◆オークスでも鞍上に注目すべき
あれよあれよの逃げ切りでヴィルシーナが連覇を飾った18日のヴィクトリアマイル。昨年V以降完敗続きだった同馬の鮮やかな復活劇にも驚かされたが、それ以上に脱帽させられたのは鞍上・内田博幸の計算し尽くされた騎乗だった。
勝ち時計は昨年を0秒1上回る1分32秒3。前半3ハロン34秒6↓4ハロン46秒3の昨年に対し、今年も34秒7↓46秒2とほぼ同ペース。残り600メートルからのハロンラップも11秒4→11秒2までまったく同じで、ラスト1ハロンだけ昨年より0秒1遅い11秒7でのフィニッシュ…。「こう乗れば勝てる」と言わんばかりのペース配分は、まさに“ウチパク・マジック”と呼ぶにふさわしいものだった。
となると今週のオークスも注目すべきは馬より人、鞍上のインサイドワークなのかもしれない。言い換えれば、ハープスターのあの強烈な決め手を封じる業師が現れるか否かということだ。宴会野郎が気になって仕方ないのが、フローラS優勝馬サングレアルではなく桜花賞3着ヌーヴォレコルトを選択した岩田康誠。担当のベテランキュウ務員・小松美彦さんによれば経緯は以下の通りだ。
「前走のレース後『もう一度乗せてほしい』とすぐ依頼があったみたい。直線でスムーズさを欠いて脚を余すところがあったし、鞍上も納得しかねる部分があったんじゃないかな」
1週前は美浦ウッド6ハロン79.4秒という猛時計を叩き出しただけに、その反動も気になっていたが「あれだけ攻めても食いが全然落ちないのだから大したもの。今回は地元競馬の強みもあるしね。オークスはエフティマイア(08年2着)以来になるが、あの馬も桜花賞↓オークスとGI2着続きだったからなぁ。冥土の土産にそろそろ金メダルが欲しいところ」と余裕たっぷりに笑いを誘う。
ダービーに出ても勝ち負けと思える逸材=ハープスターを本命にしないのは記者として見識を問われそうだが、今週も“マジック”に酔ってみたい誘惑に駆られている。
(美浦の宴会野郎・山村隆司)