国枝栄調教師が語った本音「ここは走り頃」/トレセン発秘話
◆追い切り後のコメントは本音か否か
先週のNHKマイルCの共同会見でのこと。ロサギガンティアの柴田善臣が「前走時はもうひとつの状態だったが、今回はいいと思う」と語ると、報道陣が一瞬ザワつく場面があった。それもそのはず。その皐月賞(10着)で“デキひと息”という話自体、誰もが初耳だったからである。
とはいえ「実は○○で…」という裏話がレース後に出てくることはさほど珍しいことではない。実際、同じ皐月賞時、アジアエクスプレスの追い切りを当初つける予定だった平塚助手は、前日こう語ったものである。
「明日は(記者に)囲まれる? やめてよ。第一、追い切り後にオレに話を聞いても意味ないやん? GIで人気になるような馬を一介の調教助手が個人的な感触をそうそう口にできるワケない。良くも悪くも順調としか言えんやろ。第一、いつも見てる山村さんなら聞かずとも分かるでしょ?」
その時は“なんて正直なヤツ”と思わず笑ってしまったが、確かにビッグレースになればなるほど、注目を集めるほど誰しも本音は語りづらいもの。もし感触と逆の結果になった際、引っ込みがつかないからだ。しかし、手前ミソだが、こんな時こそ厩舎担当制度がある東スポの強みが出るのかもしれない。平塚クンが言うように、いつも見ている人間のしぐさや表情、厩舎全体のムードで、印の打ち方も自然と変わってくるのだ。
さて、今週の京王杯スプリングCは、復活ムードが漂う“自厩2頭”に大いに注目している。2歳王者アルフレードは、1週前追い切りの直後に「ええよ。だいぶいい時の雰囲気が戻ってきた。東京千四の条件も現状ではベストかも」と先の平塚クンが珍しく明るい表情を見せた。
昨年のNHKマイルC2着馬インパルスヒーローは「昨秋は見られなかった走りの弾みがようやく戻ってきた。ここは走り頃」と国枝栄調教師。人気薄の気楽さから出る、これぞ紛れもない本音である。
(美浦の宴会野郎・山村隆司)