賞にも登録済みの絶対女王=ハープスター。例年に比べ新星誕生の期待感に欠けるのは仕方のないところか。ニシノアカツキを送り出す武藤善則調教師と先週に話をした際も、意味深な言葉が返ってきた。
「現時点の賞金(1100万円)でも、例年ならオークスのボーダーには届いていると思うんでね。ここは単にオークスの権利取り(3着以内)というより、しっかり結果を求めたい。フラワーC(10着)の後はじっくりキュウ舎で調整して態勢十分だしね」
果たしてこのリアクションが何を意味するのか――洞察力の鋭い読者ならお気づきだろう。ニシノアカツキは桜花賞に出走可能な賞金を持ちながら、これをまずあっさりとパス。続くオークスも出走可能な位置にありながら、迷うことなくトライアルに駒を進めてきた。これぞ鬼のいぬ間の…という“選択”。ハープスター不在の場所での全力投球を誓っているようなものだろう。
むろんフラワーC2着マイネグレヴィルにも同様のことが言えるが、この両馬を無視できない理由がもうひとつ。それは興味深い“武藤トーク”続編で明らかとなる。
「覚えてるかな? 前走当日はかなりの強風が吹いていた。それも3角から4角では完全なアゲンスト。アカツキは中団につける積極的なレース運び、勝負どころでも抜群の手応えで外めから上がっていったんだけど…。あの結果を見ると、強烈な向かい風で脚を使ったのが失速の一因じゃないかと…。対照的に勝ったバウンスシャッセは終始馬群のインでじっとしていたからね」
その時、バウンスシャッセにとって“風よけ”となったのが、実は2番手で運んでいたマイネグレヴィルでもあるのだ。おそらくメイチ勝負のこの両馬、ここで買わずにいつ買おう。もはや間違いない…今週末こそうまい酒が待っている。
(美浦の宴会野郎・山村隆司)